第54話 決着の時 ーツインブレード・ピンポイント・フルパワーアタックー

『ぐ、グファ!? なにぃッ!? 一体どこから撃たれたのだ!? クッ、あれか! あの鏡で光のビームを反射させたのだな!?』


「おいおい、気付くのが遅いってーの」


 俺が不敵に笑う前で、致命傷ではないものの背中にレーザーが直撃し大ダメージを受けたドラグバーンが大きく体勢を崩す。


 さぁ来たぞ!

 これ以上ない絶好のチャンスが巡って来た!

 ここが最初で最後の勝負どころだ――!


 大魔竜ドラグバーンが始めて見みせたその決定的な隙を見逃すような俺とミストルティアではない!


 俺たちは一瞬のアイコンタクトで意志を通じ合わせると、全くの同じタイミングで互いの全力の一撃を叩き込む!


「必殺! ≪アルティメット・ソード≫!!」

 限界まで威力を上げた超絶フルパワーの渾身の一撃と!


「喰らえ! ≪ドラゴンバスター≫!!」

 こちらも同じく限界まで力を込めた全力全開の一撃!


「「ツインブレード・ピンポイント・フルパワーアタック!!!!!!!!!!」」


 俺とミストルティアの超絶無双・最強同時攻撃が、体勢を崩して無防備になっていた大魔竜ドラグバーンの身体に突き刺さった!


 力を振り絞った超絶の一撃を、同じ場所を寸分たがわぬ同時攻撃で狙う――ツインブレード・ピンポイント・フルパワーアタックが大魔竜ドラグバーンに炸裂する!


『ぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーっっっ!! バカなぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!』


 勇者と竜姫が心を合わせたことで今や100倍、いや10000倍の超威力となったツインブレード・ピンポイント・フルパワーアタックは、大魔竜ドラグバーンの身体を上下真っ二つに二分割した!


『バカな、我が……最強たる竜魔王たる我が敗れるなどと……』


 さらには聖なる光が大魔竜ドラグバーンの2つに分かたれた巨体を焼き清めていく。


「なんで負けたかまだ分かっていないようだな。なら冥土の土産にお前の敗因を教えてやる」

『敗因だと……?』


「大魔竜ドラグバーン。お前は最後まで一人で、そして孤独だった。四天王がまだ1体残っているにもかかわらず、助けにすら来ないのがその証拠だ。自分の強さに溺れ他者を力で支配するしかできなかったお前は、結局最後まで一人で孤独に戦うしかなかったんだ」


『グッ……』


「だが俺には信頼する仲間がいた。リュスターナとミストルティアがいてくれたからこそ、こうやって格上のお前を倒すことができたのさ。これが仲間――人間の持つ絆の力だ!」


『くくっ、ほざけ……我は孤高なるドラゴンの王……脆弱なる人間と違い、仲間などは持たぬ……』


「そうか」

 結局、最後まで分かりあえなかったな。


「ミストルティア、実の父親に最後に何か言ってやることはないか?」

「んー、特には?」


「ほんとドライだなぁ、ドラゴンは……」


「あ、もしかしておにーんさん心配してるの? ボクが飽きちゃったらポイって捨てられるとか思っちゃってる? むふふ、なら安心して。おにーさんは特別の特別だから♪ 死ぬときはちゃんと看取ってあげるからね♪」


「死ぬとか看取るとか、縁起でもないこと言うなよな。せっかく大魔竜ドラグバーンを倒したってのにテンション下がるだろ」


「もうおにーさんってば、照れなくていいってば♪」

 ミストルティアがバシバシと俺の背中を叩いてくる。


「どこが照れてるんだよ、どこが……あとそんなに強く叩かれると痛いんだが……」

 ドラゴンのコミュニケーションは時々強すぎて困る……(主に物理的な意味で)。


 と、そこへ勝利の立役者であるリュスターナがふよふよと低速で飛びながらやってきた。

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