2章 魔法使いの戦い

9話 才能の無駄

 自転車に始めて好きな異性を乗せた女子高校生は一睡も出来なかった。

 

 恥ずかしさからスピードを上げると、ギュッと抱きつかれる。さらに恥ずかしくなりスピードアップという循環により、身体強化の魔法をブレイクスルーし自転車を強化したり、そもそもMPが尽きても魔法行使して、魔法理論もブレイクスルーした。

 

「うー、ヤバいまだドキドキする。まだ真治の匂いもするし、どんな顔して会えばいいのよ」

 

 本人はブレイクスルーした自覚はないし、そもそも記憶にない。頭の中は好きな人の感触と香りでいっぱいいっぱいだ。

 

 いつでも阿部真治が居れば可能だろうし忘れても困らないかも知れない。

 

「早く学校に行って考えよう」

 

 それお姉ちゃんになり隊のメンバーに質問攻めに合うから余計に辛いのでは?と冷静になれば気がつくのだが、そんなことは考える余力はない。

 

 阿部真治の事しか眼中に無い、まさに惚れたが勝ちを体現している乙女はある意味最強なのだ。

 

 阿部真治の顔を直視する自信がないから登校時に会わないという先送りを決定して、水岡希更はいつもより早く学校に向かった。

 

「なんで真治を避けてるのよ?私はバカなの?」

 

 学校に着いて教室に入る直前に気が付く。だって好きな人を避ける意味はないし、阿部真治は放っといても登校してきて顔を見ないと行けないのだから。

 

 2年3組のドアを開けるとほぼ無人予定が違っている。なぜならお兄ちゃんになり隊のメンバーが登校していたからだ。

 

「おや?てんしちゃんを第一に考え見守る淑女様なのか、それともただの欲に塗れた俗物なのか?どちらでしょか?」

 

 熊尾龍太よ。言ってることはカッコいいが机に積み上げられたラノベ、ギリギリセーフなエロい表紙の薄い本、王道マンガ、説得力が皆無だぞ。後薄い本はアウトなのが混ざってる。

 

「煩い黙れ帰れ、今最悪に機嫌が悪いの、キモい死ね」

 

 寝不足で体調が悪いの間違いでは?素直になれない自分に苛ついて機嫌悪いなら納得できるか。それはそれで理不尽な八つ当たりだ。

 

「敗者でありながら交渉に応じないとは、恥を知れ!同士諸君!!我々の阿部真治同士化計画のために敵を排除するぞ!!ファイヤボール」

 

 熊尾龍太が四属性魔法の火の玉であるファイヤボールで攻撃する。

 

 それに続き各々が得意な属性攻撃を水岡希更に加える。

 

「機嫌が悪いのよ!!熊は龍に食われて、龍は熊を喉に詰めて両方死ね!身体強化マックス!!」

 

 猪突猛進はやめて側方に移動して回避する。敗北から学ぶこともあるらしい。ところで水岡希更は熊尾龍太に恨みでもあるのかと思うほどの悪口のバリエーションがある。

 

「甘い!!四属性魔法は王道なり!追尾型なのだ!」

 

 熊尾龍太の言っていることはカッコいいがやっていることは普通で動機はクラスメートをオタク化して妹を紹介させる。結論は残念すぎる演説力の無駄使いだ。悪口はスルー出来る大人らしい。

 

「しまった!でもまだまだ!遅いし威力弱い!!」

 

 水岡希更は孤軍奮闘しまさかの拳で迎撃を選択する。それがなせるのは才能か?テレからの限界突破の成果か?

 

「なんだと!?敵ながらあっぱれ。その心意気を認めよう。せめてもの手向けだ。全力攻撃で滅びるがいい!!ストーンブラスト!!」

 

 爆発したような石を叩きつける魔法を選択する熊尾龍太。この魔法の特徴は低威力の複数の石で攻撃するところだ。微妙に手加減しているのかエゲツない攻めなのか困る魔法だ。

 

「集団で一人に猛攻なんて卑怯なんだよ!死ね!死んでしまえ!!これでも喰らえ!!うぐっきゅぅう」

 

 お兄ちゃんになり隊の手数の前に防御を突破されて水岡希更は沈黙する。

 

 しかし殺られる直前に水魔法を打ち返していた。そんなことが何故できる?魔法の常識を破壊しないでくれます?

 

「魂が!!我の魂の半身がなんと無惨な」

 

 机に積み上げられた作品は水没している。アウトな薄い本を手に嘆く熊尾龍太。魂の半身がそれってどうなの?

 

「金では手に入らない価値がある!やるしかない!!我は四属性魔法と再生魔法の使い手だ!同士諸君勇姿を見守りたまえ!!再生!!!!」

 

 魔法の解除や新しい怪我の回復再生は簡単だ。しかしなぜなら身体には魔法抵抗力があり、自己治癒能力があるからだ。

 

 それらのない物の再生魔法の難易度は桁違いに高い。それこそ世界的にも天才と言えるレベルだ。

 

「うおぉぉ!我の中に完全に保存されている!!さぁ元の姿に戻るのだ」

 

「全部10冊は予備と保管を含めて持ってるのにこの情熱、同士熊尾の愛は山より高く海より深いのだな」「なんという魔法制御力とMPなんだ」「極めた魔法は美しい」

 

 どうして高等技術の無駄遣いをするのだろうか?まともにやれば世界を手に入れられそうだぞ?




―――――――――――――――――――――



 お知らせの通り中途半端ですがここで完結と致します。


 コンセプトはそのままに設定を固めて書き直します。新規ではなく引用の予定であくまでも準新作です。


 公開時期や読む順番によっては準新作はダンジョンマスターと共通設定のローファンタジーでありながらステータスや魔法の設定が異なるように感じるかも知れませんが、ネタバレにならない範囲で抑える予定です。


 解説回が大量投入されるのと、追加で普段日常では、やりたくても出来ない意味のない争いを派手にやる予定です。


 ストーリー性よりもこいつら欲望に忠実すぎるだろ(笑)。となる作品が目標です。ストーリー性はダンジョンマスターに任せます。あれも微妙ですけども。それではまた他の作品でお会い出来たら幸いです。


 駄作ながら応援ありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る