闇の支配者〜無能だと言われ王族から追放された俺は、スキル【闇】を使いランクSSSの迷宮を次々と攻略していく!そして男の夢であるハーレムを築きながら“生きる伝説”を目指します!!〜

でずな

第1話 追放されたよ



「ケネス・ロンベルト! 貴様はこれから一切王族だとは名乗るな!!」


 髪がテカテカして顔が脂っぽく、ひげを長く切っていない見るからに不衛生そうな人物はなんの前触れもなく、俺に向かって怒鳴り散らかしてきた。

 このじじぃ……いや、この方は一応俺のお父様。


 俺、なにか悪いことしたか?


「お父様! なぜですか!?」


「黙れッ!! スキルでまともに戦うこともできないお前のような無能は、王族と名乗る資格はない!!」


 スキル。それは人間で、16歳になったら与えられる神からの祝福。人間はそのスキルによって今後の生きていく道筋が決まるとまでも言われている。


スキルのことですか……?」


「それ以外に何があるんだッ!! 他国にお前のようなクソが生きていると知られると我が国の恥さらしだ。早く出ていけ!!」


 俺の顔にまでつばが飛んできた。


 うぇ〜……。くっさ。この人、こんな怒っているけど俺のお父様なんだよな……。疑っちゃうよ。

 

 お母様は俺が小さい頃に死んで、覚えていない。

 お父様はこんな性格の人だ。上兄と姉がいるけど、どちらともお父様の性格に似ている。


 ていうことは俺の性格はお母様に似たのかな……?


「チッ。早く消えろ」

「あんなゴミ、見るだけで私の心が汚れてしまいそうだわ」


 兄と姉がお父様が座っている玉座の横に来て、俺が生ゴミを見るときの目をしてきた。


 はぁ〜……。よく俺は、16歳までこんな状況で生きてきたもんだ。我ながら称賛するよ。よくやった。


「兵士!! このゴミを国から追い出せ!! そして二度とこの地に足を踏み入れさせるな!!」


「それってまさか……」


 命じられた兵士は、俺のことを見て戸惑った。



 ん? こいつって、俺が10歳くらいのときに冒険者ごっこをしてくれたやつじゃないか!?

 久しぶりだな……。


「はい。どうぞ」


「し、失礼します」


 この人は俺とは違い、大切な家族がいるんだ。

 もし、こんなところで王の命令に背いたらどうなるかたまったものじゃない。お父様は本物の暴君だからな。



  *



「このような形で、久しぶりの再会が残念です」

 

 国の門の前。

 久しぶりに会った兵士の一人が俺のことを見てそう言ってきた。


 …………あっ、結構長い付き合いなのに名前知らないや。まぁいっか。仲いいし。


「あぁ。だけど、俺はずっと出て行きたかった場所から出られてせいせいしてるんだ」


 俺は小さい頃に見た絵本を思い出していた。

 その絵本はどこにでもあるような、英雄譚の話。一人の男が、混沌とかしていた世界を剣一本で救ったという話だ。

 俺はその話を読んでからずっと思っていた。英雄になったときの心情ってどんな感じなんだ? と。そして、絵本を何度も見ていたうちに英雄ではなく、生きる伝説になりたいのだと思っていた。


 そして、とうとう俺の「生きる伝説最速計画」を実行に移せる。これは何年もかけて考えてきた、生きる伝説になるための最善策。それを考えると自然と顔がニヤけちゃう。ちなみに「生きる伝説最速計画」は、たまたま国に訪れていた剣聖様と一緒に作ったものだ。なので、絶対になれると思う。


「――それはっ……」


 久しぶりに再会した兵士は俺のことを見て、慌てたような顔になった。


 あれ? なんかまずいことでも言っちゃったのだろうか?


「……グス。あの、高い高いされただけでわき喚いていたお坊ちゃまがこんなに立派になってぇ〜!!」


「「うぉおおおん!!!」」


 一人の兵士が泣いて俺に抱きついてくると、周りの兵士もそれを見て泣き出し俺に抱きついてきた。


 まぁ、俺って兵士には嫌われていないことはわかってたんだけどさすがに多すぎないか!?

 このままだと、体が潰されちゃう!

 俺は男じゃなくて、大好きな女の子に潰されるように抱きしめられたいんだけどな……。


 さすがに身の危険を感じたので、さすがにスキル闇を使いその場から脱出する。これは俺が城の壁をすり抜けるときに使っていたもの。


 ん? すり抜けて何をしていたって?

 そりぁ……男のロマン(覗き)を嗜んでたに決まってるさ。


「「うわぁ!!」」

 

 兵士は俺に体重をかけていたので、一斉に地面に倒れていった。


 こ、こんなに俺に向かって体重がかかってたのか……。よく、潰されなかったな……。

 

「じゃあな。またどこかで会えたら声ぐらいはかけてくれよ?」


「はいっ! お気をつけて!!」


 俺はその言葉を聞き歩き出した。

 久しぶりに会った兵士の言葉に何も返さず、振り返ることもせず右腕を上に突き出して振った。


 なんでこんなことしてるのかって?

 これは英雄譚にでてくる、別れの場面だからだよ。



 俺はこのときまだなにも知らなかった

 まさか、冒険者というものがあれほど過酷なものになるなんて……。

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