第2話

 私は夕飯とお風呂を済ませて、部屋へと戻った。

 

 机の上に置いてあるスマホからピカピカと光っていた。姫和からのLIMEだ。


「うちは先にログインしてるね!転送先は【始まりの街】に設定するんだよ!じゃあ、ゲームの世界で待ってるね!」


 という内容だった。


「私もこれからそっちにいくね!」っと。


 私は返信した後、VR機器本体の電源を入れ、布団に寝っ転がった。


「お!こんばんは!サクラちゃん!【Free World Online】のインストールは終わってるよ!早速、起動してみる??」


 はい。


「OK!起動するね!【Free World Online】の世界へ行ってらっしゃい!」


 特に問題もなく、ゲームが起動し、タイトル画面が表示され、ロードが開始された。


 1・・・10・・・25・・・50・・・100%


 ロードが終了して、タイトル画面から先へと行くと、何も無い空間が広がっていた。

 

「ようこそ、【Free World Online 通称:FWO】の世界へ。早速ですが、貴女の分身となるアバターを作成しましょう。」


 無機質な声が、直接、私の脳内に話しかけてきた。


 こいつ・・・直接脳内に・・・!?まぁ、VRの世界だから当たり前にできるのだろう。


 目の前にはVR機器本体の初期設定で作成した私自身の基礎データと大量の情報が載ったプレート的なものが空中に展開された。


 少し弄ってみて、容姿で変えられるものは髪型と髪色、眼の色くらいだった。


 髪型は現実(リアル)では、ショートカットだったから、ゲーム内では肩まであるセミロングにしてみようかな。髪の色は、黒のままで・・・眼の色も黒でいいかな。・・・保存っと。


「種族の選択を行ってください。※種族によって能力値に補正がかかります。」


 ・・・種族か。どんなものがあるのだろうか。


・ヒューマン(人間)

 平均的な能力を持った種族。


・エルフ

 魔法を得意とするが、打たれ弱い種族。

 

・ドワーフ

 筋力には優れているが、足が遅い種族。


・獣人

 鳥、狼、魚、象、猫があり、種族によって優れているところがある。

 鳥:鳥に出来ることは大抵出来る。

 狼:狼に出来ることは大抵出来る。

 魚:魚に出来ることは大抵出来る。

 象:象に出来ることは大抵出来る。

 猫:猫に出来ることは大抵出来る。


 などなど。他にも様々な種族があるようだ。


 ・・・んー、ドワーフは足が遅いから、モンスターから逃げる時に不利になるし、獣人は説明がざっくり過ぎて選ぶのに抵抗ある。・・・他は人間かエルフかー。やっぱり、人間かな。


「種族:人間が選択されました。次にスキルを選択してください。スキルは3つまで選択可能です。」


 ・・・いっぱいスキルあるけど、《HP自動回復Lv.1》と《魔法耐性Lv.1》と《物理耐性Lv.1》の3つにしようかな。あまり、ダメージ喰らいたくないからね。


 《HP自動回復Lv.1》

 時間経過によってHPが少し回復します。


 《魔法耐性Lv.1》

 魔法属性攻撃から受けるダメージを少し軽減します。


 《物理耐性Lv.1》

 物理属性攻撃から受けるダメージを少し軽減します。


「スキル《HP自動回復Lv.1》《魔法耐性Lv.1》《物理耐性Lv.1》が選択されました。次に、ステータスポイントの振り分けを行ってください。」


 ステータスポイントはバランス良く振り分けようかな。


・・・よし、振り分け終了。


「最終的確認です。ステータスとスキルがこのようになりましたが、よろしいでしょうか?」


 名前:サクラ

 性別:女

 種族:人間


 【Lv】1

 【HP】50/50

 【MP】30/30


 【STR】50

 【VIT】50

 【INT】50

 【AGI】50

 【DEX】50


 スキル

 《HP自動回復Lv.1》

 《魔法耐性Lv.1》

 《物理耐性Lv.1》


 ・・・はい。問題ないです。


「開始地点はどうしますか?3つの地点から選択可能です。」


 【始まりの街】

 普通のスタート地点です。


 【草原】

 いきなり、モンスターに遭遇できます。


 【洞窟】

 草原に同じ。


 いや、いきなりモンスターに遭遇しちゃダメでしょ。装備もなにもないのだから。姫和に【始まりの街】って言われてるから、これ一択で。


「【始まりの街】が選択されました。これで、キャラクタークリエイトを終了いたします。これより、転送を開始いたします。」


 設定が終わり、いよいよ仮想空間へとダイブすることになる。美桜はドキドキしながら、転送されるのを待った。


「・・・予期せぬエラーが発生しました。強制的に種族、スキル、ステータスの全ての項目の変更が行われました。」

 

 ・・・えっ?エラーが発生した?強制的に全ての項目の変更が行われた?なにそれ、そんなことあるの?

 今までの設定が無駄になるってこと?人間を選んだのに、他の種族になっちゃうってこと?

 でも、また選択し直せばいいしね。まぁ、こんな状況で転送されるはずなーーー、


「転送が開始されます。転送まで5・・・4ーーー」


「って!転送開始するんかい!」


 何事もなかったかのように、転送のカウントダウンが開始され、美桜の身体が光に包まれる。


「3・・・2ーーー」


「ちょっと待ってよ!ストーーーップ!」


「1・・・0。転送」


「えーーー!!!」


 美桜は、【始まりの街】へと転送されてしまった。

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