EP29 夏休みの課題、ダンジョンを作ろう

夏休みに何か思い出を作りたいのは若かりし青春のあるあるだろう。

好きな子を花火大会や夏祭りに誘ったり。

グループデートしてみたり。

皆んなで海に行ったり。

TDLやUSJに行ったり。

図書館で一緒に夏休みの課題をやったり。


どうすればあの子との距離を縮めることが出来るか考えたものだ。


ウィルス禍で行動が制限された夏休み、花火大会も夏祭りも海も全て無くなってしまった。それでも何か夏休みらしいことをしたいと思いダンジョンを作ってみる事にした。


「まずはどこに作ろうかな」

「どっか人気の無い山の方かな」


タケルはダンジョンを大きな落とし穴レベルで考えていた。後で埋めとけばいいくらいに考えている。


ダンジョンはコアを壊さないと無くならない事はまだ知らない。


灰色の本、【ダンジョンツクール!これであなたもダンジョンマスター!】を片手に電車に乗ってゆらゆら東北方面へ郡山駅で乗り換え磐越東線で三春駅で降りタクシーで若松屋旅館に着いた。


『主人殿!静かでなかなか赴きのある良い町ですぞ』

『しかし主人殿、折角の夏休みにぼっちとはいかがなものかと』


「それを言うなよハチさんや〜知ってるだろう友達少ないのはさあ」


『主人殿!ひめ殿、さく殿をお誘い差し上げればよかろ』


「まあ一緒に行ってくれればそりゃ楽しいだろうけど…」

「ビジネスパートナーだからさあまりプライベートで連絡するのもやらしい感じ出し」


『何をナヨナヨと言っておるか主人殿、わしがひとっ飛び伝えてきても良いが如何致す』


「あーーいいよ今回はさダンジョン作るし帰ったら別な所に誘って見るから」


『そうであるか』


宿には1週間分の宿泊予約していた。

若者1人で怪しまれない様大学の研究室課題の福島の生物調査をすると伝えてある。

首からカメラをぶら下げて、機材が入ってそうなコロコロと虫取り網を3本、3本も持ってたら本物っぽいだろう。


『いらっしゃいませ、よくお越しいだだきました』

旅館に着き部屋へ案内された。 


(ミーンミンミンミーーミーンミンミン)

セミの声が聞こえる意外何も聞こえ無い。


「うーーーん夏だなあ」


『どうぞこちら…』

女将さんかお茶を入れてくれた。


「ありがとうございます。いただきます」

(スゥーッ、スゥッ)

「ふぅ〜〜美味い」

(モグモグ、モグ)

