第35話 カスタムは目が疲れるんだぜ!

 出来たー。


 カスタムはそれぞれの好みがあるが俺の満足する狙撃用のSR25が完成である。

 インナーバレルはクレイジージェット360mm、ホップパッキンは宮川ゴム50°、押しゴムは辛口、初速は76~78の間で安定してる。弾道はゆっくりと延びていくような感じである。納得いく物が出来て愛着が湧いてくる。

「あかりちゃん!出来たよ!」

俺はベッドでまだ寝ぼけてるあかりちゃんの布団に潜り込んで報告した。

「やっと完成したんだね!」

「うん!カスタムは難しいね面白いけど」

「これからまた違ったゲーム展開が出来るね!アタシが少し前で平蔵さんが下がり気味で狙撃だね!」

「だね!」

「練習しなくちゃ!」

「うん!ワクワクするわ」


 二人は布団の中でモソモソと抱き合ったー。


 15分、セミオート、復活無しフラッグ戦ー。

 ナイトカモジャケット、陸自2型ズボンとブーニーハット、ヘリコンテックスファーストラインとトレーニングリグコヨーテー。

 俺はメインウェポンSR25セカンダリは東京マルイp226E2ー。あかりちゃんのメインウェポンは東京マルイ次世代CQB-Rでセカンダリは同じ東京マルイp226E2である。ホルスターはウォーリアアサルトの便利ホルスター。


 味方フラッグは平地のCQBエリア手前スタートで敵フラッグは尾根を越えて谷上の見晴らしの良い場所からのスタートである。


「ヒット判定は自分に厳しく!ヒットアピールは大袈裟に!!はい!それでは3、2、1スタート!!」


 俺とあかりちゃんはCQBエリアからフィールド外周周りで攻めるルートを選んだ。CQBエリアのキャットウォーク下は影になっていてそこから尾根が見えるから一時待機で二人で索敵をする。同チームメンバー達がパラパラと進軍していくのを見て交戦するのを伺ってから、あかりちゃんが少し前のドラム缶へ進んだ。俺は角度と射線を確保するのに傾斜地のバリケードまで移動して尾根を見た。

 あかりちゃんは俺の位置を確認して前に出ると手で合図をして尾根へ登った。バリケードから周辺を索敵してあかりちゃんのOKサインを確認して俺は合流した。

「仲間達が櫓から少し下へラインを作ってるからアタシ達はここで一旦待機しておこう!」

「オッケー!交戦開始してから前にでるか」

「そだね!」

待機の間にセカンダリへマガジンを挿していつでも交戦出来る準備をしていると、櫓下で撃ち合いが始まった。シューティングレンジ側でも撃ち合っているようにも感じたから、俺とあかりちゃんはこのまま尾根を進んだ。

 尾根頂上を越えると数人の敵が谷のリールドラム付近に見えた。

「敵発見!リールに二人、その後ろバリケに一人、G旗バリケに一人!」

素早いあかりちゃんの索敵を頼りに俺は角度をとった。

「あかりちゃん尾根から牽制出来る?倒せたら倒しちゃって!俺は少し降って角度確保する!」

「オッケー!こっちに引きつけるね!」

「頼む!」

あかりちゃんはドラム缶まで進んで敵の隠れるバリケードへ数発ずつ撃ち込んで引きつけた。その間に姿勢を低くしながら俺は敵が隠れるバリケード裏側が見える位置を取った。

 バリケードと立木の間に敵が見えた。40m位離れていて隙間は10cmくらいであろうと思われる。

「行けるか!試すか!よし勝負だ」

俺はゆっくりと構えてスコープを覗きこみ、3発撃った。


“ヒットーーー!!”


「あ!当たったわ!」

俺は自分で撃って少し驚いた。いつもならあの距離だと半分牽制のつもりで撃つのだが、今回はヒット狙いで撃ってみて狙い通りに倒せたのである。

 あかりちゃんは俺に親指を立ててくれている。俺も親指を立てた。


 敵の索敵要員を倒した事で後の敵は俺とあかりちゃんを見失った。

 あかりちゃんはドラム缶から尾根に戻りながら斜面をゆっくりと下った。わざと敵に見つかるように動いてるあかりちゃんを狙ってくる敵の少しはみ出した身体の部位を狙って狙撃した。

「リールドラム!ワンダウン!」

俺の声でもう一人がフラッグの方へ下がった。その後ろ姿をあかりちゃんが狙ってワンダウンした。

「アタシこのままリールドラムにつくね!」

「オッケー!その上の敵を抑えるよ!」

「お願い!!」

俺の牽制射撃を合図にあかりちゃんは敵の隠れていたリールドラムに着いた。

 俺の牽制射撃が止んだタイミングで敵が顔を出した所をあかりちゃんがリールドラムの間から撃った。


“ヒット!!”


「グッドショット!!」

「このまま前進するね!」

あかりちゃんはセカンダリを抜いてゆっくりと前のバリケードへ着いた。俺もリールドラムまで進んで別角度を警戒した。

 シューティングレンジ側の交戦状況をみてフラッグゲットのタイミングを計った。


 俺はあかりちゃんを敵フラッグ付近へ残して少しシューティングレンジ方面へ進んだ。

「俺の戦況でフラッグ取っちゃってね!」

「オッケー!」

俺は櫓隣の箱形バリケードまで進みシューティングレンジ手前の塹壕に居る敵を狙撃した。


“ヒットヒット!!”

敵は“あれ?どこから?”見たいな顔しながらフィールドアウトしていった。


 このヒットをあかりちゃんは確認してそのまま敵フラッグをゲットした。


プーーーーーーー!!


「はーい!ゲーム終了!!赤チームさん見事フラッグゲットでーす!!」


 あかりちゃんと二人でフラッグゲットの写真を撮ってもらった。


「いやぁお二人さん!相変わらず凄い連携でしたな!」

フィールドマスターが声をかけてきた。

「一日のうち12時間くらい連携してるからね!」

あかりちゃんがニコニコして答えた。

「流石っす!」

俺とあかりちゃんはハイタッチした。


つづく

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