2章⭐︎レベルアップ⭐︎

フェンリルの里

第11話 フェンリルの里到着

-side エリク-




 エリクたちは今、屋敷でフェンリルの里に向かっている。



「はーー。快適だ。まさか、オートパイロットモードがあるなんて。言ってくれればよかったのに」

『聞きもせずに、どんどん話を進めようとしたの君だからね』



 どうやら、レオンはご立腹らしい。ジトーっとみてくる。



「普段お主に振り回されていたこちらの身としては、面白いのだがな。それより、あとどれくらいなのだ?」

『5時間だよ。寝てれば着く』

「へー。ねえ、こたつ出してよ。ついでに、カップ麺とお湯も」

『いいけど。私のこと便利屋か何かだと思ってない?』

「ないない」



 レオンが出してくれる。カップ麺の中にお湯を入れ、あっためる。



「(こたつの中で、食べるカップ麺はやはり最高だ。クーラーで周りの気温下げた状態で、食べるという背徳感も堪らない)」



 ズズズズズ……。



『創造神なのに、環境破壊に貢献している気がする。』



 美味しそうにカップ麺を頬張っているエリクをみて、レオンが遠い目をする。



「細かいことは気にするな。お主もやってみると良い。なかなか悪くないぞ。」



 トールに言われるがままに、レオンも行う。



『う……、ズルズル……。うまい!こたつもなかなかいいね。心地よさがたまらない。決して教育上は良くないけど、とにかく背徳感がたまらない』



 レオンも堕ちてしまったようだ。

 そのまま、腹が一杯になった3人は仲良くお昼寝をした。



 PPPPPPPPPPP……。



『う、うるさいなあ。ふぁああ。って君たちも起きて。ついたよ』

「ふぁー?もう?」

「もう少しゆっくりしても良いではないか」

『まあ、確かに。もうちょっと寝てもいいか』



 全員、すっかりダラダラモード全開だった。



 “我が領地に立ち位置その警戒感のなさ、覚悟するが良い--”

 その時、どこからか声が聞こえた。脳内に直接入り込んでくるタイプの声らしい。



「お、その声はルークか」

“ぬ。何故我の名を?む、まさかこの匂いトールか”

「うむ。久々に遊びに来てやったぞ」

“ほお?それより、この馬鹿でかい屋敷はなんだ?これもお主の仕業か”

「いや、これはレオンの仕業だ」

『違うよね。エリクの仕業だよ』

「zzzzzzzzzzzz……」

“おお。レオンもいるのか。会うのは2000年ぶりか?”

『ああ。久しぶり』

“うむ。して、エリクとは誰だ?”

『今日、ここに来た人間さ。君を仲間にするためにきた』

“ほーー。人間の身で、フェンリルたる我を仲間にするとな。面白いやつだな。それはそうとお前ら姿を見せぬか”

『ふぁーー。ちょっと、ここから起き上がれないかな。むにゃむにゃ。トールが行ってきて』

「我も無理だ。エリク頼む」

「zzzzzzzzz……。」

“早く見せんか!”

「「「zzzzzzzzz…」」」

“ぬ。初対面でまさかの放置プレイか。ワオオオオオン”



 エリクたちが2度寝から起きたのはそこから3時間後だった。ジトーー。ルークがエリクのことをジト目で見ている。ご立腹なようだ。



「初めまして。(なんか、悪いことしたか?)」



 挨拶の時、悪気なく爆睡していたエリクは何があったのか、知らなかったようだ。



“ふんっ”



 一方、全部覚えているルークは超絶不機嫌であった。



「ガハハハハ。まあ、いいではないか。エリクも悪気があったわけではないんだし」

『そうそう』

“我はお主らのことも許してないからな。むしろ、エリクとやらより、お主らに対して怒っているんだが”

「『う……』」

「えっと、何があったの。すまない、覚えていないんだ」



 ルークはことのあらましを説明する。



「そ、それは、すまなかった」

“ふん。お主は知らなかったのだから、仕方がない”

「おーい。話は済んだか。ダラダラ話してないで、我を早く中に入れろ」

『そうだよ。何客人を待たせてんの』

“な、な、な。まったく、お主らときたら”

「(なんとなく、力関係が見えてきた感じがする。何はともあれフェンリルの里到着だ!)」



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