『イチゴを乗せて』

「かぐや~、ケーキ食べよ~」

『ケーキ?』

「うん! 今日ショートケーキの日だから安売りしてたの!」


 楽し気に揺れながらそう言うアリスが可愛らしい。

 ちなみに、カレンダーで見ると22日の上は必ず15(いちご)が乗っているから、毎月22日がショートケーキの日になったらしい。


『買ってきてくれたんだ。ありがと』

「ふふ。ここのケーキ美味しいから、かぐやと食べたかったんだ」


 そう言いながらアリスが化粧箱を開けると、中から綺麗に盛り付けられたショートケーキが二切れ覗く。

 大ぶりのイチゴに、見るからに柔らかいホイップクリームとスポンジ、視覚だけでも美味しさが伝わってくるケーキだ。


『美味しそうだね』

「でしょ! イチゴの甘酸っぱさとクリームのコクのある甘さのバランスがすごくいいの!」


 アリスの説明を聞きながら、私はケーキを小皿に移す。

 ついでにスティックタイプのインスタントフルーツティーを淹れて、セット完了。


「じゃあ食べよっか」


 私は軽く頷いてフォークを取る。


「いただきます!」


 そんな私を見て、アリスもケーキの先をフォークですくった。


「はぁ~……美味しい……。どれだけ食べてもここのクリームは飽きる気がしないよ」


 アリスの言葉に心の中で大きく頷きながら、私も口の中に広がる幸福感を存分に味わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る