EP012 月曜日の憂鬱

月曜日の朝

学校、仕事に行く事が面倒だと思う事ってあるよね。

別に行って仕舞えばそれなりに授業はこなすけど行くまでが面倒と感じる。


電車も混んでるし

ライフルケースは幅取るし

憂鬱な気持ちを引き摺りながら駅に向かう。


私はぼっち系のコミ症でちょっとうつだけど学校は休まずちゃんと行っている。


クラスでも全く誰とも話さない訳ではなく

1組は進学クラスで内部進学組も多い。

だからお受験組が学園のルール的な事や

勉強の話題がほとんどだけれど

聞かれたから答える。


そして今日も窓から外を見る。


遅刻ギリギリで1人の生徒が教室の前の扉から入って来た。


頭はボサボサ

上着を手で持ってゼイゼイ言いながら

先生に小言を言われ席に着く

皆んなクスクスと笑い朝の緊張感が解れた。


あの子、、、?

拗らせちゃんじゃない!


私の席は1番後ろで

いつも窓の外ばかり見ているし

前向いても皆んなの後頭部だから

今の今まで同じクラスだったとも

気がつかないでいた。


しかも拗らせちゃんは教室入って直ぐの1番前

そりゃ他人に興味が無い私にはまったく気付かせない距離だった。


彼女の名前は三日月マヤ

かなりのちびっ子さんだ。


午前中の最後授業は体育だ。

月曜日が憂鬱な理由の一つだ。


体育館で卓球やバレーボール、バスケとかならまだしも…

「なんで今日に限ってトラックを走らされる1.500m走なんだ!」

「JCに1.500mのタイム計測が必要か?」

 

運動は自分でプライベートでやるから勘弁して欲しい。

まあダンスじゃ無いだけいいけど。

あればやばいしはずい、、、


走り始めると身体能力向上により

何時もよりも苦しく無く走れる。

楽しく走れる!

悪目立ちになる所だったから

7位くらいで完走した。


先生が

『レイ!タイムが上がったな』

『運動部入らないか?』


と言われてスルーした。


マヤは後ろから2番目ブービィー賞と先生にいじられる。


先生が

「ペケはモノマネ披露!」

とか訳の分からない拍車をかけ

ペケとデットヒートを繰り返しての

堂々の走りだった。


最後の2人の走りを皆んなで称えた。


モノマネは嘘だったと先生は言い

「いいか最後にあんなにスパートするならお前達最初からペースを上げて走れ」

と言われてる。


確かにそう思う、、、


「お腹空いて来た!」


今日体育が終わればもう終わったも同然って皆んなは思った事無い?


お昼はいつもの屋上です。

この前跳び箱タイヤでやらかしたから行けなくなった。 


おにぎりを食べながらスコープを覗く?

怪しさ満点。

通常はスマホを見るとかだよね。


屋上はBOY Meets Girlとなっており

キャッキャしているから割と干渉されない。私以外のお一人様もチラホラ。


スコープを覗く私に興味を持って

1人の少女が近づいて来た。

いきなり声をかけられびっくりした。


『ねぇ?此処いいかしら…』


「どうぞどうぞ」


席は空いているのに何故ここに?


「わたしは食べ終わりましたからどうぞ」

と席を立とうすると。


『待って…』

『ちょっとおしゃべりしない?』


嫌ですと言いたい所だけれど

これは逃してくれないパターンだよな。


『私バスケ部の月城リン!』

『よろしくね』


「はあー、朝比奈です」


『名前は?』


「レイです」


『単刀直入に聞くけど昨日TDL行った?』


「はい?」


『昨日バスケ部のジュン君とデートした?』


「えーっと…言わないとダメですか?」


『うん、ダメ!』


「あーっと…」

「母親にチケットをもらったからお隣の

興梠君誕生日だから一緒に行ったらと言われて行きました」

「本当は妹さんも行きたかったけどチケットが2枚しか無くて…」


『どんな関係?』


「お隣さんの幼馴染です」


『なんで双子コーデ?』


「えーっと…いつもお世話になっているから

母親と選んであげた服が気に入ったらしく

直ぐ着て行くって…」

「私は着替えると言ったけど

なんだか映えるとかなんとか言われ

そのまま…」

「実は母親も同じの持って居て三つ子コーデの訳でして…」


『三つ子コーデ?』

『まあいいわ』


『それで…』


「?!」


『好きなのジュン君の事』


「あの、ただの幼馴染です』

『それ以上でも以下でも無いです』


『じゃあなんでジュン君の待ち受け

一緒に写っている写真なの?』


「それは本人に聞いてもらえると…」

(あいつめ!待ち受けなんて見せんなよ!)


『聞けないからあなに聞いているの』


面倒くさいなこの子…

ジュンジュンの事好きなんだきっと

私は女の子のこういう会話が1番苦手。


よくよく話すと別の子に相談されて

声をかけて来た様で…

ジュンジュンは私に好意はあるけど

私はなんともないという状況を説明出来た。


引越ししてから土地勘のない私を母親に頼まれての送り迎えをしてくれた話もして幼馴染として認められた。

中学生になって恥ずかしいからもう送り迎えはいいと話した事やバレンタインデーもあげてないしお誕生日についは今までありがとうの気持ちを伝えて初めてあげた事など説明した。納得してくれた。


その子には同じ部活ならまず皆んな一緒に帰ったり、いつもお腹空いているから帰りにマックで宿題したりして距離を縮めたらと提案した。

思春期の男の子なんかそのうち1番近くにいる子にムラムラ来るに決まっていると話すと


『あなたってとてもドライで面白い人!』

『レイ友達になろう!』

『よろしくね』


「はあ…」


『何なのよ〜気の無い返事して』

『そこがまたいいけど』

『突き放されるとかまいたくなるのよね私』


私は何をしているのか?

育てたペットの性格や癖を新しい飼い主に

紹介しているブリーダーの気分だ。


『それでそれ何?』


「これ?はライフル銃のスコープです」


『ライフル?』

『なんでそんなもん持ってんの?』


「それについては今後おいおい、、、」


『えー!教えてよ〜』


「今度会う時まで内緒です」


『マジか、明日からレイを探して回るぞ!』


「どうぞご自由に」


どうやら面倒なタイプに好かれてしまった。


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