❤❤❤❤

そうそう、この後すぐくらいに体育祭があったんだよね。

先輩、かっこよかったな~!

リレーのアンカーが先輩で、一位でゴールをした時の歓声はすごかった!あ、でも、先輩のファンが増えちゃうって、あの時はちょっと焦ったっけ?

うん?いや、焦ってなかったかも…。

あ、そうだ!リレーの前にあった借り物競争で、たしか…。



「ゆゆちゃん!」


「あっ、はい!!」


いきなり先輩に名前を呼ばれ、びっくりして立ち上がる。


「えっ!…あの…?」


「一緒に来てもらってもいい?」


「は、はい!!」


そう返事をすると、いきなり手を繋がれて、ゴールめがけて走り出す。

先輩、手、手がぁ!

と、一人顔を紅潮させて、先輩に引っ張られるように走る。


「赤組の男の子、赤組の女の子を連れてゴール!!」


司会者の男の子にそう言われ、初めて一位でゴールをしたことを実感した。

え、私、と言うか先輩が一位?

え?え?と、混乱している私を知らない司会者の子は、どんどん話しを進めていく。


「お題は何ですか?」


すると先輩は、マイクを持ちながら、チラッとこちらを見て、微笑みながら言った。


「純粋な子です。」


じゅ、純粋な子、って!!

顔がまた真っ赤になったのが、自分でも分かる。

い、いやいや、そりゃもちろん好きな人、とかは想像していなかったよ。

あったとしても、『下級生の友達』とか『下級生の女子』とか『同じ組の下級生』とかかな~くらいだったから、まさか『純粋な子』なんて言われるなんて思ってもみなかった。


それから、元の応援席に戻ると、クラスの子たちに冷やかされたりし、またもや顔が紅色に染まる。恥ずかしっかったり、ちょっぴり嬉しかったり、色んな感情が混ざり合ってはいたけれど、別に嫌な気持ちでもなく、むしろ気持ちはよかったのかも。


だから、先輩のかっこいい姿が見れた事だけで十分幸せで、先輩のファンが増えちゃう事も気にならなかった。いや、気づかなかっただけなのかもしれないけどね。

えへへ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る