第12話 吾輩たちはあの電気ネズミのことをよく知らない 2


  

 もう戻ろうと、俺は屋根裏から出る寸前のことだった。


 あんな魔獣に出くわすなんて。


 それは、出会ってはいけない恐ろしい化け物だった。



 「ピッカ〜!」


 冗談がキツイ。


 ピッカ〜っじゃねぇんよ、こんちくしょーめ。


 よく似たシルエットに黄色い体、サイズ感は思った以上に小さい。


 ほっぺから電流みたいな光りがちらちらと輝かせて、俺を牽制しているっぽい。


 「勘弁してくれニャン…… いつからここはポケ○ンの世界になってしまったニャンか? あんなん小ちゃいピカ○ュウだニャン……」


 何故か、その電気を帯びたネズミは敵意を表にしている。


 某、発射団はよく電気を浴びせられていた事を思い出した。


 電気ショックでも並大抵の人は死んでしまうだろう。


 でも彼らは、十万ボルト程の電流を流されても黒く焦げるだけで至って健康に日々を過ごしていたんだ。


 常識的に考えて死んでしまいますけどね。


 現実と空想が入り混じり、恐怖感が俺を刺激する。


 逃げなければ、殺される。


 そう確信した俺は、一目散で屋根裏からの脱出を試みた。


 「ウォー! 何で着いてくるニャンか! どっか行けニャン!」



 「ぴかぴ〜! ぴかぴか!」


 脱出は、失敗である。


 体に帯びた電気をバチバチと鳴らせて俺の走るスピードに合わせるかの様に併走して、嘲笑っているみたいだ。


 「絶対絶滅かも知れないニャン……」



 これから電気ネズミとの逃走劇が、幕を上げた。


 また死ぬ訳にはいかないし、無事にセレナの元へ戻らねばならない。






「何としても吾輩は、電気ネズミから逃げ切って見せる!」

 

 







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