じゅう

「九重さすがね! アニマルセラピーとか言うし、テディーにピッタリよ!」


 春子さんは目をキラキラと輝かせて九重に同調した。僕はちょっと難しい言葉に首を傾げる。


「あにまるせらぴー?」

「ええと、ほら、動物をもふもふーってしてふわふわーってなって……癒される……みたいな?」

「春子殿、急に語彙力消さないでください。」


 もふもふでふわふわで……ごいりょく……? さすがにその言葉だけでは分かんないなー。あにまるせらぴーって結局なんだろう?


 僕は二人の会話をもう少し聞いてみることにした。


「はい黙ってて九重。で、テディーはそのフワッフワな毛並みを活かしていろんな人を癒すの! どう?」

「僕のフワッフワ……」


 ああ、なんとなくするべきことが分かった気がする。うん、それなら僕にも出来そうだな。一気に希望が見えてきて、僕は思わず笑いが込み上げてきた。


「僕も僕に出来ることで誰かのためになれる……ふふ、ふふ、嬉しいなぁ」

「テディーは優しい子ね。」


 そう言って笑った春子さんは僕の頭をまた撫でてくれて、僕はほわんと心が暖かくなった。


 あ、もしかしてこれがあにまるせらぴー? 確かにこれは心地いいかも〜。








 それから、僕は自分の毛並みを活かしていろんな人のところに行った。


 こんぽんてきな問題解決?は僕には出来ないけど、僕を撫でてぎゅーってしてくれた人は皆少しだけホッとした顔をしてくれた。


 その顔を見ると、僕まで嬉しくなった。


 春子さん達にもその話をすると、そっか、と笑って僕を撫でてくれた。






 もう僕は第二の瞳ちゃんを出したくない。そんな想いで今日もお疲れさんの元に直行するんだ! でもまだ完全じゃないからね、もっと僕は頑張るよ!






 あとね、もう瞳ちゃんには会えないけど、お話出来ないけど、それでも、毎日心の中で呼びかけているんだ。いつかこの声が届けば尚良し! って気持ちでね。




『瞳ちゃん、いつまでも大好きだよ! もう一度会えたら、瞳ちゃんを一番に抱きしめてあげる!』



って。






僕はテディー【完】

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