第8話 ニートで億万長者
気持ちいい眠りから覚めたら最後の仕事に向かう為準備を整える。
仕事が始まると色々と考えてしまう。
仕事も今日で終わりだと思うと、行く前は面倒でしかなかったが、いざ仕事が始まり終わりが近づいてくるとやめたくなくなる……なんてことは当然ない。
なんなら早く終われとずっと心の中で念じていて、時間の流れが遅くすら感じられた。
それでも着々と時間は流れていき、ついに帰れる時間になる。
二年間、これまでずっと働きたくないと願っていた夢がついに叶う。
これで俺も今から無職。ニートに転職だ。
もっとも俺は普通のニートではない。
タップガチャというチートアプリに選ばれし者だからだ。
まとめると俺は選ばれしニートということだ。
ルンルン気分で仕事を終えてコンビニ寄ってから自宅に帰り着くと、時間は六時過ぎ。
まだ宝くじの抽選までには時間があるので、今のうちにガチャを引くことにする。
なんだかんだで、今日の休憩時間にポイントを貯めて四回分のガチャポイントが貯まっている。
スーパーレアやウルトラレアなんて高望みはしない。レアでなくても最悪アンコモンくらいは出てくれ。そう強く願ってガチャを引く。
【スキル:UC.調理 Ⅰ を獲得しました】
【アイテム:C.スキル強化チケットを獲得しました】
【スキル:C.体術 Ⅰ を獲得しました】
【アイテム:C.初級ポーションを獲得しました】
結果は、まあアンコモンが一個あったので最悪とは言えないが、やはりレアがないというのが残念だ。
それにコモンの一つはダブりであるスキル強化チケット。今後大量に使うことになるだろうから当たって悪いということではないのだが、やはり真新しいものを見たかったというのが正直なところである。
それでも他はまだ出たことないものだったし、とりあえず効果を確認していく。
【調理 Ⅰ:料理に関する知識、技術の自動取得】
まずはアンコモンスキル調理。
一目見ただけでわかる当たりスキルである。
スキルをオンにした瞬間に調理に関する基礎知識と基礎技術の内容が頭の中に流れ込んできた。
これで何となくでしていた調理が、プロ級とは言わずとも調理学校生クラスになるみたいだ。
アンコモンで位階がまだ最低ランクなのに規格外の性能である。鑑定よりいいんじゃないか?
これはきっとアンコモン枠の中でも当たりの方に分類されていたことだろう、多分だが。
【体術 Ⅰ:身体操作技術が向上する】
体術という名前を見た時、某忍者漫画における格闘技術のようなスキルだと思ったのだが、どうやらまったくの別物らしい。
単に、身体を動かしたり止めたりといった動作や力加減などのコントロールが上手くなるというスキルである。後は全ての動作に対して最適化がかかるとかも。
コモンにしては中々のスキルなのではないだろうか。
要するに運動能力を向上させてくれるスキルということだ。
身体強化をオンにした状態には既に慣れたとは言ったが、今までと比べればぎこちなさが多少あるのは否定できない。
それの解消には正にうってつけのスキルといえる。
早速オンにして軽く動いてみると、特に力加減を気にすることなく物を掴んだり動いたりすることができた。
やはりスキルの力は偉大だ。コモン枠で位階すらもこちらの方が五段階も下であるのに、最低限これまで通りの動きにまで戻してくれるのだからな。
【初級ポーション:飲むと体力回復、怪我の治癒効果がある】
最低レア度だったから最悪栄養ドリンクをちょっとファンタジー風に言い直しているだけかなと思ったがそんなことはなかった。
まごうことなきファンタジーなゲームでお馴染みのポーションである。
スキルがあるのだからもしかするとと思っていたが、まさか本当にそのものだとは。
効果は体力の回復や怪我の治癒とのことだが、現状疲れてるわけでも怪我をしているわけでもないので、使用は保留。
初級ということは、中級や上級なんかもあるだろう。これがコモンなのだから間違いない。今後のガチャにまた期待が高まった。
さて、ガチャ結果を確認し終えたが、まだ抽選時間には三十分程度あるので、風呂に入ることにする。飯はそのあとだ。
特に急いでいるということはないが、十分程度で風呂を済ませて、コンビニで買ってきておいた菓子パンで晩飯を済ませ、ちょうどよく宝くじの抽選時間となった。
当たるとはわかっているが、なんだかんだ、ドキドキしてくる。
未来チケットで見た抽選番号が選ばれることを信じて、抽選を見守る。
『01』
『15』
『19』
『08』
番号は順調に未来チケットで見たものが選ばれていく。
『10』
『05』
『18』
結果は01.05.08.10.15.18.19。
見事に未来チケットで見た抽選番号が選ばれ、俺はロッドセブン宝くじの一等に三口分当選した。
その後に確定した当選金額は、全部で約二十一億円。
こうして俺は晴れてニートとなるのと同時に億万長者になったのだった。
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