第17話 二回目の十三連ガチャは大爆死?



 気がつくと夕方になっていた。

 ガチャポイントを徹夜で貯め終えてすぐ寝てしまったのだろう。

 一日を無駄にしてしまったが、ガチャのポイントは十三回分貯まっているのだから悪いことばかりでもない。


 とりあえず風呂に入ってさっぱりして、飯を食べる。

 頭がすっきりとした状態になったところで、ガチャタイム開催だ。


 今回も前回大量に回した時と同じ回数である十三回。

 最低でもレア複数。あわよくばスーパーレアが一個くらいでできてくれることを期待してガチャを引く。


【アイテム:C.ダンベル50kg×2】

【アイテム:C.三段カラーボックス×20】

【スキル:C.体術 Ⅰを獲得しました】

【アイテム:C.初級ポーションを獲得しました】

【スキル:C.剣術 Ⅰを獲得しました】

【アイテム:C.高級マンゴー×10を獲得しました】

【スキル:UC.身体強化 Ⅰを獲得しました】

【アイテム:C.初級ポーションを獲得しました】

【アイテム:C.初級ポーションを獲得しました】

【アイテム:C.高級箱ティッシュ×50を獲得しました】

【アイテム:UC.中級風魔法スクロール(使い切り)を獲得しました】

【スキル:C.初級ポーションを獲得しました】

【アイテム:R.グレーターリザードの革鎧を獲得しました】


『体術スキルの統合により、体術 Ⅱが体術 Ⅲにランクアップしました』

『身体強化スキルの統合により、身体強化 Ⅵが身体強化 Ⅶにランクアップしました』



 結果は大爆死。ほとんど最低レア度のコモンでアンコモンですら二つ。レアが一つでているからいいが、そうでなければスマホを叩きつけていたかもというくらいの散々一歩手前な結果となった。

 ただ、不幸中の幸いというやつなのか、求めていた回復アイテムが多めに出ていたのはありがたいことだ。

 その他のアイテムやスキルもハズレというわけでもない。

 レア度に関して言えば間違いなく大爆死であったが、排出物だけで見ればそれほど悪い結果ともいえない。

 総じて言うならプラマイゼロ、むしろ若干プラスと言っていい結果だな。


 前回同様、ダブりと効果を見るまでもないもの以外の詳細を確認していく。


【剣術 Ⅰ:剣術の初歩的な技術の自動取得】


 コモンスキルながら、技術を自動取得できるのはかなりありがたい。

 剣道ですら中学の体育でしかやったことのなかった俺がまともに剣を振れるようになるのにはかなりの練習が必要だった。

 それをすっ飛ばして剣をある程度扱えるようになったのだからコモンでも文句は言えないし、何より言うつもりもなくなった。


【中級風魔法スクロール(使い切り):中級風魔法ストームトルネードを魔力消費なしで一度使うことができる魔法の紙】


 雷に続いて二つ目の中級攻撃魔法。名前からして強そうだし、何となく範囲攻撃っぽい感じがあるので、多数に囲まれることがあれば躊躇うことなく使える切り札としておく。


【グレーターリザードの革鎧:上級魔物グレーターリザードの革で作られた鎧。高い魔力、斬撃、打撃耐性を持ち、中級魔物程度の攻撃ならばほとんど無力化する性能を持つ】


 今回唯一のレアで、何よりその名前から今回一番の大当たりだと思っていたアイテムは、その通りとんでもない当たりアイテムだった。

 上級魔物という明らかに強そうな部類に属されているグレーターリザード製の防具で、今最も欲していたものと言っても過言ではない。

 最悪適当にネットショッピングで防刃のものを買おうと思っていたが、これがあるならそんなもので妥協する必要はなくなった。


 何より中級以下の魔物の攻撃をほとんど無力化するというのが気に入った。


 俺がこれから冒険しようと思っているのは、初級ダンジョンである。

 名前の最初に初級とつくのだから十中八九初級魔物しか出てこないはず。

 もしダンジョンにボス的な存在がいるとしても、強くても中級魔物に属される程度で上級魔物が出てくるなんてそうそうないはず。

 となると、仮にボスがいるダンジョンであったとしても、この防具があればそれだけでかなり安全に探索できることになる。


 今回のガチャで初級ポーションも四つ追加されたし、もう準備は完全に整ったといっていいだろう。



 なら、行くしかないでしょ、ダンジョンに。



 素の身体こそ鍛えれていないが、ガチャのおかげで身体強化のランクが上がり体術のランクも上がって、高い身体能力を持つ身体を自在に操れるようになっている。尚且つ初歩的な剣術も覚えていて、武器は剣。

 飛び道具には中級魔法二つに、十回だけ出せる絶対的な力のあるウルトラレアスキル由来の次元斬。

 防具は中級魔物程度の攻撃を意に介さない優れものであるグレーターリザードの革鎧。

 回復アイテムには初級ポーション六個、中級ポーション一個、初級治癒魔法スクロール一個の合計八個で十分貯まっている。

 探索に向くオートマッピングスキルだって持っているし、最悪閉じ込められることになっても、食糧は十分あるし、何よりそうなればガチャを引いて打開すればいいだけだ。



「よし、行くぞ」


 俺は生唾を飲み込みながら、タップガチャアプリのストレージ画面から、初級ダンジョン入場チケットを選択する。


『本当にダンジョンに入場しますか?』


 確認のメッセージが出てくるが、もう既に準備は万端だ。再確認されようと、俺の気持ちは一つに決まっている。


『はい』


 了承の選択肢をタップ。


 そして次の瞬間……。


『ダンジョン未経験者感知』

『これより初級ダンジョンに入る前のダンジョン探索チュートリアルが開始されます』


 そんな文章がスマホ画面に表れたと思ったら、俺の視界がブラックアウトした。

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