第2話 天使の力



 ナイトストーカーが部屋に入ってきたが、フレイヤに焼かれていた。

 弱点である聖気を当てられて燃え上がり、動きが鈍りみるみる弱っていく。


 私は光の矢で3体のナイトストーカーを貫いて止めを刺した。


 フレイヤにうなづいて礼を言う。




 剣士たちは疲労困憊で座り込んで休んだ。


「ライナー。あれはどういう事だ。時間がかかり過ぎだぞ。」


「ああ。すまない。キメラのスキルで光が集められなかったのだ。」


「そうか・・・。まあ、倒せたからいいか。」


 嘘は言っていない。

 悪魔がまだ中にいるので、刺激しないという事も兼ねている。



「しかし、ここでこのエリアも全部、探索が終わったはずだ。一旦、帰ろうぜ。」


「あー。疲れた!帰ったら、先ずはお風呂に入りたい!」

 と言いながら、水筒に入れたワインを口にする。


「そればっかりだな。フレイヤ。」


「それより早くこの傷も治してくれよー。」


「まてまて、ちょっとだけ飲んだら治してあげっから―♪」




 そんな話をしている仲間を措いて、私はキメラの死骸に近づいていく。


 中には悪魔の力が残っていて、外に出て逃げうせる機会を伺っているはずだ。


 そして、私はキメラの体に触れながら、天使の力を行使する。


〝貴様がこの体の主か。〟


〝ううっ。・・・そうだ。〟

 悪魔が逃げれないと判断して返事をする。



〝なぜこの地上へ来たのだ。下で居ればよいものを。〟


〝そんなことは分かり切っているだろう。地獄はどんなところなのか。お前が知らぬとは言わせない。〟


〝それは逆恨みである。大人しく罰を受け入れろ。〟


 悪魔は抵抗する。底へは戻りたくないし、天使に力を使われたら、天使に吸収されてしまうからだ。

〝嫌だ!力さえあれば、自由が手に入るのだ。俺を解放しろー!〟



〝ならば仕方ない。〟

 と天使の力で封じ込んで吸収していく。


〝やめろおおおぉぉ・・・〟



 一瞬の事で他の者は何も気が付かず、談笑を続けていた。


 ただ一人勘のいいフレイヤが何かの物音がしたような気がして、こちらを見たのみであった。




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