第3話 貴族でなくなり喜ばれるナディア

さて、私は現在、医療ギルドに来ている。私は既に貴族でなくなった身なのだ。いつ、自分が働けなくなるか分からないから稼げるうちにいくらでも稼いでおきたい。今日もどんどん仕事を受けよう。


「シータさん!こんにちは。今日は私にできる依頼は何か来ていますか?」


私は受付嬢のシータさんに話しかける。彼女は私がこのギルドに加入した当時からの付き合いで良くしてもらっているのだ。


「おはようございます。ナディア様、本日は訓練で負傷してしまった兵士さんの治療などはいかがですか?ナディア様なら優秀な治癒師なのでお任せしたいと思うのですが。」


「良いですね、その依頼にしましょうか。それと一点お伺いしたいことがあるのですがこのあたりにお勧めの宿とかはありませんか?」


私が話しかけるとシータさんは困惑しているようだった。


「宿ですか?お勧めできるところはありますがナディア様であればご実家に帰ればいいのではありませんか?」


「あぁ、言い忘れていました。私、あの家とは縁を切ったので既に貴族ではありません。ですので、宿を紹介してほしいんです。」


私の突然のカミングアウトにシータさんは驚愕するのであった。


「えーーっ!・・・ちょっと待ってください、ナディア様は貴族家から抜けられたのですか?」


「はい、あの家族とかかわりになるのが嫌になったので自分から役所に手続きをしに行ったんです。」


「いーーやった!やりましたよ!ついにこの時がやってきたのですね!」


すると彼女は突然、歓喜しはじめる。ナディアも、突然の彼女の奇行に驚きを隠せない。同情とかならまだ理解できるが彼女は歓喜しているのだ。どうしても、彼女の反応の理由を理解することが出来ないでいた。


「あ、あの~?シータさん、大丈夫ですか?」


「はっ、し、失礼いたしました。誤解なさらないで欲しいのですが、ナディア様が貴族でなくなったから喜んでいるわけではないですよ。」


「分かっていますよ、シータさんがそんな人でないことは私が一番よく知っています。」


「ほっ、良かったです。それで、今からギルド長とお話していただけますか?そこで、わたしがなぜ、こんなに喜んだのかもお話させていただきます。」


ギルド長か、その人は会ったことがないけど、シータさんが勧めるのであれば悪い人ではないのだろう。それに、シータさんの奇行の理由も知りたいし、会うだけなら問題ないだろう。


「分かりました、私も問題ありませんのでギルド長にお会いさせてください。」

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