第8話 ひまーり!

 好きなものについては、なかなかこだわりの強かった怪獣さん。


 2歳前の夏のこと。


 ひまわり柄のかわいいワンピースを買いました。


 怪獣さんは、それが凄く凄く気に入りました。そればっかり着たがります。

「ほれ、こっちの黄色もかわいい、かわいい。こっちにしようかー」

 と、ひまわりを洗濯した日、母は毎日ごまかしごまかし、機嫌とりとり他のワンピで行かせます。それでも暫くグズグズバタバタ。怪獣さんは、わかりやすく怪獣と化すのでした。


 うっかり通園前に、干した洗濯物を見せてしまうと、もうそれはそれは大変!!

「ひまーり! ひまーり!! ひまーり!!」

 ひまーり攻撃で母の体力を奪っていきます。


 ついに実家の母に相談し、お客さんの孫の双子ちゃんが丁度その頃に着ていたという、ひまわり柄のワンピースを大量ゲット!! それを怪獣さんに見せると、大量のひまわりに大興奮しておりました。ありがとう、お客さん!!


 よし、これで、ひまーり攻撃に遭わずに保育園に連れて行けるぞ。と、かわいいピンクにかわいい黄色のひまわりが咲く、それはそれはかわいいワンピを着せたのに、

 窓の外をハッと見るやいなや、

「や!! ひまーりっ!!」

 さっき干したばかりの怪獣さんオキニのひまーり。


「今着てんのも『ひまーり』だよ!!」


 こうして、結局、母の小脇に抱えられ、「ひまーり放射」を吐きながら、通園する怪獣さんなのでした。


 今でも、昔の写真を見るにつけ、家族親戚みんなに、

「怪獣ちゃん、このワンピースしか着てた印象がない」

 と言われます。

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