22.悪口 〜より

22.前節/中節/後節

    ◆◆◆ 前節 ◆◆◆



━─━─ № 22-1 (2,464) ─━─━

  〖あくるあさ〗(名詞)


あくるあさ】⚠⛏  #2,526

 〈翌日の朝〉の意。

 〔翊〕は〔翌〕の異体字であり、{あくるひ}の読みがある。



━─━─ № 22-3 (2,466) ─━─━

  〖しどけない〗〖しだらない〗〖だらしない〗(形容詞)


い】⚠  #2,527

 〈たくていをなしていない〉〈乱れていて情けない〉の意。


糸筋しだらい】⚠⛏  #2,528

 〈ちつじょが保てていない〉の意。

 「糸筋しだら」と書いて同義。

 [しだら]の原語は〈いとすじ〉転じて〈筋道〉〈人道〉〈経典〉の意のサンスクリット「sūtraスートラ」であり、{}をはじめとして漢字表記が多数存在するが、全て当て字である。

 仏教に強くかかわる言葉ではあるが、サンスクリット自体はただの自然言語であり、仏教に直接の因果は無い。

 なお「saṃskṛtamサンスクリット」は〈完成された言語〉の意であるため、{サンスクリット語}は{イングリッシュ語}同様の不自然な表記である。

 ちなみに「経典」は〈しゃの教えを収蔵したもの〉の意の「きょうぞう」とも呼ぶが、これに加えて〈規則や道徳を収蔵したもの〉である「りつぞう」、〈きょうぞうりつぞうに対する解説を収蔵したもの〉である「ろんぞう」、この三構成で仏教典は成り立っており、この三つをあわせて「さんぞう」とう。

 知っていると『西遊記』がちょっと楽しくなる小ネタ。


筋糸だらしい】⚠⛏  #2,529

 〈糸筋しだらい〉の意。

 [だらし]は芸能業界用語的に「糸筋しだら」の音順を倒置したもの。



━─━─ № 22-5 (2,468) ─━─━

  〖ふんす〗⛏(名容詞)


ふん】⚠⛏  #2,530

 〈⦅特に鼻息を⦆いたりったりするさま〉の意。

 転じて〈息巻くほど得意げだったりやる気があったりするさま〉の意。



━─━─ № 22-7 (2,470) ─━─━

  〖ゆうべ〗(名詞)


ゆう】⚠  #2,531

 〈夕方のころ〉の意。

 転じて〈うたげもよおすころ〉〈うたげ〉の意。

 現在の宴会は一般に夜開催するが、昔の時代では照明のコストが高かったため日没前に開催し、夜は寝るものだった。


昨夕ゆうべ】⚠  #2,532

 〈昨日の夕方〉の意。


昨晩ゆうべ】⚠  #2,533

 〈昨日の晩〉の意。

 転じて〈昨日の房事あっはんうっふんのころ〉の意。

 なお〔晩〕は〈日没から就寝時刻までの間〉の意。


昨夜ゆうべ】⚠  #2,534

 〈昨日の深夜〉の意。



━─━─ № 22-9 (2,472) ─━─━

  〖かつあい〗(サ変名詞)


かつあい】⚠  #2,535

 〈惜しみながら手放したり省略したりすること〉の意。

 〈単純に捨て去ること〉の意で言うのは語義不相応。



━─━─ № 22-11 (2,474) ─━─━

  〖またもやみたもや〗⛏(成句・副詞)


もやもや】⚠⛏  #2,536

 〈二度までもか三度までもか〉の意。



━─━─ № 22-13 (2,476) ─━─━

  〖もにもに〗〖もにゅもにゅ〗⛏(名容詞)


もに】【にゅもにゅ】⚠⛏  #2,537

 〈柔らかくて弾力に富むさま〉の意。

 転じて〈可愛らしくも至らずつたないさま〉の意。



━─━─ № 22-15 (2,478) ─━─━

  〖あけっぴろげ〗(名容詞)


けっぴろげ】⚠⛏  #2,538

 〈⦅戸や窓などが⦆すっかり開けきった状態であるさま〉の意。

 転じて〈⦅物事が⦆つつしみなく明らかにされるさま〉の意。


けっぴろげ】✗  #2,539

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈広げる(spreadスプレッド)〉の意となるが、当該語は〈開かす(openオープン)〉ことをうもの。



━─━─ № 22-17 (2,480) ─━─━

  〖けぢめ〗〖けじめ〗(名詞)


けぢめ】【けじめ】⚠⛏  #2,540

 〈連続する物事などの境目〉の意。

 転じて〈物と物との区別〉〈道理や規律などに対する分別〉の意。

 組成は〔かち〕。

 他方、〝における「けつ」が語源だ〟とする説もあるが、これは〈終盤でまだ決まらない目を詰めること〉の意であり〈区別〉の意は導けないため、しんぴょう性はいちじるしく低いと思われる。

 〔数〕の字が当てられるのは〝「かず」とは区別あるものが連続したもの〟という事によるが、この読みが載っていない辞書は少なくない模様。



━─━─ № 22-19 (2,482) ─━─━

  〖どぢ〗〖どじ〗(サ変名容詞)


