第4話 ブスいじりと悲哀
『
新入生らしきものなれない学生たちが通りかかると、私服の大学生たちが、
「そこのキミ!
「テニス部の方が楽しいよ」
と、さかんにサークルに誘ってきた。
「結局カンナちゃん大学の入学式にも来なかった。今日は来るらしいけど大丈夫かな」
「ミチエちゃん」
急にミチエは肩をたたかれたので、後ろを振りむいた。
細く
明るい
うわ。かわいい子。
ミチエはついみとれてしまった。
女子学生はミチエがぽかんとしているので大笑いした。
「私だよ。わかんない?コンタクトにしたの」
女子生徒はきれいな歯を見せて笑った。
声に聞き覚えが、笑顔に見覚えがある。
「……カンナちゃん?うそ!」
「会いたかったよお」
女子学生、カンナはミチエに抱きついた。
大学の
「
「
さわがしい
「私勉強のしすぎでメンタルと体調崩したの。ご飯も食べられなくて30kgやせたよ」
「そんなに?その、顔はなにかしたの?」
「え?ううん。やせただけだけど」
歩きつづけていると、楽器の音がした。
オーケストラ部の看板があった。
「今夜オケ部の
大学生がさけんでいた。
オーケストラ部の周りでは、
「わ。あの人すごいイケメンじゃない?」
女子学生たちが
その横では、ずんぐり
2人は特に演奏がすぐれていたので、オーケストラ部の
その2人は
ミチエもカンナもききほれた。
「カンナちゃんサークル何入るか決めた?」
「うん。オーケストラ部入りたい。高校のときずっと
ミチエはうれしくなる。
外見が変わっても、やっぱりカンナちゃんはカンナちゃんだ。
「私もめだのでオケ部気になってた!
夜の
酒が出ていた。
ミチエとカンナもいた。2人ともおとなしくストローでウーロン茶をすすっていた。
2人の前では、新入生の男子が肉を焼いていた。
男子は
お
ミチエはついそう思ってしまい、
「へえ。カンナちゃん
「あ、うん」
「頭よさそー。めっちゃかわいいし」
「え?うん。でもミチエちゃんの方が……」
「てか女優っぽいってよく言われない?」
「え?うーん」
「俺マサキ。
「えー……」
マサキはカンナにばかり話しかけるので、ミチエは黙ってウーロン茶をストローですすりつづけた。
そこへオケ部の学生の男女がやってきた。
みんな
「わ。めっちゃかわいい子いるじゃん」
「名前なんて言うの?」
学生たちはにこにこしながらカンナにたずねた。
「あ、
カンナがぺこりとおじぎした。
「
「しかも美人だぜ」
学生たちはカンナを取りかこみ、酒を飲みながら
カンナは
ミチエはできるだけ音を立てないよう、
「カンナちゃんほらほら。牛肉だけじゃなくて豚肉も食べて」
マサキがまめに焼いた肉をカンナの皿に盛った。ある学生が笑いながらミチエに
「おいおい。そっちの子にも肉渡せよ」
「いやブタがブタ食ったらマジのブタになっちゃうじゃないっすか。顔まで似てんだから」
その瞬間、ミチエはウーロン茶をすするのをやめた。
「ちょっと……」
カンナが何か言おうとしたが、学生たちの笑い声でかき消された。
「ならしょうがないな」
「そっすよね。ブスはせめてやせないと」
マサキが口いっぱいに肉を放りこむと、笑い声はますます大きくなった。
カンナが心配そうに、ミチエに、
「帰る?」
「ううん。私気にしてないから。……てか、マサキくんありがたかったんだよね。私これ以上ブタになれないから」
「だろ。お前結構いいブタだな」
ミチエは笑うと、マサキや学生たちが大笑した。
「でも……」
「ねえ、カンナちゃんってさあ」
「え?はい」
カンナは質問ぜめにされた。
ミチエはカンナの横でにこにこして黙っていた。
私のせいでこの場の空気を
私がデブでブスなのは事実だし。
ゲラゲラした笑い声がひびく中、ミチエはジョッキの中に残ったウーロン茶に目を落とした。ウーロン茶の表面に、
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