第25話 突然の大雨と凛花のキスと

杉山に思いっきりキスされた。

嘘だろ、と思うかもしれないがこれはマジな話だ。

何か女子とキスしたら桃の味がするとかそんな噂があったけどリアルではそんな事を考える暇すら無いのが現状である。

つまり身体が滅茶苦茶に熱っている。

困った本当に参る。


「今日は有難う。みんな」


「大丈夫ですよ。朝日先輩」


「だ、ね」


(はい)


気が付けば結構時間が経っていた。

朝日は少しだけ足が痛むのか。

俺を指名してからそのまま俺以外を家に帰した。


杉山は、ごゆっくり、的な感じでニヤニヤしていたが。

アイツ不安とか無いのかよ。

思いながらの帰り道。


「.....今日は有難うね。東」


「何が?」


「色々と。試合にも来てくれて」


「俺は何もしてないさ。応援しただけだしな」


「それでも私には十分パワーになったよ」


言いながら俺をほんわかな感じで見てくる朝日。

俺はその姿を見ながら.....思い出す。

その。キッスの事を。


ボウッと火が点いた様に真っ赤になる。

それから俯いた。

するとニヤッと口元に手を当てて朝日は俺を見てきた。


「あらあら?どうしたのかしら?東ウブくん」


「ウルセェな」


「.....でもそうなるのも無理は無いよね。私も恥ずかしかったから」


「ならするなよ」


「いや。あの時して良かった。東にキスを」


言いながら赤くなる朝日。

俺はその姿に頬を掻く。

そして足を引き摺りながら帰って来る。


自宅に、である。

それから笑みを浮かべて朝日は俺を見てきた。

俺はそんな姿に柔和になる。


「俺さ」


「何?東」


「お前と幼馴染で良かったわ。色々とな」


「.....色々あったけどね。でも本当に.....そうだよね」


言いながら俺達は顔を見合わせてクスクス笑う。

そして朝日は、じゃあね、と言いながら足を引き摺りながら家に入る。

俺はその姿を最後まで見送ってから、さて、と思い家に帰る。

するとメッセージが来た。


(仕事が忙しくてゴメンだって。お父さんとお母さんから東に有難うだって)


(そうか。それは仕方が無いよな)


(だね。まあこんな不運無かったらお父さんにもお母さんにも心配を掛けなかったんだけど。東にも申し訳無い感じ)


(そもそもこんな事故を予測出来る方が凄いだろ。気にするなよ)


そうかな、と返事がくる。

俺は、そうだから、と返事を返した。

そしてそのまま家に帰る.....と。


何故かそこに凛花が居た。

顔がかなり深刻そうな顔をしている。

何だこれは?

考えていると凛花がメッセージを見せてきた。


(東さん。もしかして朝日さんと杉山さんのお2人と何かありましたか)


ギクッとしながら俺は、い。いや、と赤面して目を逸らす。

駄目だ.....思い出してしまった。

俺は必死に隠すが凛花はジト目を止めない。

そしてこんな文章を打ってくる。


(私だって)


そこまで打ってからそのまま俺に駆け寄って来てから。

そのまま首の後ろに手を回した。

そして俺に唇を奪う様にキスをしてくる。

え!!!!?、と愕然としてから凛花を見る。


「私、だって。ひ、がしさんがすきだ、から」


「り、凛花!?!?!」


「私、は。東、さんが、すき、だから!!!!!」


「凛花.....」


そして涙声になる凛花。

俺はその姿に複雑な感じで見る。

凛花の必死の想いが.....かなり伝わってきた。

俺は凛花の頭を撫でる。

それから笑みを浮かべた。


「有難うな。凛花。俺を好いてくれて」


(私は東さんが大好きです。だから抜け駆けはしないで下さい)


「抜け駆けのつもりでは無かったけど。何かその。ゴメン」


(東さんにはこうしないと伝わらないかと思いました)


「.....だな」


俺は苦笑しながら凛花を見る。

そうしていると凛花は俺を抱き締めてくる。

驚愕しながら俺は凛花を見る。


マスコットキャラクターの様な感じで抱き締めてくる。

離さない、的な感じで、であるが。

胸が!


(東さん。私だけを愛して下さい)


「.....それは無理な注文だな。俺は誰も愛せないし愛すつもりもないから」


(じゃあどうやったら東さんの中で1番になれますか)


「いや。どうって。それはちょっと無理があるかな.....」


(私は東さんしか居ません。大好きです)


「そ、そうですか」


そんな感じで対応していると。

雷が聞こえた、と思ったら。

直ぐに大雨が降ってきた。


俺はビックリしてから空を見上げる。

そして、と。取り敢えず中に入るぞ!、と凛花を連れてから家に入った。

それから、祐子!バスタオルくれ!、と話す。



「.....」


「.....」


祐子は買い物に行った。

というかこの土砂降りの中.....何しに行ったんだアイツは。

俺達を残して幸せそうに行った。


因みに背後のソファに居る凛花だが。

俺のジャンパーとかを纏っている。

真っ赤になりながら俺は確認してみる。


「り、凛花。大丈夫か」


(はい)


「そ、そうか」


それから会話は途切れる。

俺は、参った、と思いながら凛花を見る。

前を見ているが凛花は赤くなっていた。

耳まで真っ赤になっている。

俺はそんな姿を見ながら心臓をバクバクさせる。


今の今で.....


と考えながら。

そして凛花を見ていると。

凛花は文字を打ってからそのまままた見せてくる。

東さん。私これチャンスだと思ってます、と。

何がだ。


(メロメロにさせてあげます)


「何をする気かな?凛花さんは」


(例えば色仕掛けとか)


「そんな事がお前に出来る訳無いだろ」


と言ったのだが。

いきなり凛花が立ち上がる。

よく見ればズボンを脱ぎ始め.....うわぁ!!!!?

何をしているんだこの馬鹿!?

俺は真っ赤になりながら凛花を見つめる。


「何しているんだ!凛花!!!?!」


(え、えへへ。ひ、東さん。私が色仕掛け出来ないとでも!?)


「お前コラァ!」


止める為に駆け出した。

そして真っ赤になりながら凛花にチョップを下す。

凛花は真っ赤になったまま涙目になる。

俺はその姿を見ながら、いい加減にしろ、と怒る。

全くな、と思いながら。


「そんな事をしなくてもお前の事は見ているから!」


(そうですか)


「そうだよ。全く」


俺はその様に話しながら凛花を見る。

じゃあせめてもの、と言いながら凛花は俺に背伸びしてキスをしてきた。

隙があれば何をしているんだ凛花も!

真っ赤に赤面しながら俺はその様に言葉を発する。


(私は貴方が好きですから)


「だからといって隙あればキスをして良い訳では無い!」


(エヘヘ)


ズボンを履き直しながら俺を赤くなりつつニコニコして見てくる凛花。

その姿を見ながら.....甘々な凛花に真っ赤に赤面する。

そして凛花の額にまたチョップを食らわせた。

このクソ可愛い生き物め!、と考えつつそして杉山のエロ波(?)の影響か?、と考えながら。

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