第5話

急遽、彼が見つけてくれたビジネスホテルの一室で、あたしは横になった。

幸い微熱のようで少しだるいくらいだったが、とにかく寒かった。

そう言うと、彼があたしの隣に入って抱き締めてくれた。


「温まってきた?」

「うん···」


そうしてあたしは少しだけ眠ったようだ。



目が覚めて、まだ抱き締めていてくれた彼を見上げると目が合った。


「ずっと起きてたの?」

「うん」

「ありがとう。少し楽になったよ」


そう言うと彼は少し笑った。

そして、しばらくの沈黙の後、彼はゆっくりとあたしにキスをした。


その時、あたしの心の中から『好き』という気持ちが溢れだした。

やっぱりあなたが好きだ。



二人のたがが外れてしまった。



それから。


あたし達は一晩中キスを繰り返した。


そして彼は、あたしに好きなだけ触れた。

たぶん、あたしの全てに触れただろう。


あたしは彼のキスを受け入れて。

彼の手も指も舌も受け入れて、彼にされるがままに身をゆだねた。



これが最初で最後だとわかっていたけれども。





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