占い師

クースケ

第1話 占い師

「お次の方 どうぞ」

初々しくも潤しい その声に立ち上がると

20代半ばに見える女性が立っていた。

彼女の案内で背丈ほどある暖簾の先に進むと

目の前には3畳ぐらいの手狭な部屋に半分以上を占めている机があった。そこに座っていたのは長い髪を一つに束ねた、端正な顔の若い男だった。



さっきの娘といいこの占い師といい、今時はこういう仕事も容姿がものをいうのか。如月 洋子はぼんやりと考える

今までは占いにお金をかけるなんて勿体ないと思っていたが、友達の春日野 凛の切々たる願いで仕方なくやってきた。

今流行りの口コミで当たると評判の占い師に見てもらうため炎天下の中、3時間待ちの行列に閉口したが煽るようにマスコミがテレビで取り上げてからは長蛇の列が絶え間ない。

その要素の一つがこのモデル並みの容姿。

目の前にして洋子は納得した。こんなに白い肌は見たことがない。ボッと見入っていると男は事務的に椅子にどうぞと進めてくれ、机に置いてある飲食店においてあるようなメニュー表を指す。

カラフルなポップで彩られ目立つように(20分で2つまで占うことができます。

恋愛、仕事、趣味、悩み)と言ったことが書いてある。

決まりましたら始めましょうと目の前の男が促す。


「うーん」洋子はその表を前にして少し悩む。

今日は凛の付き添いで来ただけだし…仕事先も小さい会社だけど務めて1年になる。入りたての頃と比べて、事務の仕事も単調で慣れてきて特にこれといって悩みもない。本社真能企業の支店にあたるので人間関係も少人数で、支店長はじめ気さくな人ばかりなので人見知りな私でもやっていけてる。

あと寝るのと食べるのが趣味で、特に占ってもらうこともないけどなあ。

それでも仕事と恋愛と伝える。その方が手っ取り早くことが進む。


生年月日と血液型を聞かれ、手のひらを向け手相を見せる。

男の手が私の手を触った瞬間、何か電気のようなものが身体中にビリッとはしった。

「痛い!!な、なに、これ?!」

「いたあ!!」相手の占い師も、手を引っ込める。

静電気?!ですかね。すぐさま落ち着いた声で続ける。

静 電 気 なの?今のが⁈ かなり強烈に一瞬とはいうものの電気がはしった。




















 






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