第4話 百年後の世界

お散歩!お散歩!みんなお散歩が大好きだ。

モグ、よちよち歩きのドコモ、ギガ、バイトの4本のリ―ドを持っての散歩は世界を手中に治めたがごとく幸福感がある。何ものにも代えがたい。しかし、ウンチも4個になる。


「モグ、ちょっと話せる?」

「うん」

「僕らと君らが今世で存在できるのはブッダの許しがあってのことと言ったよね」

「そうよ」

「輪廻転生するには個人差はあるものの大体100年は必要だと読んだ。僕と美里が死んで100年後に転生してモグとトラさんが生まれた。ということは君らは100年後の世界を知っているのかい?」

「知らない。終わり」

「モグはうそをつくときは右耳が折れるんだ。教えてくれよ」

「知ってどうするの?未来は絶えず変わり続けているのよ。私が知っている100年後は実際とは違う可能性が高い。それに全てを知って生まれ変わったわけではないの。私が知っているただひとつのことは人間の人口は著しく減少傾向にあり、AI頼みで世の中が動いていることくらいよ。AIの国家元首も何人も誕生しているわ」

「そうか……地球に取って人間は悪か……」

「その点も宇宙人が来て炭素排出量の制限に加担しているわ」

「宇宙人???」

「そうよ、宇宙人のテクノロジーを借りなければ地球は終わりよ」

「そうか~。やっぱりいたんだ~」

「現在でも地球に向けて8分置きに電磁波が送られているはずよ。周知の事実よ。地球に来るのはもっと進化した宇宙人だけどね」

「なんか次の100年おもしろそう!」

「黒船来航どころじゃないわ。地球の全勢力尽くしても円盤ひとつにも勝てないわ」

「そうなんだあ。凄い未来がまっているんだ」

「ウフフッ、話し過ぎちゃた」

「でも100年スパンで歴史を観ると、あ、まだ100年経ってないんだってことあるもんね!」

「そうね。私も良く生きて10年くらいじゃないの」

「そうか。それからまた輪廻転生するのか」

「そうよ。永遠に繰り返すのよ」

「なんか生きてるのも、死んでるのも忙しいな?」

「まあね」

「今世の行いを死んで吟味され、来世に行っては、来世の行いを吟味され……」

「まあまあ、やけ起こさない!」

「そうだね。来世の心配している人なんてそういないよね」

「いないわよ。今世で精一杯」

「だね。ありがとう。未来を変えられるのなら畜生界ではなく、人間界に行けるように考えと行動を改めるよ……」



「あ、ブッダ様。荒木豊子です。今宜しいですか?彼はブッダ様の教えを学んでいる様子です。はい、はい分かりました。引き続き監視致します。ではまたご連絡させて頂きます。はい、はい承知しております。では失礼致します」「ふ~~、九百年の付き合いだけど未だに緊張する……」



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