第10話 鑑定で大儲け
身体能力の確認も大体終わり、家に帰ってきてシャワーで軽く汗を流すと、時間まだ十時前。
今日は一応夕方ぐらいに実家に戻るつもりで、夕食は家族を外食に連れて行こうと思っている。
その為先程父に連絡を入れておいた。
突然の電話と食事を奢るという滅多にない息子の珍しい行動に些か驚いている様子が電話越しにも伝わってきたが、気にしていない。
たしかに家族に飯を奢るなどしてこなかったから驚くのも仕方ないが、何かのドッキリを疑うのは酷いと思う。なんて結局気にしてしまうが、気を取り直して別のことを考える。
今現在億万長者になることは確定しているが、それを受け取るには、まだ一週間以上かかる。クレジットカードを使えば買い物や食事は問題ないが、やはり現金もある程度もっておきたい。
となると、何かで現金を稼ぐ必要があるのだが、現状で金を稼げる可能性があるのは鑑定スキルただ一つ。
今のところわかっている稼ぎ方は一つ、宝くじ売り場でスクラッチの当たりを調べてちまちまと五万円以下のものを当てる。
それでも別にいいが、もっと効率が良いものがないかも考えている。
効率を度外視するなら、パチンコ屋でスロットの設定を鑑定で判別して高設定台をぶん回すという方法もある。まだできるかわからないが、レアスキルなのだからそれくらいはできて欲しいから出来ると仮定しておく。
後はせどりなんかも方法としては考えられるが、ネットオークションを使う場合、宝くじの当選金額を貰うより後の稼ぎとなるだろうから当然なしだ。
後は……競馬なんてどうだろうか?
鑑定で能力値だったり健康状態ややる気的なものがわかれば、そこそこ簡単に馬券を当てることができるのではないだろうか。
映像越しに鑑定が有効だというのは既に判別しているから、場外馬券売り場でも問題ないし、配当が良ければかなりの額稼げて効率も悪くない。
そもそもできるかまだわからないが、第一候補として、早速実践可能か調べてみる。
調べ方は簡単、ネットにある公式の過去レース動画を見ればいい。
それで鑑定で馬の能力や状態を調べられるなら即実行といく。
その後すぐにネットで動画を見たが、結果からいうと馬の状態を把握することはできたが、能力値は鑑定できなかった。
なんでもうまくはいかないかと残念に思ったが、もしやと思い、俺は思い切ってスキル強化チケットを二枚使用して鑑定の位階を二つ上げてみた。
これで俺の鑑定はⅠからⅢになり、効果が上昇した。
レアスキルで位階も二つランクアップしたのだから、想定通りの結果であって欲しい。
そんな願いのもと再度過去レース動画を見たら、予測はズバリ的中。
なんと状態だけではなく、能力値ややる気に騎手との相性やコース適正なんかまでもわかるようになっていた。
流石腐ってもレアスキル。
いつまでもガッカリのままではないということか。
あまり使えなかった鑑定が使えるようになったことで、早速場外馬券売り場に足を運んで馬券を買うことにする。
既に土曜に開催されている競馬のレースは始まっていて、現在は第二レースが行われている最中だったので、それ以降の予想から入る。
場外馬券売り場に設置されているテレビに映るパドック映像を見て、全頭きっちり鑑定を済ませて、状態ややる気に能力値、コース適正や鞍上の騎手との相性など、わかる全ての鑑定結果を総合的に判断して、最上位一頭から上位四頭に流した三連複の馬券を各千円購入してみた。
総投資金額は六千円。
当たれば最低でも二十倍はつくから、トリガミになる心配はない。
だが、できるだけ荒れてくれと願いつつ、レースを見守る。
その結果……馬券は見事的中。
払戻金は、なんと十五万円越え。倍率百五十倍越えの万馬券が的中したことになる。
財布には元々二万ちょっとしか入れてなかったが、これで一気に十七万近くまで財布の中が潤った。
それからも当てて当てて当てまくり、たまに外して、計二十レース馬券を購入し、十八回馬券を的中させるという脅威の成果を出すことに成功。
本日の合計収支は投資十五万の回収三百六十万。回収率にして実に2400%というとんでもない結果に終わった。
何はともあれ、これで心もとなかった現金もウハウハの状態になって、少なくともこれから宝くじの当選金額をもらえるまでに現金で困るという可能性は一切なくなり、同時に有用なスキルでの現金稼ぎ方法も確立できた。
財布に入り切らずにバックに万札をしまうなんて人生初体験である。
二十歳になってからたまに競馬をやってもほとんど当たらず、随分と運営の養分になってきていたが、今回で十分以上に回収して、生涯収支でも圧倒的にプラスとなった。
競馬での儲けは税金がかかるので、確定申告が必要になってしまったが、これだけ稼げればそれくらいの面倒全然受け入れられる。
ネットでの購入なので言わなければほとんどバレないのだろうが、万が一バレテ追徴課税されるのも面倒なので、きっちりと法律は守るつもりだ。
億万長者になれば、この程度の収入の税金なんて小銭みたいなものだしな。はっはっは。
と、そんな小銭を得るのにこれまでの間一喜一憂していた自分のことは棚に上げつつ、内心で高笑いをあげながら俺はそのままの足で実家に向かうのだった。
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