新人VのQDAストーリーモード

『わらべの場合』


 クエスデッド・アルフェリアのクエストモード。

 それは、ゲームを配信してから3週間後のストーリーアップデートまでにできるチュートリアルモードのようなものだ。

 ジブルーンの秘密に軽く触れ、フルダイブ環境下でのNPCとの接触方法や簡単な戦闘。

 似通った内容でも、プレイヤーの行動でかなり変わる。


^^^^^『ここから各キャラクターの視点になることがあります』


 ストーリーモードを選択してテレポートしたのはめっちゃ草原だった。

 うん、すっごい草原。

 ゆる先輩と一回だけやったバトルモードのポイントマークが草の生えてない道っぽいのの先に強調表示されてる。

 あれに向かえばいいのかな?

 ヨーソロー!

 あ、これは海賊だっけ?


「キュエエエエエェェェェ!」


「うぇ!?なに!?」


 いきなり飛び出してきたのは半透明の…


「スライム?」


 ぽこん!と、出てきたのは、スライムを倒しましょう?


「ストーリー…?」


 取り敢えず殴ってみたらスライムから出てきたHPバーっぽいのが少し減ったからめっちゃ連打した。


「えいえいえいえい!!ふる、こん、ぼ、だ、どーん!」


 最後はプチュッとつぶれるようにしてスライムがべとべとの液体に…

 ぬああ!手に着いた!


「うええ…」


 振ってみるけど落ちないし…

 しょうがないから服で拭いた。

 服がてかてかしてる…


「…さき、すすも。」


 若干テンション落ちたけどあきらめないもんね!


^^^^^


 しばらく進むと丘になってて、上りきると少し先に男の人が立っていた。

 NPCってやつかな?

 ん?わたしに手、振ってる?


「おーい!そこの人!」


「私か。これもストーリー。」


 取り敢えず寄ってみる。

 男の人は物凄く大きなバックパックを持っていた。

 商人っぽい。


「こんにちは、私はロイド。」


「こんにちは。」


「お嬢さん、もしかして神子さまの一人じゃないか?」


「ああっと、確かそうだったような…」


 NPCはPCを神子って呼ぶんだっけか?


「おお!じゃあ、向こうにいたスライムを倒してくれたんだね!インベントリにドロップアイテムのスライムの液体って入ってないかな?」


「インベントリ?」


「左手の装置から見れるって前に居た神子さん方が言ってたよ。」


 左手の装置…常備の腕時計のことか!

 メニューを開くのにも使うし、これがステータスボードを開くツールなのね。

 腕時計の普通だったら針を合わせるところを押すと視界にウィンドウが出る。

 あ、アルブルンで見た時と違ってホームがインベントリウィンドウなんだ。

 タグ項目にはインベントリ、キャラクターアーキテクト、ログアウトだけか…

 インベントリを開いたら、あった、スライムの液体(100ml)だって。


「あったかい?」


「ありました.。これを…?」


「えっと、指でタップして出てくる項目からアクションを選ぶと実体化、だったような?」


「タップ、して、アクション。」


 言われたとおりにするとインベントリから表示が消えて目の前に瓶詰めのヌルヌルが…

 スライムの液体ってこれかい!


「おお!それだよそれ!それを売ってくれないかい?」


「いいですよ」


 なんに使えるかもわからないものだし。

 この先に追加されるストーリーでお金ってどれくらい必要なのかわからないけど、あって困るモノでもないからね。


「じゃあ、10mlにつき5銅でどうかな?合計すると5鉄になるね。」


「どう?ぎん?」


「おっと悪い、お金の説明をしなきゃね。お金は数種類あって銅、鉄、銀、鋼、金、白金と、価値が上がっていくんだ。上昇率は10進だね。」


 ん~なるほど?銅を1円とすると鉄が10円、銀が100円。鋼が1,000円で、金が10,000円、星が100,000円ってことか。

 5円玉とかはない感じかな?


「そんな感じだけど、どうかな?」


「全然大丈夫ですよ」


「え、あー、そう、だね。もっと勉強させてもらおうかな…100mlで銀2と鉄5でどうかな?これ以上はちょっとむつかしいんだけど…」


「え!?あ、はい、それで大丈夫です。」


 なぜに値上がりしたの!?

 ってか、5倍じゃんけ!


「ふう、よかった。じゃあ、トレード申請をするから、承諾してアイテム欄にスライムの液体を入れてくれるかい?」


「はい。」


 トレードのアイテム選択にスライムの液体を入れると、相手のトレードアイテムの金額が250になった。

 arufuっていうのがお金の単位かな?

 承諾するとトレード完了!って表示されてウィンドウが消えた。


「うん、ありがとう!ああ、そういえば神子様方は街に行くと何かあるんだっけ?この道を真っ直ぐ行けば木製の壁で囲われた町、『クゥンロル』があるよ!ジブルーンで三番目に大きい人類集合住宅街で、いろいろあるから、行くといいよ。」


「はええ、ありがとうございます。」


「じゃあ、僕はこれで。」


 そういうと商人さんは私の来た道を進んでいった。

 隣の町にでも行くのかな?

 取り敢えずマークまで行ってみようかな…


^^^^^


 商人さんと会って少し進んだらそこそこ高い壁が見えてきた。

 おお~5mくらいかな?


「グォ!グガ!」


「「「ガルルルル!」」」


 ほえ?

 横の森から出てきたのは傷だらけの狼?と、犬?


「あ、豆知識だけど、狼の遺伝子は基本的に長い三角耳で、威嚇の時にしわが顔に広がるんだって。」


 と、現実逃避してみたり。

 んあ?でも、狼と犬で争ってる?

 どっちもボロボロだけど、犬のコンビネーションアタックを狼がパワーで対応してるかんじ?

 あ、そうこうしてる間に犬が2匹と狼が死んじゃったっぽい…


「グルルルララァ!」


「おわーー!」


 ボキィ!

 いきなりとびかかってこないでよ!

 生き残った最後の犬一匹も私が今殺っちゃったよ…

 ん~?タイトルコールっぽいのがなかったから、これはストーリーに関係ないのかな?

 よくわかんないけど…まあ、正当防衛!

 あ、ドロップアイテムは…魔犬の皮と小牙か


「と、とりあえず街に行こ。」


^^^^^


 その後、特に何もなくわらべは街につき、ストーリー通りに神子冒険者登録をしてチャプター0クリアになった。

 その後の雑談配信では不意打ちの通用しない夜叉といじられそれがなぜかツボに入り、ゲラキャラも定着したが…

 まあ、それはまた別の話。


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