】【】⚠⛏  #2,541

 〈鈍くて手際が悪くよく失敗するさま〉の意。



━─━─ № 22-21 (2,484) ─━─━

  〖ちやほや〗(サ変名容詞)


】⚠⛏  #2,542

 〈ちょうよ花よとばかりに多数からでられるさま〉の意。



━─━─ № 22-23 (2,486) ─━─━

  〖ふんぬん〗〖ふんうん〗(サ変名詞)


ふんぬん】【ふんうん】⚠  #2,543

 〈め事〉の意。



    ◆◆◆ 中節 ◆◆◆



━─━─ № 22-25 (2,488) ─━─━

  〖おっとり〗(サ変名容詞)


おっとり】⚠⛏  #2,544

 〈せせこましくない人柄〉〈ゆったりしていておうようなさま〉の意。

 〔乙〕は〈草木が曲がりくねって芽生えるさま〉が原義であり〈若い〉〈美しい〉〈幼い〉転じて〈おもむきのある〉の意。

 ちなみに〝〔り〕が語源だ〟とする説がみられるが、こちらはむしろ〈急ぎ〉〈粗暴〉の意味合いを持つため語義不相応。



━─━─ № 22-27 (2,490) ─━─━

  〖おっとる〗(ラ五段動詞)


る】⚠  #2,545

 〈勢いよくつかみ取る〉の意。



━─━─ № 22-29 (2,492) ─━─━

  〖れいり〗(名容詞)


れい】⚠  #2,546

 〈とても賢くて利口なさま〉の意。

 いやあ、それほどでも(



━─━─ № 22-31 (2,494) ─━─━

  〖いやしくも〗(副詞)


いやしくも】⚠  #2,547

 〈曲がりなりにも〉〈つたないながらも〉の意。

 語源は〈出自がよしろくない〉の意の〔いやしい〕。



━─━─ № 22-33 (2,496) ─━─━

  〖さぶらう〗〖そうろう〗(ワア五段動助詞)


さぶらう】【そうろう】⚠  #2,548

 〈お仕えする〉〈おそばる〉の意。

 転じて〈る〉〈ござる〉の意で、手紙の言いきりの文末でよく用いられる。

 これを語源とする「さむらい」はつまり役職であり、基本的に武士しか採用されないが〈武士〉そのものを指すわけではない。



━─━─ № 22-35 (2,498) ─━─━

  〖はした〗(名詞)


はした】⚠  #2,549

 〈丁度よい境を越えていて半端である状態〉の意。

 転じて〈取るに足らないもの〉〈雑用〉の意。

 組成は〔はし〕。



━─━─ № 22-37 (2,500) ─━─━

  〖はしため〗(名詞)


はした】⚠⛏  #2,550

 〈雑用をこなす奴隷や召遣い〉の意。


はした】⚠  #2,551

 〈女性のはした〉の意。



━─━─ № 22-39 (2,502) ─━─━

  〖ねや〗(名詞)


】  #2,552

 〈寝場所のある家屋〉〈寝室〉の意。


ねや】⚠  #2,553

 〈夜の営みあっはんうっふんをする寝所〉の意。

 転じて〈婦人の寝室〉の意。

 語源は[]だが、単に寝室を指すでなく〈お励みあっはんうっふんをする場〉を限定的に指すもの。



━─━─ № 22-41 (2,504) ─━─━

  〖けろりと〗(副詞)


けろりと】⚠⛏  #2,554

 〈何とも無いかのように〉の意。



━─━─ № 22-43 (2,506) ─━─━

  〖じっくり〗(副詞)


じっくり】⚠⛏  #2,555

 〈入念に時間をかけて行なうさま〉の意。




━─━─ № 22-45 (2,508) ─━─━

  〖あくび〗(サ変名詞)


あくび】⚠⛏  #2,556

 〈口を大きく開けながら数秒かけて深い呼吸をする運動〉の意。

 眠気を覚ます効果があるので、あくびをした者を「たるんでる」と言ってしかる者は道理も心得えぬような「たるんでる」者である(


あくび】✗  #2,557

 同義かつ〈あくび〉の意の字だという認識が薄いと思われるため[あくび]を遣うことをすいしょうする。


欠伸あくび】✗  #2,558

 同義のため[あくび]を遣うことをすいしょうする。

 熟字訓だと知らない人にはたぶんぜったい{けのび}って読まれる。



━─━─ № 22-47 (2,510) ─━─━

  〖かしこまる〗(ラ五段動詞)


かしこまる】⚠  #2,559

 〈姿勢が正される〉〈おとなしい様子である〉〈おそれ入って態度がつつしまれる〉の意。

 語源は〔かしこまる〕。



━─━─ № 22-49 (2,512) ─━─━

  〖ねそける〗(カ下一段動詞)


退ける】⚠⛏  #2,560

 〈そこなう〉の意。

 〝就寝をしり退ける〟という事であり、古いい回しだが地方では方言として現存している。

 なお「損なう」の組成は〔退う〕。



━─━─ № 22-51 (2,514) ─━─━

  〖がんじがらめ〗(名容詞)


