第3話

 休日

 

 妹とホワイトデーの買い物に来ている。

 

「ねー、これなんかどう⁈」

「あー、無難でいいな。じゃそれ二つ買えば

 いいな。」

「ちょっと。即決かよ⁉︎」

「うん。」

 

 

 …  …  …

 

「これじゃあ、もうお買い物終了じゃん」

 ぶつぶつ言うリナ。

 

「なんだよ。もっとお買い物したかった?」

「うん‼︎せっかくの二人でのお出かけなのに

 さー。」

 

 

 恋人かよ…。

 

 

「なら、付き合ってくれたお礼になんか買っ

 てやろうか?」

「えっ、いいの?わーい」

 

 かわいい奴め。

 

 リナは、真剣に考えて選んでいた。

 そしてやっとこ決まったのは、本物の猫み

 たいな猫型ティッシュケース。

 

 

「ありがとう!大事にする‼︎」

「おう。」

 

 

 次の日

 ソファに飼い猫のマイが居るのかと思った

 ら、昨日リナに買った猫のティッシュケー

 スが首輪をつけていた。

 

 

 びっくりするじゃねーか。

 しかもその猫を寝るときに自分の部屋に持

 って行ってしまう。

 だから、ティッシュが毎回なくて焦る。

 探すとティッシュだけがテーブルに置いて

 あったりする。

 いちいち入れ替えめんどくさくないのであ

 ろうか…

 

 

「さ、寝るよー。しゅういち」

 

 ん⁉︎

 リナの部屋から声がした。

 

 しゅういち?

 オレの名前は、しゅう…

 まさか、オレの名前に寄せてないか?

 何してんだよ。リナ…

 

 

 

 朝起きると

 

 ビクッ

 

 

 なぜか猫のぬいぐるみが廊下に…

 しかも目線がこっちじゃねーか。

 

 

 ガチャ

「あっ、お兄ちゃんだ。おはよう。」

「おはようじゃねーだろ。なんで廊下に猫の

 ぬいぐるみがあるんだよ。」

「あ〜、トイレ夜中行ってそんとききっと忘

 れたのかも。」

「トイレまで持参しなくてよくない?」

「そう?」

「そうだよ‼︎」

「なら、次からトイレはお留守にするー。」

 

 

 朝からびっくりだぜ。

 

 

 さてと、朝ごはん。

 

 

 トントン。

 肩を叩かれて振り向くと…

 

 ドキッ

 猫のドアップ。

 しかも肩を叩いたの猫のぬいぐるみ…

 

「なんだよ。リナ!焦るからー」

「かわいいだろ。焦るな」

「で、なんで呼んだよ?」

「あー、お母さんがスープどっちがいいって

 さ」

「あー、ならこっち。」

「はーい。伝えてきまーす。」

 猫のぬいぐるみを使って手をあげていた。

 

 よっぽど気に入ってくれてよかった。

 でも、気に入りすぎだろ…

 

 

 ー夜ー

 風呂で頭を洗っていたら後ろのドアから、

 

 バン‼︎って音がした。

 慌てて振り向くと…

 

 ぎゃーっ

 

 

 リナがドアにへばりついていた…。

 

「おい‼︎今年初めてのびっくりだよ‼︎なんな

 んだよ。」

 

 すると低い声でリナが言った。

「お母さんがうどん何玉たべるー?って」

「あー、なら一玉で。」

 すると、黙って帰って行った…。

 

 

 なんなんだよ…

 

 あー、しかしびっくりした。

 

 

 風呂から上がると何事もなかったかのよう

 にうどんをすするリナ。

 

 

 

「あっ、おにい。ご飯終わったらさスズメの

 涙くらい勉強教えてもらえないかしら?」

「あぁ、いいよー。」

 

 スズメの涙…

 普通に少し勉強教えてでいいだろうに。

 

 

 ご飯を食べてリナに勉強を教えに部屋に入

 ると、なぜかオシャレをしているリナ…

 

 

「なんで後寝るだけなのにオシャレしてんだ

 よ…」

「だって勉強教えてもらうから。」

「パジャマでいいだろ」

「えーっ、それじゃ家庭教師と生徒の雰囲気

 がまるでないじゃーん。」

「誰が家庭教師だよ…」

「雰囲気!何事も雰囲気が大事だから。では、

 先生早速ここ教えてちょ。」

 

 

 先生に教えてちょって…

 

 

 

「だいたい理解してきたな。」

「うん。お兄ちゃんのおかげ。お礼は、何が

 いいの?高いのはだめよ。あたしだってあ

 んまりお金ないんだからね。」

「いや、いらねーよ。」

「それじゃあ、真っ黒黒企業になってしまう

 でないの。」

「ならないよ。勉強ならいくらでも教えてや

 るからな。」

「なんて優しいお兄様。これはお兄様にして

 おくのもったいないな…」

「もったいなくないから。普通だから。」

「そうなの?ちまたのお兄様方は、みんなそ

 んなに素敵なの?」

「それは、知らないけどきょうだいに勉強教

 えてやってる人結構いるんじゃん?」

「へー、そうなんだ。じゃどこにでもいる兄

 ちゃんなんか?」

「うん…よくわからないけどきっとそうなん

 じゃん。」

「そっか。ま、とりあえずご苦労だったな。

 気をつけて帰りたまえ。」

 

 

 なんで急に上から目線…

 しかも隣の部屋に帰るだけだぞ。

 

 

 やっぱりおかしな妹であった。

 

 

 続く。

 

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