5話 放課後の紳士

 阿部真治はバイトへ遅れないよいように学校をすぐ下校する。そしてそれぞれクラスメートはバラバラに部活や下校などに別れる。

 

 そんな中で帰宅組のお兄ちゃんになり隊は教室に残り作戦を練っている。

 

「同士諸君、我らの悲願カワイイ妹を持つために作戦会議を行う」

 

「同士熊尾よ、闘争も悪くない。しかしながら、てんしちゃんにお近づきにならなくては意味がない!!」

 

「同士諸君!!正にそうなのだ!あの極上の母性と儚さを感じさせる笑み、それでいながらにしてお兄ちゃんを蔑ろにしない優しさ!!素晴らしい。お兄ちゃんにならなくてはならない」

 

「同士熊尾よ、流石にマザコンは引く」

 

「同士よ何を言うか!マザコン?甘いわ実に甘い!!シスコンとマザコンとロリコンとブラコン、ケモナー!!ありとあらゆる全てを内包出来なくて何が押しか!!全てを認め受け入れてこそ選べる立場に成れるのだ!!」

 

「「「同士熊尾はレベル高けぇ」」」

 

「この程度で納得するな!!BLから百合、スプラッターまでありとあらゆるサブカルチャーを愛する者!!それが熊尾龍太だ!!」

 

「「「くっサブカルチャーを愛する同士熊尾龍太よ!我らをお導き下さい!」」」

 

 言っている内容は残念だがカリスマは本物だ。闘争に不安を覚えていたお兄ちゃんになり隊を心一つにまとめ上げる。

 

「我らの選びうる作戦は3つだ!!」

 

「「「おおぉ〜3つもありがたや~ありがたや~」」」

 

 熊尾のカリスマ性は天元突破し神のように崇められ始める。

 

「そのためには耐えねばならん。そう母性に包まれついには胎児に帰れるほどの時をだ!」

 

「「「なんだと!?」」」

 

 赤ちゃんを通り過ぎて胎児とは意味不明すぎるが誰もカリスマの前に疑問は持たない。あと進む方ではなく退化だぞ。

 

「一つ、お姉ちゃんになり隊と同じく阿部真治を仲間に引き入れる。そして我らとてんしちゃんを共有する」

 

「二つ、クラス敵を全て下し支配下におき、てんしちゃんを保護する」

 

「三つ、てんしちゃんは常和中なのだ。登下校時に張り込めば会えるが一歩間違えば長く獄中だ」

 

 ストーカー行為が危険なのは理解しているらしい。

 

「同士熊尾よ!我ら1のイケメンを利用して、てんしちゃんと仲良くなれば良いのでは?」

 

 世の中ストーカー行為もイケメンは何故か許される。相手が不快で無ければ良いのだ。

 

「全く分かっておらん!違うのだ!なぜ気が付かない!それは妹ではない!彼女なのだぞ!」

 

「「「なんだと!」」」

 

「そうだ!我らは紳士なのだ!彼氏になり隊などという野獣とは違うのだ!!紳士による紳士のためのお兄ちゃんになり隊!!同士諸君は紳士なのだ!同士よ。紳士たれ!!」

 

 水岡希更ならストーカー行為を検討してる時点で紳士ではないと切って捨てるだろう。純粋にキモいかもしれない。だが生憎ここにツッコミ役は不在だ。

 

「ならばもっとも現実的なのは阿部真治を同士にか?」

 

 そんなことしたら太平洋へ、お義姉ちゃんになり隊により沈められるのでは?

 

「しかしリスキー過ぎるぞ、サブカルチャーに擬装していても魔法がバレたら阿部晴人が敵になるのだぞ」

 

「最強マジックキラー、解除不能のマリオネット魔法に立ち向かえるのか?むしろ我らが尻尾斬りされる!!」

 

「同士熊尾よ、最も安全策を採用していたのは分かった。だが同士諸君負けれない戦いにおいて、リスク回避では勝てないのではないか?」

 

「そうだな、阿部晴人はその時考えれば良い」

 

「同士が増えることは歓迎だ」

 

「では今後は阿部真治の同士への覚醒と、クラスを支配下に置く。この2つの計画を進めるぞ!」

 

「同士化のため勧めるべきは型○ではないかね?」「銀河○雄伝説こそバイブル」「セ○ラー月も素晴らしいぞ」「テンプレの王者、水戸黄○は外せんだろ?」

 

「同士諸君!なぜそんなにヘヴィな物を選ぶのかね!ライトな入口を選びたまえよ!」

 

「エヴ○か?あのメッセージを語らねば」「スタ○○ォー○シリーズだろう?親父との関係無くして人格はないぞ」「○マ○ガ3の音楽は価値があるぞ」「ウマ○くらいか?」「ドラ○○んとか名作」「艦○○とかやり込めるぞ」「マ○○ラには勝てんな」「SF機の難易度そこやり込みゲーぞ?」

 

「同士よ大差ないぞ?素人には無理すぎする。だいたい古いだろ?」

 

 まさかの熊尾龍太が引いているだと!?

 

「「「では同士熊尾よ!何が良いと思われますか!!」」」

 

「○○○とか、○○○○○○○、とかアニメ、マンガ化されて、無料で読めるしライトなの沢山あるだろ?鬼○の刃とかさ、初心忘れるべからずだ」

 

「そうであるな」「よし、阿部真治の好みの作品を探しに行くぞ」「新刊は今日だろ?」「初版と改訂版の違いを解説してやらねばならない再チェックだ」「大型アップデートのデータ解析せねば」「カモメの仕組みを復習するか」

 

 熊尾龍太のカリスマも素晴らしいが、超えてしまうサブカルチャー愛は強すぎるようだ。

 

 こうして悪魔の計画は実行に移されるのだった。

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