第4話

第7話 鮭くん、本能の目覚め


ある日のこと。

いつものように淀みの中を行ったり来たり遊んでいるとき。

急に思い立ったように。

鮭くんが言いました。


「かえるくん。ぼくはここを出ようと思うんだ。

かえるくんとずっと一緒に暮らしていたいけど、ここを出てぼくは川を下らなきゃいけない気がするんだ」


「ええ!なんで?」


鮭くんの突然の告白に、困った顔をするかえるくんです。


続けて鮭くんが言います。


「なぜかわからないけど、川を下らなきゃいけない気がするんだ」


まだ見ぬ外の世界へ行きたいという鮭くん。

ただただ困惑するかえるくん。


「亀じいさんに聞きにいこう!」


「うん。それがいいよ!」


ふたりは亀じいさんのところへ。

大きな岩の上で、いつも寝てばかりいる亀じいさんです。


「亀じいさん、こんにちは」


「おぉ、仲良しの鮭くんと、かえるくんじゃの」


「教えて亀じいさん。

なんでぼくはそわそわするんだろう?

そしてここから外へ行かなきゃいけない気がするんだ」


鮭くんがこうたずねました。


「亀じいさん、こんにちは」


「教えて亀じいさん。

なんで鮭くんは外に行きたいの?」


かえるくんもたずねました。


「亀じいさん。どういうこと?」


「亀じいさん。どういうこと?」


ふたりがたずねます。


「ほっほっほ

そろそろ旅立ちのころかの」


亀じいさんが答えました。

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