第5話 ミサキ村

集落は周りを木の柵で囲った小さな村の様な感じでした。木戸には見張りが居て出入りをチェックしているようです。門番さん7が声をかけてきました。


「君たちこの村に何の用だ?」

「私達は、ええと・・。」

「旅の者で少し商いをしたく立ち寄りましたのです。通行できますか?」

「何を商う気だい?」

「主に魔物の素材です。鉄もご入り用であればお売りします。」

「鉄もあるのか!よし、ではこの木札を持って通るんだ。出る時に返す仕組みだ。」

「わかりました。商工ギルドはありますか?」

「こんな小さな村にはないよ。中央広場が市になっているからそこで商売しな。」


私が返答にまごついているとミハイルが全部そつなくこなしてくれました。さすが私のミハイル、有能で頼りになります。私達は2枚の木札を受け取り中央の広場へと向かいました。


「ミスナ様。この村で手持ちの素材を売り払い路銀を調達しましょう。」

「そ、そうですね。お金が無いと旅も困りますからそうしましょう。」


ミハイルは異空間収納からテーブルを出しクロスをかけてその上に魔物の素材と私が作った鉄のインゴットを並べて行きました。周りにも屋台やむしろに座って商売している人たちが居ます。ここはそういう市場みたいな自由広場なのでしょう。早速お客さんがやってきました。


「サハギンか。海辺のこの辺じゃよく見かける魔物だな。食糧にもなるから貰おう。」

「こっちはコカトリスか!これは肉が美味いんだ。分けてくれ。」

「鉄かこれ!?この辺にゃめったに売りに来てくれねえから品不足なんだ。いくらだ?

「鉄1キロ当たり20ゴルドです。」

「うほっ!そんなに安いのか?じゃあ200キロくれねえか!」

「こっちには鉄150キロ売ってくれ。」

「俺のところは300キロ欲しい!」


村の鍛冶屋さんみたいな人たちが群がってきて大量に鉄を欲しがってきました。この村には最近鉄があまり入ってこない様で喜んでくれています。先ほど作ったインゴットでは足りないので私はスキルで必要な分の鉄を生成して行きます。ミハイルが見事に捌き見る間に売り物は捌けていきました。


「「「何もない所から鉄が出てきたぞ!」」」

「ええ、そういう魔法スキルですので。」

「鍛冶師の俺が見た所この鉄の純度はその辺お製鉄所で作るのは無理なものだ。この鉄に刻まれている印の中に創造主エリス様ってなんだい?」

「それはこの世界を創造主エリス様の御力でお創りになったと言う意味で刻みました。」

「なるほど。俺らの創造主はエリス様と言うのか。名前からして女神様なのか?」

「そうです。とってもお綺麗で優しいお方ですよ。覚えていてくださいね。」

「こちらのミスナ様はエリス様が地上に使わされた御方なのですよ。」

「「「ななんだって!?」」」

「「「聖女様に対してとんでもねえ御無礼致しました。」」」

「皆さん頭をお上げください。私は砂魔法が得意なサンドウイッチですから。」



集まった人たちが恐縮して頭を下げてしまいました。そして村の代表と言う方が呼ばれてきて屋敷に招待されました。これは行くしかありませんね。片づけて向かいましょう。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る