第5話 日常の崩壊

いつもと変わらない日だった。


友達とお喋りして、授業を受けて。


皆で笑って、ふざけて....。


なのになんでこんなことに.....。





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休み時間になって友達と話していた時に頭の中で電子音が鳴った。


ピロン!


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突然ですが今から5分後にあなた方の世界に魔物が出現します。この未来は決定づけられたものであり、回避は不可能です。餞別として魔物を最初に倒した暁には報酬を差し上げます。是非変化した世界で生き残ることにお役立てください。

それでは皆さんの未来に幸多からんことを。


             世界の意思


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最初は皆信じてなかった。誰かのいたずらだって思って笑っていた。でも——


目の前にモンスターが現れて、近くにいた友達が棍棒で殴られた。その子は頭から血を流して床に倒れている所をモンスターに食べられていた。


それを見てやっとこれが現実だって気付いた。あの子はもう死んだんだって。


廊下に出て、逃げる場所を必死に探した。家庭科室に入って鍵をかけるまでに10人はいなくなっていた。ドアを閉めるときに見えたクラスメイトの顔がいまも目の前にちらつく。


あの絶望した、なんで助けてくれないのかと私を睨んでいる眼が忘れられない。


家庭科室には調理実習用の食材が置いてあったから食べ物には困らなかった。その日は怯えて過ごした。何人か泣いていたと思う。でも私は涙が出てこなかった。それよりも自分が助かったっていう実感の方が強かったから。


そんな自分が嫌になる。


事件が起こったのは次の日だった。逃げる途中で偶然モンスターを倒した人が、モンスターを倒しに行くと言い出した。レベルが上がる、とかステータスがでる、とか言っていた。皆信じてなかった。そのせいで死んだ人がいるのに。


モンスターがいるならステータスとかがあってもおかしくない。どっちも非現実的なことに変わりはないし。


小鬼みたいなモンスターなら皆で戦えば敵じゃないってことになって皆包丁を持って部屋を出ることになった。


ドアを開けた瞬間、先頭にいたステータスとか言ってた男子が倒れた。ドアの前にいた狼に喉を噛みちぎられているのが見えた。


そこからはまさに地獄だった。狼が部屋の中に入って来て1人ずつ殺されていった。最後に残ったのは角で震えていた私と友達。


その時、友達が私の背中を押した。背中に衝撃が走ったと思ったら私は前のめりに倒れていた。最後に見たあの子の口は「ごめんね」って言っていた....。頭の中が真っ白になった。


なんで?なんで?私、ここで死ぬの?

 

普段感じなかった「死ぬ」っていうことが近づいているような気がした。


やだ!やだやだやだやだ!!やだ!まだ、まだ死にたくない!


そう思ったら自然と叫び声が出ていた。今までに出したことのないほどの大声が。


「きゃああぁぁぁぁ!!!」


誰も来ないってわかってても叫ばずにはいられなかった。


狼が近寄って来る。後ろには小鬼もいた。痺れをきらした狼が飛びかかってきた。口の中の鋭い牙で視界がいっぱいになる。


あ—死んだ、と思った。


けど、痛みも何も感じなかった。死ぬのって痛くないのかな、なんて考えたけど人の声がして我に帰った。


「おい!無事か!?」


飛びかかってきた狼はその人に両断されていた。


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