第36話 十二志士のお話 後半

 絵は少しずつ合流していく様子だな。戦で攻められてきたから合同で守りましょうって奴だな。他国の同盟を組んで大きい戦争になるなんて大陸じゃしょっちゅうあるわけだし。


「魔王は徐々に領域を広めていった。戦の天才だったからね。並み以下の連中はすぐにやられちまった。そしてその手は自分達が住むところもにもやってきた」


 黒い手がデカいなー。恐怖そのものというか。当たり前か。あっちからしたら侵略者扱いだし。負けたらどうなるか分からねえし。


「魔王の配下が指揮をした戦、イタノの大戦が最初だった」


 ネズミっぽいのと牛と犬と猪と猿。五人が集結した形か。あ。遠くから竜っぽいのが駆けつけてる。そういえば一度組んで自分が住むところに戻って行った感あったな。


「地を活かした戦法をした。天候も最大限活用したという話だ。霧というものがあったからね。更に濃くして、不自然のないように仕掛けたらしいよ」


 術師恐ろしいな。精霊の加護があっても、こういうの出来ねえし。やっべ。マーリンのウインクしてるの、想像しちゃった。


「数が圧倒的に不利だったからね。正攻法ではないものを取るしかなかった。流石に奴らもそれを読んでいる。だからこそ。次の手を打つ」


 何かを叩き起こす絵だな。魔獣の類だな。引き連れて遠距離部隊にぶつけてる。流石にどれだけ強力なものでも、時間がかかるからな。撃つって。半壊してる。てか。魔獣怖えし、よくもまあそんな発想をしたな。


「次にルルノエ。更にババ野原。少しずつ。協力をして。知恵を使い。彼らの侵略をくいとめていった。それこそ弱き民の希望となったろうね」


 本格的に彼らに託し始めたのもこの時期って感じか。願っている感じの絵があるし。


「本来は天下統一をするためだけならいらぬものだった。しかし障害となり得るものであった。それを魔王は理解していた」


 だろうな。


「いずれ獣の名を持つ戦士たちが集まることも予想済みだった。だからこそ。取った策は結集の妨害行為だ」


 そんなこったろうと思ってた。邪魔してるぜっていう感じの、何個もあるからな。


「それでも効果はなかった。いや。多少は時間稼ぎにはなったかが、最も望んでいた成果が出なかった」


 すげえな。妨害してた連中、寝返ってるんだけど。どうやったんだろ。マジで気になる。


「邪魔をした彼らが途中で心を入れ替えたためだ。強いだけではない。誠実で。優しく。民のことを考えられる。そういうのが理想だと感じていたからね」


 感化された奴だな。いや。元々持っていたけど、魔王の前じゃ出せなかったが正確か?


「十二の戦士が集う。獣の名を持つ者が」


 色々飛ばされてる気がするけど……やっぱり星降る夜の影響半端ないな。


「長く戦ったらキリがないと察した魔王は遂に最後の戦を仕掛ける」


 資金とかは限度あるからな。いくら魔王でもそうするか。その割に戦って感じしねえんだけど。一対一でやり合う形式になってねえか!?


「昔は一騎打ちだったんだよ」

「そ……そうなんですか」


 心読まれた。


「城で派手にやり合う形式だ。一つ一つの部屋に戦士たちが構えていてな」


 星天諸島の城だ。天帝様が住むような感じの。こう。瓦って奴があって。周りに水があって。白い感じの。馬鹿デカいから一人一人待機していたって感じだろうな。多分。


「十二の戦士のぶつかり合い。十二大戦。最終決戦。妨害すらなく、正々堂々としたものだろう。公式で見られると良かったものだが、これは国同士の戦ではない。それゆえに影の大戦とも呼ばれるのだよ」


 あ。そっか。みんな住んでるところバラバラだもんな。一つの目的で結成したようなもんだし。まあ。それでも大事なのは変わりねえか。


「本当は全部紹介したいんだがね。記録に残っているのは二つだけさ」


 星降る夜の被害相当だな!


「またですか」

「きちんと把握できているのはこれだけだ。あとはまだ修正作業しているらしいからな」


 一応手掛かりは見つかっているっぽい? 僅かなものでも直そうとするとか、すげえな。


「牛の戦士。布を操る戦士」


 感心している場合じゃなかった。話を聞かねえと。

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