がんがらめ】⚠⛏  #2,561

 〈ひもを縦横無尽にからめて動けないようになっているさま〉の意。



━─━─ № 22-53 (2,516) ─━─━

  〖ていでん〗(サ変名詞)


ていでん】⚠⛏  #2,562

 〈次から次へと伝えること〉の意。

 転じて〈ていでんをする乗り物や郵便〉の意。



━─━─ № 22-55 (2,518) ─━─━

  〖おぼこい〗(形容詞)


おぼい】⚠  #2,563

 〈たどたどしく不慣れそうで初々しい〉の意。


処女おぼこい】✗  #2,564

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈箱入り娘のようである〉のような意となるが、処女だろうが要領よい人はいるし、非処女であろうがあか抜けない人はいる、そしてそれらは少なくない。



━─━─ № 22-57 (2,520) ─━─━

  〖きらい〗(名詞)


嫌疑きらい】⚠⛏  #2,565

 〈好ましくない傾向がありそうだというかい〉の意。

 転じて〈好ましくない傾向〉の意。


きらい】【きらい】✗  #2,566

 同形異義語が存在するので遣うことをすいしょうしない。

 〝きらいいや〟〝きらい〈けんがある〉:きらい〈きょぜつしたい気持ち〉〟など。

 なお〈きょぜつしたい気持ち〉の意の「きらい」は名詞ではなく名容詞である。

 また「けん」との語から誤解されたものと思われるが、〔嫌〕に〈疑う〉の意は無い。



━─━─ № 22-59 (2,522) ─━─━

  〖たいぜんじじゃく〗(名容詞)


たいぜんじゃく】⚠⛏  #2,567

 〈落ち着いていてどんなことにも動じないさま〉の意。

 [たいぜん][じゃく]ともにその意の語である。



━─━─ № 22-61 (2,524) ─━─━

  〖さいしょくけんび〗(名詞)


さいしょくけん】⚠  #2,568

 〈すぐれた才能と美しい容姿の両方をもっていること〉の意。

 〝女性に対して言うもの〟との事であるが、読んで字を見るかぎりそのような限定をさせるのは無理筋のように思われる。



━─━─ № 22-63 (2,526) ─━─━

  〖とも〗(サ変名詞)


とも】⚠  #2,569

 〈いっしょであること〉〈同じであること〉の意。

 〔共〕は〈両手で物をささげ持つ〉の意。


とも】⚠  #2,570

 〈連れ合い〉の意。

 転じて〈一味〉〈部類〉の意。

 〔供〕は〈いっしょにいること〉の意。


とも】⚠  #2,571

 〈仲間〉の意。

 転じて〈たあいも無いれ合いをする程度の知り合い〉の意。

 〔朋〕は〈助け合う人〉の意。


とも】⚠  #2,572

 〈同じ区分けの仲間〉の意。

 〔朋〕は〈連なった貝〉の意。




━─━─ № 22-65 (2,528) ─━─━

  〖みっともない〗(形容詞)


みっい】⚠⛏  #2,573

 〈見たくもないと人から思われるような様子だ〉の意。



━─━─ № 22-67 (2,530) ─━─━

  〖もどかしい〗(形容詞)


もどい】⚠⛏  #2,574

 〈物事が思い通りに進まずにいらつ〉の意。


牴牾もどかしい】✗  #2,575

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈くい違うようであるさま〉のような意となる。

 〔てい〕は〈くい違うこと〉の意であるが、単に差異があることを示すものであり、それに対する人の感情をう語ではない。


もどかしい】✗  #2,576

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 〔擬〕は〈まねごと〉〈そう〉の意。



    ◆◆◆ 後節 ◆◆◆



━─━─ № 22-69 (2,532) ─━─━

  〖あらくれ〗(名容詞)


あらくれ】⚠⛏  #2,577

 〈気質や言動の荒々しいさま〉の意。

 〔呉〕は〈顔をそむけるほどの大声〉転じて〈態度の大きいさま〉〈おごり〉の意。



━─━─ № 22-71 (2,534) ─━─━

  〖あくむ〗(名容詞)


あく】⚠  #2,578

 〈差しせまった不安や恐怖を強くともなう夢の体験〉の意。


あく】⚠⛏  #2,579

 〈現実に存在するあくのようなふん〉の意。




━─━─ № 22-73 (2,536) ─━─━

  〖えせ〗(名容詞)


】⚠⛏  #2,580

 〈それらしいりに陶酔しているだけの本物ではないさま〉〈まともでなく取るに足りないさま〉の意。

 組成は〈酔いれる〉の意の〔ひ〕であり、そこからさらに「し〈まともでないさま〉」、「いせ〈ゆがんでいるさま〉」、「いせ〈無為に言い争うさま〉」、「にせ〈本物でないさま〉」、「〈はっきりしない〉」、「いな〈否定する〉」などへ派生したとされる。


悪為えせ】⚠⛏  #2,581

 〈悪意などの我欲によって故意に行為をしているさま〉の意。


似非えせ】⚯✗  #2,582

 同義であるが、若干異なる意味合いの[][悪為えせ]の両方で遣われるため、より適切なほうで表記することをすいしょうする。

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