第24話 ヘイル王子からのお礼
ようやく、彼らのお礼という名の猛攻も落ち着き、ナディアは一息つくことが出来た。そんな彼女に声をかけたのは先ほどまで受付から見ているだけだったシータだ。
「ナディア様、大丈夫でしたか?流石にお礼と言っても大変そうでしたね。」
「シータさん、そこまで言うのであれば少しくらい助けてくれても良いじゃないですか!こんなにたくさん、貰えるのは嬉しいですけど運びきれませんよ。」
困ったような言い方ではあるが、何人もの人間に感謝され少しだけ喜んでいるナディアがそこにはいた。
「それは無理ですよ、皆さんの善意を阻もうとすれば私が悪者になってしまいますしね。良いじゃないですか、これは全部皆さんの感謝のしるしなんですから。」
「ですが、困りましたね。この量では流石に今住んでいる宿に置くのは無理ですよ。宿の方に迷惑も掛かってしまいますし。」
ナディアが困っていると、何故だか分からないがシータはドヤ顔でニヤニヤとしている。
「そんなナディア様に朗報です!なんと、な、な、なんと!先日いらしたヘイル王子からお礼としてお家が送られていますよ。王子のご命令でナディア様が来るまでギルドでお預かりしていたんです!」
「へっ?家ですか?なんでそんなものを?」
「何を言っているんですか!ナディア様がお礼を楽しみにしていると言ったらしいじゃないですか。ご実家との縁も切って今は宿で暮らしているということを知っていたらしいのでお家を買ってみたと言われていました。王子に家を要求するなんてなかなかですね!」
そう言われてしまい、ナディアは王子との会話を思い出す。そういえば言った記憶がある、確かにナディアは王子に対してお礼を楽しみにしていると言っていたのだ。
ナディアとしてはその場の言葉として言っただけの社交辞令のつもりだったが流石は王子。いとも簡単にナディアの想像を超えた行動をするのであった。
「あぁ、確かに言った記憶があります。まさか家なんて貰えるとは思いもしませんでしたが。」
「ささ、新しい家に案内いたしますのでこちらを運んでしまいましょう。ギルドの職員何人かでお運びしますよ。彼らもナディア様に救われて感謝しているのですから。」
シータの一声で力のありそうな男たちがナディアの荷物を運び始める。
「良いんでしょうか?私としては大したことをやった気がしないんですが。」
「良いんですよ、そういうのはしてもらった側の気持ちで変わってくるようなものなんですから。」
こうして、ナディアはヘイル王子に渡された家へと向かうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます