第2話 紐パンと喋れない後輩と(編集)

問題といえば相当な問題があると思う。

まるで.....そうだな。

肉食動物に見つかった野ウサギの様な感じだ。

ビクビクしている。


俺は顔を引き攣らせながら目の前に座っている女を見てみる。

売店に行ってから戻って来て.....昼飯。

俺は屋上でも相当な注目を集めていた。


何でかと言えば簡単。

杉山が目の前に居るのである。

ニコニコしながら、であるが.....。


ボッチの人間に笑みを浮かべて付き合う様に一対一で飯を食っている。

友人の誘いすらもほっぽり出して、だ。

これはその。


かなり問題があると思うのだが。

屋上にも人は居るしな。

考えながら俺は汗をかきつつ杉山に聞く。


マジにお前何やってんの、と。

すると杉山は、うん。見て分かる通り興味のある君を観察している、と言う。

何言ってんの?というか観察対象って何?

俺は考えながら.....杉山を見る。


「観察対象って.....お前。屋上だけど物凄い注目を集めているぞ」


「うーん。私は興味が無いから。他の男も女も。君に興味がある」


「いや。割と真面目に意味が分からない」


「ここじゃまあ大っぴらに話せないけど.....君は明らかに他の子とは違うよねぇ」


俺は困惑しながら?を浮かべて見る。

杉山はニコニコしながらお弁当を食べる。

目の前で自作の弁当だろうか、それを。

その姿にジト目になりながら盛大に溜息を吐いた。


そして目の前に有るカレーパンを食べる。

追い払っても仕方がない。

多分それでも寄って来るだろうし。


コイツの事だしな。

そもそも俺を人質に取られてしまった。

俺がエロ垢にアクセスした事を。

また俺はため息を吐きながら周りを見つつ杉山を見る。


「それで。お前は要求でも有るのか」


「要求って?」


「何か金銭でも要求するのか。俺に。例の件で」


「いや。そんな事はしないよ?私は君を観察出来たらそれで良いしね。あ。帰りにカフェ行こうよ」


「馬鹿なのかお前は。何でいきなりそんな事に.....」


「行かないとどうなるんでしょうね?あーあ。大変だー」


「.....」


杉山は満面の笑顔。

コイツ絶対にぶち殺す。

俺は額に手を添えながら満面の笑顔の杉山を見る。

そしてカレーパンを平らげてから手を叩いてそのまま杉山に向く。

こんな事をして面白いか?、と聞いてみた。


「うん。だってこんなに気になった男の子って初めてだよ?私」


「.....?!.....お前って誰かと付き合ったんじゃないのか?」


「君も知っていると思うけどみんな振ってるから。私に似合わないし興味ないし。.....昔から知っているし」


「?.....最後の方が聞き取れなかったぞ」


「初めてだよ。観察対象としては」


そして弁当箱の中身を綺麗に平らげてから、ごちそーさま!、とニコッとする杉山。

俺はその姿を見ながら、戻るか?お前。ってか戻ってほしいんだけど、と率直な意見を聞いてみる。

すると杉山は、いいや。戻らないよ?、と俺に向いた。

それから俺の手を握って立たせる。


「じゃあ先ずは図書室に行こうか」


「何.....!?」


「先ずは図書室で君の好みの本をチェックして趣味をチェーック!」


「は、はい!?」


「君って本ばかり読んでいるからね。それってラノベだよね?」


「いやバラすなよ!?」


屋上とは言え!コイツマジなんなの!?

俺は顔を引き攣らせながらそのまま引き摺られるまま廊下を歩く。

それから人気が無さそうな場所に来てから杉山が率直な感じで聞いてくる。

君は何で私のエロ垢に興味無いの?、とニコッとしながら。

いや直球すぎるだろ。


「あのな。俺はそんなのに興味は無い。あるのはラノベの美少女だけだ」


「ふーん。それって楽しい?エッチな事をした方が楽しくない?3次元だったらセック◯出来るよ?」


「お前さんって本当に頭おかしい?」


「ふむふむ。頭おかしくはないよ。あ。でもパンツはおかしいかも」


「.....ハァッ!!!!!!!!!?」


杉山は言いながら。

見せる為かスカートを捲り上げようとする。

それって見たいよね?、と言いながら。

この馬鹿!!!!!、と思いながら赤面で静止させる。

何をしているんだ!


