第十五恋 貯めるオタク君

 突然だが、俺の特技であり趣味に「貯金」がある。扶養内で稼ぎまくり、食費をギリギリまで削り、娯楽費は最小限、推し事の必要経費は発売予定のものを予め計算した上でそこに+α、生活用品は柔軟剤以外はほぼ100均。そうして捻出したものを毎月毎月キッチリと貯金する。ちなみに先月で70万に乗り、ついATMの前でほくそ笑んで後ろに並んでた人を鏡越しに驚かせてしまった。7は好きなキャラの出席番号なんだ、このオタクを許してくれあの時の後ろの人。

 特に目標があって貯金しているとかではないのでなぜ貯めるのかと問われれば返答に困るが、理由を捻り出すとするならば「貯まっていくのが快感」だからだ。段々と数字が大きくなっていくのが楽しいし愉快に感じる。その貯まったお金で何かを手に入れることが出来るのも魅力的だ。多分大好きな祖母に「稼げる時に稼げ」との教えを受けたことも背景にある。そういえば「財産と知識は重しにならない」も祖母の教えだったな。案外祖母は強か者らしい。

 何はともあれ、現実で「貯金」もとい「貯める行為」が好きな俺が好きなゲーム上で石を貯めない訳が無くて。しかもその石は、貯めれば貯めるほどアイテムと交換出来たり心躍るガチャを回すことが出来るのだ。とりあえず天井分貯めようと貯め始め、つい先日無課金にして2天井分貯めきった(関係ない話だが俺はゲームにお金を落とせない代わりにグッズやらなんやらで公式様にお金を落としているので許して欲しいです課金プレイヤー様。もちろんお金を落とせない・落とさない方々もそれぞれの推し事を楽しんで頂ければ至極光栄に存じます、ハイ)。これで欲しいキャラは確定でゲットできるので、実質の排出率は夢の100%!!FOOOOOOOOOO!!!イエア!!プチョヘンザッ!!さいこおおおおおおおおおおおおおおっ!!

 とまぁ、オタクの狂喜乱舞をご披露させて頂いたところで。余裕が出てくれば自然と持ち上がる問題もある。ズバリ「無駄遣いの誘惑」。貯金だったら少し高いお菓子、コンビニ弁当、普段だったら買いたいものリストにすら載せられないお高めグッズ。貯石だったらイベント用パック、ブースト、アイテム、恒常ガチャ。これらが揃いも揃って手招きしてくる。まぁーそれが辛いったら辛いったら。貯金に関しては一定の線引きをして乗り越えたが、貯石に関するものが本当にキツイ。マジでキツイ。最早崇拝しているレベルの推しと大好きで大好きで仕方がないキャラの為に堪えてはいるが、最近はずっと石をぶっ放したい衝動に駆られている。


 誰でも良いから俺を止めてくれええええ


 俺の叫びが届いたのか否か。推しキャラのイベント限定がガチャ実装されたのは、もう少し先のお話し。

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