第24話

「れいこさんっ!!やめてください。お願いです。」

「あら、貴女、私の事好きでしょ?ならいいじゃない。」

すみれは泣きながら何度も首を振る。

「そういうのではないのです!れいこさんとはこういう関係になりたくないんです!!」

「こういう関係って・・・どういう関係?」

「そ、それは・・・。」

すみれが言葉を詰まらせると、れいこはまた彼女の顎を引き寄せて口づける。

「分からない?じゃ、教えてあげる。今から。」


「やめて・・・。」

れいこはすみれの制服の下に手を入れる。

「制服が邪魔ね。脱がさないとね。」

すみれはただひたすら首を振る。しかし彼女はやはり無力でれいこにされるがままになってしまう。

「んー。下着が邪魔ね。これも脱いじゃいましょ?」

れいこは微笑んだまま彼女の下着のホックを外す。

嫌がって隠そうとする彼女の手を払いのけた。

れいこは鼻歌交じり。

どこまでも彼女は最低な人間だ。いや、悪魔。


「あら、やだ。やっぱり可愛い!野苺みたい!!ふふっ、駄目、私我慢できない。ねぇ、食べて良い?」

胸の先端。れいこの言う野苺を彼女は舐める。

「あっ・・・。」

れいこは両手で口を覆って震えながら笑う。

「可愛い!可愛い!!可愛い!!!どうしよう!どうしよう!!あはは!!どうしよう!?」


こんなのれいこさんではない。

私の大好きなれいこさんではない。

れいこさんはいつも私に優しくしてくれた。

優しく微笑んでくれた。


すみれは、もはや泣く力もない。

「ねぇ、すみれちゃん!踊って!!私と踊って!!一緒に踊りましょうよ!!」

れいこの行為はエスカレートするばかり。

「ねぇ、ねぇ!下はどうなってるの?教えてよ!!」

今度は手を合わせながら子供のようにれいこははしゃぐ。

彼女は子供だ。歪んだ子供。


「・・・ま、・・・くま・・・。」

「何?聞こえない。」

「悪魔!!貴女は悪魔よ!!」

すみれは恐ろしさで声を発することさえできなくなっていたが、懸命に声を絞り出してれいこに言った。れいこはというと、一瞬きょとんとしたが、すぐに悪魔の微笑みで言う。


「あら、貴女知らなかったの?私がただの人間なわけがないじゃない。ましてや天使なんかでもないわ。悪魔なの。私、悪魔なの。」

「れいこさん・・・お願い。私の天使のれいこさんに戻ってください。」

「無理。無理よ。そんなことより、もっと踊らない?すみれちゃん。」


意識が遠のく。

それからのことは、すみれはあまり覚えていない。

いや、覚えておきたくなかった。

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