第3話 なんか、ぐずぐずとしてしまう

 要領が悪いというか、さっさと物事を片付けるのが苦手です。

 ぐすぐずとしてしまう。


 いまの世の中、効率よく仕事を進めることが求められます。うちの職場では、単純な作業であってパソコンにやらせたほうが早くできる作業――集計とか、定期報告の受理とかは、人が従事するのではなく、パソコン上のソフトでやらせようとしています。その方が早い上に、正確なのは間違いありません。


 更に、わたしが働く職場は、一般に「ブラックな仕事」というイメージが定着しているようで、(決して少ないわけではないのですが)希望する人が多くはなく、常に定員割れを起こしています。いまは定年後の再任用職員を配置してしのいでいますが、少ない人材を有効に活用しないと、将来的に仕事が回らなくなってしまうという上層部の危機感も見え隠れます。


 これはうちの職場に限った話ではなく、少子高齢化が急速に進んだ日本社会全体が抱える構造的な問題で、この問題を解決するための方策のひとつが『効率化の進展』なのだと思います。


 少子高齢化の弊害は20年くらい前から言われてきましたが、ここ数年、切実になってきたように感じます。じっさいに仕事の担い手が少なくなってきました。少ない人数でこれまでと同じ量の仕事をこなそうと思えば、ひとりひとりの作業効率を上げるしか方法がありませんからね。


 ただ、効率化できない仕事というのもあって……それは、人が人を教え、育てる仕事です。こうした人を育てるという仕事を効率的にやろうとしてはいけません。人の才能や可能性を伸ばすには、無駄とも思える時間が必要なことがあるのです。



 むかし中国にせっかちな人がいた。自分の苗がなかなか成長しないのを心配して、この苗を引っ張って回った。この人が家へ帰って「苗が伸びるのを助けてやったよ」といったので、驚いた家族が苗を見に行くと、もう苗はぜんぶ枯れてしまっていた――。



 有名な『助長』という故事成語のエピソードですが、人も作物の苗と同じで、無理矢理ひっぱって成長を促そうとしても、却って逆効果ということが多いのものです。その人(作物)のペースに合わせて、その成長を待つ大切さがわかるお話です。


 わたしはカクヨムで小説を書く練習をしています。

 小説の書き方を教えてくれる人はいないので、じぶんで自分が小説を書く能力を育ているといった感じです。ときには「もっと早く書かないと」とか「もっと読んでもらいたい」とか「早くカクヨムリワードを溜めたい」とか、焦る気持ちが湧いてきますが、「もっともっと」と効率を求めるような書き方はよくないんでしょうね、きっと。


 ☆☆☆


 いま、自主企画の三題噺に向けて、お題を募集しています。

 あとふたつ、空きがあります。

 エッセイを読まれた方、ぜひ下のリンク先(近況ノート)にお題を投下してください。


 ぜんぜん効率化は求めません(せかさない)ので、三題噺にも参加お願いします~。


 https://kakuyomu.jp/users/gigan_280614/news/16816927860626053118

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る