第4話

「今日はこの家を大改良します!!」


「ふぁぁ。大改良??」


メリアはエプロンを取り、朝ごはんが並べられた机に向かって椅子に座るとまだ寝ぼけ眼のルーにそう宣言した。


「そう!だ・い・か・い・りょ・う!!」


「んー...。」


ルーは周りを見渡す。木製の床に敷かれた綺麗な赤い絨毯、ふかふかでついつい昼寝をしてしまうルーのお気に入りのソファ、天井につるされた素朴だが明るい照明、周りに飾られている特徴的なインテリア、


そして目の前に広がるおいしそうな朝食。


「十分住みやすいし良い家だと思うけどなあ。」


「うん、私もそう思うよ。」


メリアはエッヘンとやや控えめな胸を張って見せる。


「じゃあ、どうして?」


「それは、ですね...あれですよ。」


メリアは細くて綺麗な人差し指である家具を指した。


「ベッド?」


「そう、ベッド。いっつも一緒に二人で寝てるのにルーが全然恥ずかしがらないからそーゆーものなのかなって思ってたけど...」


「けど?」


「け、けど、ルーのことは嫌いじゃないけど、むしろその...好きな方だけど、けど...やっぱりほんの少しだけ恥ずかしいのですよ。」


少し申し訳なさそうに上目遣いでこちらを見てくるメリアの顔はすこし赤らんでいて見てるこっちも恥ずかしくなってくる。


「「...。」」


二人の間にわずかな甘ずっぱい沈黙が生まれた。


それに耐えられなかった二人はほぼ同時に机においてあったコップを手に取り少し冷めてしまったホットミルクを一口すする。


「そ、それなら仕方ないよね。うん。仕方ない。」


「そうそう、そうだよね、仕方のないことなのです。」


「「...。」」


「ぐ、具体的にどうリフォームするか決めてるの!?」


これ以上この空気には耐えられないため少々無理やりに話題をそらす。


「あ、ああ!それはね!えっと僕の魔法で壁を作って、僕の部屋とルーの部屋を分けるの。」


彼女も俺の意図を察して合わせてくれた。


「へー、魔法ってそんなことまでできるんだ。」


「まあ、物は試しだし朝ごはん食べたら早速始めようよ!」


気づけば二人の間から気まずさは取れていた。


そして、メリアはワクワクしながらそれだけ言うと手を合わせる。


それからルーの顔を見てにっこりと微笑みかけた。


「そうだね。とりあえず朝ごはん食べよっか。」


ルーは彼女に催促されるまま手を合わせた。


「「いただきまーす!!」」

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