第9話 最弱のパーティー





「やっと・・・着いたニャ・・・」


「よし!どうにか日が暮れるまでに着いたな!」


「これが王都か・・・」


「・・・つか・・れた・・・」


「なんとか魔獣にも出会わずにこれましたね!」


「ヴァルディさんは中の道とか分からないですよね?よければ目的地までご案内しますよ?」


「それは助かる お願いしてもよいか?」


「は、はい!もちろんです!それで目的地はどこですか?」


「私は冒険者になりたいのだが・・・どこに行くべきか教えてもらっても良いか?」


「「「「「!!!」」」」」


「ヴァ、ヴァルディ殿は何処のご出身ですか?冒険者になれる冒険者ギルドなら何処の村でも登録できるはずですが・・・」


「訳あって名は言えぬが何も無い辺境の地の生まれでね・・・周りには建物すら無い場所だった」


「そんな場所があるんですね・・・ボク初めて聞きました!」


「でもヴァルディさんは強いし試験なら余裕で通れるニャ!!」


「試験?そんなものが必要なのか?」


「はい・・・地方によって若干内容は異なるようですが簡単な能力テストです その結果によってランクが付けられ 高ランクになるほど受けられる依頼の制限が緩和されます」


「私たちも冒険者ギルドに報告に行かなければならないので詳しい事は道すがらお話しします」


「ああ、よろしく頼む」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 リゼは色々な事を話してくれた冒険者のランクについて依頼の種類について パーティーやクランについてどれも有益な情報ばかりだった。


「ここが冒険者ギルドです・・・さっそく中に入りましょう」


 ”ギィ〜 ”と古びた扉が開くと喧騒と酒の匂いが飛び込んでくる。


「んん?なんだ“最弱”パーティーが帰って来やがったぞ?」


「また依頼に失敗したんじゃねぇか!?」


「ギャハハ!!!またかよ?」


「「「「「・・・・・・」」」」」


「くそッ!」


「ルーシャ殿が言っていたのはこの事か・・・」


「ヴァルディ殿はルーシャから聞いていたんですね・・・そうです私たちは王都で最弱のパーティー ギルド内で私たちは笑い者・・・なんです・・・」


「オイオイ!ここはお前たちみたいなガキ共が来る場所じゃねぇぞ?“最弱”パーティーはとっとと帰んな」


「オイオイ、あれAランク冒険者のバルドじゃねぇか?」


「“餓狼の牙”のリーダー?」


「パーティー全員が揃ってるの初めて見たぜ!」


「ふざけるな!貴様らにとやかく言われる筋合いはない!!」


「強がるなよ?また依頼に失敗したんだろ?」


「そ、それは・・・」


「クックックッ!!図星か?お遊びでやってるお前たちには分からないだろうがお前らのせいで冒険者の評判が下がって俺らが迷惑してるんだよ!!」


「この筋肉ダルマはリゼ殿の知り合いかな?」


「あぁ!?今喋った奴は何処のどいつだ?」


「私だ 君は図体の割に耳が悪いようだな?」


「なんだ?テメェ?見ねぇ奴だがこの俺が誰だか分かってんのか!!このグロディアス王国のAランクパーティーだぞ!!」


「そうか、お前らごときでもAランクになれるとは試験というのは大した事無いらしい」


「なんだとテメェ!!」


「少しいい装備付けてるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!!!」


「貴方いい度胸してるわね?」


「どうやら我々の事を侮っているようですね・・・」


「ヴァルディ殿・・・!いいんです!事実ですから・・・」


「ふぅ・・・まぁいいぜそんなに自信があるなら決闘をしようじゃねぇか?お前ら雑魚パーティーと俺らでな?お前らは全員でいいぜ!俺らは4人でいい」


 よし・・・乗ってきたな、ここまでは計算通りだ・・・。


 現状、俺の目的はこの世界の情報をできる限り集めること、そして自分の強さがどの程度なのかを知ることだ。


 王国の中枢部である王都に常勤するAランク冒険者の力を測れば自分の実力は大体把握できるだろう、前者に関してはこの子達のパーティーに入ることで情報を得たいと考えている。


 何故このパーティーなのか・・・理由は単純だ、この子達は仲間の為に命を懸けることができる・・・それに皆気のいい者ばかりだ、最弱パーティーと呼ばれて困っているなら助けてあげたい。


「6対4だこれくらいハンデがあってもいいだろう 俺は優しいからな?クハハハッ!!」


 普通に考えればEランク冒険者とAランク冒険者ではハンデがあろうと無かろうと勝負が成立するわけがないと思うが・・・まあいい。


「何を勘違いしている?私とお前たち4人だ それくらいのハンデはつけてやる 私は優しいからな?」


「ッ!!じゃあお前がコイツらの代行という事でいいんだな?」


「ヴァルディ殿!流石にそれは・・・いくら貴方が強くてもAランクパーティーを全員相手にするのは!!」


「リゼ殿、心配することはない全て上手くいく、ここは私に任せてくれないか?」


「ま、待つニャ!!“餓狼の牙”の女魔法使いは王都でも屈指のSランク冒険者ニャ!!」


「ヴァルディ様・・・ボクたちの事はいいですから・・・」


「すごい・・・魔力・・・肌がビリビリする・・・」


「おっと今更無かったことにしろなんてのはなしだぜ?喧嘩を売ってきたのはお前だからなぁ?」


「勝負の方法は俺らとお前一人でいいんだったな?」


「それでかまわんよ」


「よし、さっそく訓練場に行こうか?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ここが訓練場か・・・なかなか広いな・・・。


「よし!!勝負は簡単 どちらかが死ぬか降参したら終わりだ!」

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