そして赤面のまま、止めろそういうの。人に簡単に見せて良いもんじゃない、と言ってしまう。

すると杉山は目を思いっきりパチクリした。

そしてスカートをゆっくり下ろす。

それから俺を見てくる。


「君ってエッチな事に本当に興味無いの?」


「じゃなくて君のやっている事は駄目だって事を伝えたいんだって」


「ふーん。今までの男はみんな見たがったよ?私のノーパンとか紐パンとかねぇ」


「言わせてもらうとするなら俺は男だから興味はある。そういうのはどうしても。でも.....駄目だと思うしな。そういうの」


「.....君は本当に変わってるね。.....変態さんと大違いだ。本当に.....」


意味深な満面の笑顔をまた見せながら。

じゃあまあ先ずは図書室に行こうか、と言ってくる。

せっかく目標が定まってしまったしね、とも。

俺はその言葉に首を振るが。

まあもうここまで来たしな、と諦めて歩いた。



「というか.....いつからやっているんだ。エロ垢は」


「私?そうだね。勉強で行き詰まった時から」


「親にバレてないのか?」


「バレてないよ。.....これからもバレない様にするつもりだしね」


「いやいやそれは難しいだろ」


そんな弾む様な会話をしながら図書室までやって来た。

それから図書室に入りながら司書に挨拶してから本を探す様にキョロキョロし始めた杉山を見る。


そして、あっちだね。漫画とかのコーナー、と指を差す。

というか今思ったけどラノベ的なもんは置いてなかったと思うが。

流石に学校に置かないだろ。


「まあ漫画でも君の性格は判定出来ると思うから。君はどんな漫画が好き?」


「.....率直に言うとバトル系だな」


「ふむふむ。バトルものね。メモしておこう」


「意味が分からんぞ」


何を言っているんだコイツは。

と言うかその。

メモしてどうなるんだ?


俺は顔を引き攣らせていると。

ガラガラガシャーン!!!!!、と音がした。

俺達は驚愕して直ぐにその音の方角を見に行く.....と。


女の子の水玉のパンツが目の前にいやスカートの奥から見えていた。

そして、イテテ、とか言っている。

こ。これは.....。

杉山が目を輝かせている。

俺はソロリソロリと逃げようとした。


「.....?.....!!!!!」


だが女の子はそのスカートから見えていたと思ったのかパンツを隠す様にする。

それから、見。見た?、と真っ赤になりながら聞いてくる.....あれ?

この子何処かで、と思いながら俺は見る。

杉山が少しだけ顎に手を添えていた。

俺はそれも?を浮かべて見ながら聞く。


「九条凛花(くじょうりんか)さん?」


その言葉に凛花はいち早く頷きながら立ち上がる。

そして目を輝かせた。

それからカタカタとスマホにメッセージを打ち込む。

そうしてから見せてくる。


(お久しぶりです。先輩)


ショートカットのウェーブのかかった感じの髪の毛のかなり可愛い系の美少女。

黒髪のリボンを結んで、だ。

漫画の中に埋もれていた。

俺はハッとする。

そういや.....コイツは、と思いながら。


「.....凛花。まだ治ってないんだな。その.....言葉が発せないのは」


(はい。治ってません)


「.....」


杉山がかなり悩んでいる様に見ている。

何なんだコイツはさっきから。

考えながらも俺は久々の再会に嬉しく思いながら。

落ちていた本を片付ける為に手に持つ。


「絵が好きなのは変わってないな」


言うと凛花はスマホにメッセージを打ち込んで見せてきた。

柔和な顔で、だ。

先輩が褒めてくれてから.....変わってません、と。

そして笑みを浮かべた。


(そうですね。先輩)


「.....」


凛花は.....俺と同じ様にボッチだが。

俺とは違いイジメを受けていた。

その為にこの様な感じになっている。


自分の声にコンプレックスを抱いているのだ。

俺はその姿を見ながら.....唇を噛んだ。

しかしそれはそうと同じ学校だったなんてな。

何と言う奇遇だろうか。

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