11:スキルの説明と新たな視聴者

「まず、私の言う事は本当なのと、実は今も私はスキルを使ってるんです。

 さっきのクリーンの使い方もこのスキルの影響で試してみたんです!」

「どう言う事だ?」

「今も使っているってどう言う事?」

 私は話す事に不安しか感じなかったけれど、この人達なら信用できると思い、話す事にした。


「まず、スキル名は異世界配信というのはさっき見たと思いますけど、やれる事は私の見ている景色を異世界の人達に見せる事だそうです」

「そ、それだけなのか?」

「そんなのってあるのね⋯⋯」

 私がスキルの大まかな説明をすると、そんなスキルがあったのかと二人は驚いていた。


「それと、その異世界の人がスパチャと呼ばれる物を私にくれると、スキルが使えるようになります」

「どう言う事だ?」

「スパチャの金額に応じてポイントと言うのが貰えるんですが、このポイントを使うとスキルが取得出来るんです」

「スキルをレベルアップ以外で入手出来るスキル、と言う事かしら?」

「はい、大体そんな感じです」

 私は大雑把にスキルについて説明をすると、二人は考え込んだ。


「それとクリーンの使い方がどう関係するのかしら?」

「えっと、このスキルですね⋯⋯異世界の人とお話しができるんです。

 それでそのお話している人が部屋にかけれないの?と言われたのがきっかけで⋯⋯」

「なるほ⋯⋯何だって!?」

「どう言う事!? いやクリーンは良いとしても、異世界とお話!?」

「あの、まず異世界とは何なのでしょうか?」

 シスターさんは異世界と言うものにピンと来ていない様子。


「この世界とは全く違う世界だそうです。

 コメント、と言うか、お話して教えて貰った感じだとお互いに行き来するのはおそらく不可能だろうと言っていました」

「それは、本当なのか?」

「分からないですけど、魔法を見てとてもはしゃいでいて、その世界に魔法は無いから羨ましいと言っていましたよ!」

「確かに、信じ難い⋯⋯だが、固有スキルに関しては謎の多い物だからあり得なくは無いな」

「後はスパチャという物を貰うとスパチャ残高と言うものが増えて、異世界の物を購入出来るみたいなんです」

「何だと!?」

「私はもう付いていけないのだけど⋯⋯」

「ちなみにどんな物が買えるんだ?」

「あっパンとか、色々ありましたけど、私もまだ見きれてないんです」

「パン? そんな物まで買えるのか?」

「食べ物を買えたおかげでこうして生きていられる感じです。でも、あんまり沢山買えるわけではないのでそこはあってないような物と思うようにしています」

「確かに、あてにしていざという時に使えないと命に関わるからな。 それでいいと思う」

 今思うと、あの瞬間にスキルを覚えていなかったらおそらく私達は、死んでいたと思う。


「⋯⋯そう言えばどんな生活をしていたんだ?」

「木の実なんかがあれば良い方で、何も食べないか、小さな動物を必死になって捕まえて、石で皮を剥いだらそのまま齧り付いていました。

 でも大体お腹を壊しちゃうので薬草を齧ってお腹の痛みを誤魔化していました」

 改めてこうやって言葉にしてみると、私のいた環境がいかに酷かったのかがよく分かる。


「⋯⋯子供になんて思いを、こんな事を平然と出来るなんて、やはり許せん」

 アルスはボソリとそう呟くが、その言葉はリナには届いていなかった。


 そして、粗方説明が終わると、アルスさん達は宿を取る為に一度街に戻るみたいで、私達はそのまま孤児院でお世話になる事にした。


「それじゃリナ、明日の朝ギルドで待ってるからな」

「最初は私達が付き合ってあげるからね」

 アルスさんとエリナさんが明日は着いてきてくれるなんて、凄く頼もしい。


「はい!よろしくお願いします!」

「それじゃシスター、リナとリサの事頼んだ」

「また近いうちに顔出しに来るわねー」

「はいはい、いつでも帰って来て良いですからね」

 シスターさんは少し笑いながらそう言うと、二人は街へと繰り出して行った。


「とりあえず私達はどうすれば⋯⋯」

「もうすぐ夜ご飯の時間ですから、部屋で休んでもらって大丈夫ですよ」

