めんどうくさがりの殺し屋さん

丸 子

第1話

あるところに殺し屋がいました。

この殺し屋、稀代の面倒くさがりでした。


「あー、もー、めんどくさい!」


これが殺し屋の口癖でした。

依頼を受けてもらえるように親分はアレコレ策を弄しました。

まずは、札束を積んだり女を充てがったりと「飴」を与えましたが、どれも喜びませんでした。

次に、脅したり命を狙ったりの「鞭」を与えるために子分に襲わせたりしましたが、どれも返り討ちに遭いました。


それまでは親分への恩義で嫌々渋々ながら依頼を引き受けてきた殺し屋もついに依頼を断るようになってしまいました。

新しい依頼は積み上がるばかりです。

世の中に「死んでほしい」と願われる人間がなんと多いことか!

親分は困りました。


そこで、親分はターゲットとなる人間に「殺し屋がおまえの命を狙っているぞ」と伝えることにしました。

「使えなければ殺し合いだ」

山積みの依頼を減らすために手段は選びません。

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