第9話 凛からの電話

1週間後

携帯の着信音に懐かしさを覚えた。!! 凛からだ。

「はい、もしもし」

「私、久しぶりー。覚えてる?」

「忘れるわけないじゃない!」わざと、つっけんどんな言い方になる。

「ごめん。あのさ、本当にずうずうしいと思うけどもう誰にも頼めなくて。お金、貸してくんない?」

あきれる。久しぶりの電話がこれなんだ。

「いくら?」あっ、バカ。なんで、すぐ返事するの。

「彼氏がさ。やくざから借りた金が返せなくてやつらに捕まっているの。殺されるかもしれない、お願い」興奮しながら、言葉を発する。

「50万」

「そんな大金、すぐにはいって渡せるわけないじゃない」

「わかってるよ。でも、お願い。他に頼める人がもういなくて…親友でしょ?」

何が、親友よ。こんな都合のいい時のための言葉なの?

「……返事できない」

「今日の夕方7時に、雁団通りのとこで待ってる。ね。お願い」

「約束できないよ」

プツンと電話は切れる。ったく、勝手な。その行動的なところが、学生の頃は頼もしかったんだけど。まったくこれが人に金を借りる態度? それにしても、50万かあ。ハアーため息しかでない。

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