第27話 Sランクパーティー
「ふぅ〜……これで、一段落ついたな。ロンベルト、何度目かわからないけど改めてありがとう。君がいなかったら今頃俺たちは、魔物の胃の中で消化されていたところだ」
はぁ〜……最初は、称賛されることなんて慣れてなくて気持ち悪い気分だったけどもう慣れちゃった。それくらいたくさんお礼をされている。
「まぁ俺はただ、スキルが戦闘向きなだけだから……。宝の持ち腐れなんだよね」
スキルは生まれたときから決まっている。それは努力して手に入れるものではなく、ただ備わっているだけ。
果たしてそれが俺の力なのかといえるのだろうか？
あんな強そうな魔物に、スキルを使わないで挑んでいた賢者の集いは俺とは全然違う。
「おいおい……そんなこと言うなよ。お前は俺たちのことを助けてくれたんだぞ？ このことを聞いてまだ、宝の持ち腐れなんて言うのか？」
それは……たしかにそうかもしれない。俺はこんなのでも、ロットのことを魔物から助けることができたんだ。
「そうよ。あんまり謙遜がすぎると、相手のことをバカにしているように聞こえちゃうのよ。ちなみに、こいつなんて睡眠っていう戦かうことなんて微塵も感じさせないスキルなんだから」
「おい！ 何勝手に、人のスキルを言ってんだよ。あっ、別にお前のこと羨ましいとか全然思ってないからな」
…………。
そうだったのか。俺はてっきり、スキルをつわないものだから余裕なのかと思っていた。そうか……。でも、戦闘向きじゃないスキルなのにAランクパーティーにまで登りつめたのはすごい。
「いいえ。こういう場合、大抵このバカは思ってるわ」
「そんな無駄なこと言わなくていいんだよ！」
ロットとサリィはお互いに胸ぐらを掴んで、今まさに喧嘩を始めようとしている。
「無駄なこと」っていうことは少なからず、戦闘向きのスキルを持っている俺を羨ましく思っているんだろう。そんな人の前で俺は、宝の持ち腐れなんてことを口に出してしまったのか……。
「あ、あのっ！」
俺は自分で、してしまったことに反省していると服が後ろから引っ張られ呼ばれた。
引っ張ってきた先には手を前に出してながらもじもじしていて、何かを言いたげな少女がいた。
どうしたんだろう？
「えっと……ティラさんだよね？ すごい魔法を打っていた」
「は、はいっ！ 先程は私が仕留め損なった、ディキリエンスを代わりに仕留めてくださりありがとうございます！」
ティラは、そう言って思いっきり頭を下げてきた。
長い髪の毛が俺の顔に少し当たる。
「いやいや……そんな仕留め残ったなんて言わないでくださいよ。あれは、何か知らないけど魔石から
俺は今回のことをうけて、どれだけ
あれはどんなに注意していても、防ぎようがない。
「しょ、しょ、しょ……しょうがない！？」
ティラは、口に手を当てて信じられないような顔で俺のことを見てきた。
あれ？
俺、なにか言っちゃいけないことを言ったのかな？
「あぁ……ごめん。こいつは、力だけは一端の魔法使いなんだがそういう言葉を甘えだと勘違いしちゃう異常なほど、魔法熱心なんだ。時間が経ったら勝手に解釈して、忘れるから無視してもらって大丈夫だぞ」
「そうか……なら、そういうことにする……」
俺は、余計なことを言ってしまい考え込んでいるティラのことを果たして無視してもいいのか疑問に思ったのだが、ロットの話を聞いて納得した。
別に見捨てたりなんてしてない。ティラが落ち着いたら一言謝ろう。
そんなことを思って、歩き出そうとしていたとき。
「てぇ〜！！」
迷宮の奥から人の声がしたような気がした。
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