雑談力

ビダイ物語

第1話 落下による雑談

いつもなら、私語でうるさいクラスだったが、その日はなぜが皆静かだった。


理科の授業が少し小難しく、ついていけない生徒たちは寝始めていたからだ。


山本先生は、この雰囲気に敏感に反応し、板書を止め、話始めた。


山本先生

「俺もさ~大学時代、講義や研究で息が詰まると、大学の屋上で昼寝をしたもんだよ。陽が暖かい日に、昼寝のついでに、股間のインキンタムシを陽に当てて消毒しようと思ったんだ。菌は日光に弱いからね。屋上にある階段の出入り口の上って、畳2畳くらいのスペースがあるんだ。そこなら、誰にも見つからないと思って、そこのよじ登り下半身を出して寝たんだ。」


寝ていた生徒たちが顔を上げ始めた。


山本先生

「陽が本当に気持ち良くて、昼寝どころが寝入っちゃたんだよね。しばらくして、目が覚めたんだけど、下半身を出して寝てた俺はどうなったと思う?」


生徒たちはざわついた。


山本先生

「ねぞうが悪くて、そのスペースから落ちたんだ。その下でお昼ご飯を食べていた女子学生がもう大騒ぎ。そりゃそうだよな~下半身丸出しの人間が落下してきたんだからね。」


よだれを出して寝入っていた生徒は、慌ててハンカチで口元を拭った。


人前で、無防備な姿を晒すことほど、後々痛い目に遭うという教訓であった。






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