34.教えて差し上げますの!
リヴィオが、
「あー。今のは、なんか、言った方が良かったと思うぞ。俺も」
「すごいね。上から目線だ。最近、グリゼルダに
「なんも言い返せないほど、その通りだよ。いちいち痛い目にあってりゃ、さすがに覚えるって」
「……ごめん。でも、聞いておきたいことがあったんだ」
レナートは苦い顔であやまって、それから、ザハールたちの
「マイラさん。エングロッザ王国の、
「そりゃあね。王さまや神官さまの、難しいのは、くわしくないけどさ。一年間のいろいろな
「神話の最後に、秘宝の
「どんなって、そりゃあ、なんでもできるって神さまなんだから……ああ! ちょうど、こんな感じかもしれないね! 食べ物も酒も
レナートに水を向けられて、マイラが、初めて気がついたと顔に書いて笑う。
「そっか! 新しい王さま、そういうことしたかったのかあ! なんだか子供っぽくて、可愛いところのある人だねえ」
この場にいないヒューネリクの背中を叩く勢いで、自分の
「でも、そうさね。王さま、なんかの時に言ってたよ。密林の外には、あんたたちみたいな白い人が、こんな感じの国をたくさん作ってて……あたしたちも、そうなっていくんだって。夢のある話だよ!」
「いや、でも、食べ物もなんでも
「あはははは! そんなの当たり前だよ、うちの
今度はリヴィオの背中を、
「まあ、
「マイラさんも、そうですよ。こんな時にまで働かないで、
レナートの取りなすような言葉に、マイラがまた笑った。
「そんなの、最初の一日で
「はい……きっと、うかがいます」
レナートが一礼する。マイラは満足そうに手を振って、調理場の方へ戻って行った。
音楽と踊りは、陽気に続いている。
その中で、空気のように働いている
レナートが思考に沈む。長かったのか、短かったのか。肩を、レナートよりも真剣な目をしたリヴィオにつかまれた。
「なあ、レナート。おまえ、さっき俺にあやまったよな?」
「……ごめん。そう言ったよ」
「つまり、おまえの態度が悪くて、俺のありがたーいお説教が正しいって、認めたわけだよな?」
「そうだけど。わからないな、どういうこと?」
「レナートさま!」
レナートの疑問を、アーリーヤの声が粉砕した。
音楽と踊りは、まだ陽気に続いている。腕が、まっすぐレナートへ差し出されていた。
「今度は、なんか言うだけってのも、駄目だと思うぜ」
「……すごいね。なにも言い返せないよ」
リヴィオの駄目押しに、レナートは完全敗北を認めた。
立って、アーリーヤの手に、手を重ねる。
「ぼく、フラガナの踊りなんて、全然わからないんだけど……」
「教えて差し上げますの! わたくし、婦女子として」
「
レナートの観念した素直さに、アーリーヤがもう一度、輝くような満面の笑顔になった。
********************
酒と料理と音楽と踊りの
リヴィオ、ルカ、ザハールの
アーリーヤは子供たちに大人気で、歌でも踊りでも、ひっきりなしだった。外見に合わない
大人の男たちも結構な人数が、そわそわと周囲をうろついているのに、アーリーヤ自身はまったく気がついていないのも、まあ、
一足先に、レナートが食卓に戻ると、リヴィオとニジュカの二人がいた。ニジュカは頭から
「どうだ、恐れ入ったか! シャボの野郎、やっとつぶしてやったぜ! ざまあ見やがれ、だ!」
「
「最初に、俺にからんできた酔っぱらいだよ! あんな
「ああ、マイラさんの
こんなことだろうと思って、ついでに持ってきた水の
「助かったよ、レナート。大人は気楽だよなあ。ここ、一応、敵地みたいなもんなんだけど」
「これくらい、なんでもねえよ! まだまだいけるぜ!」
水も
「……ん? 王女さんはどうしたんだ?」
「まだ向こうにいますよ。ミナチとカナンの他にも、みんなに
「レナートとも仲直りしたしな。調子が戻って、良かったよ!」
リヴィオが、ここぞとばかり恩着せがましく、レナートを見る。レナートは両手を顔の横に上げて、
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