「良いんですか⋯⋯?」

「疲れたでしょう? その年でワリィーノの街から歩いて来たんですから、ゆっくりしていてくださいね」

「ありがとうございます!」

 そして私は部屋でリサとベッドの上でまったりとする事にした。


「おねぇちゃん⋯⋯」

 リサが眠そうな顔をして私に身体を預けて来た。

「リサ、眠いの?」

「うん⋯⋯」

「良いよ、時間になったら起こしてあげるからね」

「うん⋯⋯」

 どうやら相当眠いようで、返事もままならない状態みたいだし、このまま寝させてあげよう。


「寝るのは良いんだけど、私の身体にしがみついたままなんだけど⋯⋯」

 でも、気持ちよさそうに眠ってるし、まぁいっか。


 私は空いた時間でスキルの確認を始める事にした。


:あっ、もう落ち着いた?

:妹ちゃんかわゆす

:何とか住む場所確保出来たようね!安心したわ!


 確認を始めると突然コメントが沢山書き込まれた。


「あっ、あれ!? いつの間に!?」


 私の視界にある視聴者数が3人になっていた。

 初めて3人も来たから少しびっくりしてしまった。


:ニートに呼ばれたから来てみたんだが、妹ちゃん可愛いね、お腹一杯食べさせてあげたい

:いやいや、リサちゃんも食べさせてあげないとダメよ?

:んでスパチャしてあげると支援してあげれるってのはガチなん?

「え、えっと、そうですね⋯⋯そのおかげでスキルも取得出来たので本当に助かりました!」


:んじゃ俺も投げてみよー

:いや本当気軽に投げすぎだろ⋯⋯

:まぁ働いてるからそれくらいはな?


「えっ、その、無理にスパチャくれなくても大丈夫ですよ⋯⋯?

 今は住む場所もなんとかなりましたし!」


:いや、俺は投げるのが趣味なんだ、気にしないでくれ

:こいつ月に5回とか上限投げてるからなぁ⋯⋯羨ましいよ

:んじゃ、自分で稼ぐんだなwww仕事なら紹介するぞ!www

:そうよそうよ、仕事して投げればリナちゃんも嬉しいし、WinWinの関係よ!


「ど、どんな趣味ですか!?」


:おい待て⋯⋯

:ん?どうした?

:上限、無いんだが⋯⋯

:どう言う事よ?

:50000円投げようとして間違えて500000円にしてしまったんだが、決済は出来なかったけど、50000円超えて入れれるんだが⋯⋯

:いやそれ決済できてたらやばいじゃん!?

:まぁ10万入れたんだけどな。1日に10万投げれるとか、最高じゃないか

:いやそれお前だけだから⋯⋯


「えっ? 10万スパチャ残高が増えてる⋯⋯?」

 冗談だと思ったら本当に残高が増えていて、私は震えるしか出来なかった。


:ま、こんだけあれば当分大丈夫だろ?あとさ、実際に買う所見せてよ!

:でもご飯前だし、変に食べる物はやばく無い?

:だったらさ、ナイフとかは?冒険者ってのやるんだったら必要じゃない?

:売ってるのか?

:確かに、日本のナイフならかなり良い物だからいけそうね


「え、えっと⋯⋯ナイフですね⋯⋯」


 私は画面を確認して、ナイフを探すと沢山の種類があった。


「あの、凄く沢山あるんですけど⋯⋯」

:一番高いのはいくら?


「10000スパチャ残高って書いてあります!」

:よし、買ってみよう


 投げてくれた本人がそう言っているのもあり、私はそれを買ってみる事にした。


「ふわぁ!?」

 ポンッとナイフが現れ、私の手に握られた状態になっていた。


:いや、ガチじゃん⋯⋯

:しかもこれ関のじゃない?

:良いやつが出るんだね⋯⋯

:あっ、砥石も買った方がいいよ

:確かに

:確かに必要ね


「こんなに良い物を⋯⋯ありがとうございます!」


:へへっ、気にすんな、無駄遣いしないように気を付けてくれよな!


「はい!」

 そして増えたスパチャポイントもあるから後で相談しながらスキルとかを取得していこうかな。


 その前にもうすぐご飯らしいから、一度配信を止めて、またご飯の後から始めると教えると、皆納得してくれた。


 明日は私が冒険者デビューする日、頑張ってやってみよう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る