テーブルのおたりまんじゅうを摘みながらこの辺りの山について聞いた。


「この辺りで研究用に採取出来る静かな所ありますか?あまり人が入って荒らされて無い山がいいのですが」


『それなら…あーなんたら山辺りは…』


そこは国有地で採取して直ぐに逃がすなら大丈夫じゃないかと言われた。

山菜なんかは地元の人はとっちゃうけどと言っていた。まあそこは気をつけて確認しながら課題をすると伝えた。



「おーい!ハチさん〜」

窓を開けてハチさんにおまんじゅうをひとつあげた。


『主人殿?これだけでござるか?』


足りないと言われて宿の売店で6個入りを買って来た。

オレは2個食べた。

ハチさんは3個食べた。

あんなに小さいのにどこに入るのかと毎回思う。


宿屋さんでスーパーカブマンを貸してくれることになり、後で周辺をバイクで見て見よう。ありがたい。

少し休んでお風呂に入った。

ラジウム温泉で露天風呂は無いが内風呂は広々としていい。


「あーーーーーふぅ〜〜〜」

思わず声が出る。


お風呂に入る時声が出るのは熱いお湯に入った時に身を守る為の自己本能が働き声が出たり、息が出たりするらしい。


晩御飯は18時お部屋でいただく事にもなっている。まだ16時少し近くを散策しよう。

バイクを借りて近くのさくら湖を見に行った。


ハチさんはお腹が一杯なので木の上寝るそうだ。


湖はヘラ鮒釣りで有名な所だ。

大きなダム湖だ。

帰り支度をしてる釣り人に話しかけたここはヘラ鮒釣り、バス釣りする釣り人が多いらしい。


『ここいらはみんな朝早い時間帯に来て釣りをする朝まずめってやつだよにいちゃん』

『今日はまあまあ良型が釣れたよ』


基本ヘラもバスもキャッチアンドリリースだ。


町にダムカレーがあるから食べて帰りなと教わった。


「楽しみだなあ」


宿屋に帰り夕飯前に軽くひとっ風呂浴びた。

さあお楽しみ晩御飯の時間です。


「うわーどれも美味しそうだね。贅沢だね」


海の幸、山の幸たくさんの料理を少しずつ食べれてなんとも贅沢な事。

名物の三角油揚げを柚子味噌や刻みネギを挟んで食べた。

油揚げと厚揚げの中間な感じ。豆の味がしっかりしてて美味い。


「あーーご馳走様です。大満足!」


ハチさんもおこぼれを味わい満足で座布団の上でゴロゴロしている。


鳥ってこんなにゴロゴロするものなのか?


明日はあぶくま洞に行く事にした。


ダンジョン作りの参考にする為に本物の洞窟を見ておこうと言うわけです。


翌日、バイクで40分くらいで着いた。


ハチさんはお留守番?サボり!


あぶくま洞は全長600メートルで鍾乳石の種類、数は東洋一とも言われている。


中はライトアップされた美しい鍾乳石が目に飛び込んでくる。


初めて見たけど感動ものだ。


大自然が長い年月を掛けて作り上げた作品である。


感動するとお腹も空くのでレストハウスで福うなぎセット1.680円を食べているとスマホが鳴った。


ひめ先輩からだ。


「あー!もぐもぐーはい!」


『今何してるの?』


「夏休みだから福島県に旅行に来てあぶくま洞のレストハウスで福うなぎセットを食べてます」


『はぁ〜〜〜』

『お前今なんて言った?』

『もう一度言ってみろ!』


「えーっと夏休みだから〜」


『そこじゃ無い!』


「あぶくま洞に〜」


『ちがう!』


「あ!やば!うなぎ食べてます」


『そこだよ!』

『あれほど注意したよな』

『うなぎと蕎麦の時は誘えってな、な、な』


「あーーはい、すみません」


『今回は大目見てやるが3度目は許さないからな!』

『わかったか!』


「はーーい」


『はいを伸ばさない!」


「はい!」

(ブチ、、、ツーツーツー)


恐ろしや〜オレは何で馬鹿正直にうなぎの話をしてしまったのだろうか。

隣り居たら間違いなく殺されているだろう。


「くわばらくわばら」

「しかし、なんの用事だったのかな?いいか」


気を取り直し近くのお山でダンジョンを作ろうこの辺でいいかマップにフラッグを立てる。


元銅の鉱脈探しをしていた廃坑の横穴の前で本を開く。


ダンジョンとは何か目的、魔物セレクト、罠設置、宝箱セット、ボスセレクト、ドロップアイテムセレクト、初級階層レベル、フロア設定条件など最後に注意事項。そして復活の呪文をオレは読み上げた。


【大和タケルはダンジョンマスター Lv1を取得しました】


アプリはスマホにダウンロードされました。

(内課金有り)、5.000億円の支払いです。

残高不足により収納BOX内現金はマイナス表示となります。

金利0、但しこれからの収入は全て返済に回ります。


尚アプリの返品、返金は一切お伺い致しかねます。

詳しくは本に記載されております。

ご確認下さい。よろしくお願いします。


「何!何!何!」

「ちょ!まてよ!」

よく言った◯ムタク!


「3.256億-5.000億=マイナス1.744億かよ!」

「アプリダウンロード高!」

「というか金額確認とか、認証と無いんですけど!」


これは詐欺だクーリングオフだろう。


「って本にすげ〜小さく書いてあるよ〜」


悪意を感じる。


「はぁ〜都知事さんから水道管のお金貰えば良かったよ」

「しょうがないか」

「も〜〜」


まあファンタジーのダンジョンが作れるのだからこの金額は安いと言えば安いお買い得か。


アトラクションにして儲けるか。

ドロップアイテムで儲けるかするか。

取り敢えずお金かかっているから作ろう。


「鑑定!!」


【スキル:ダンジョンマスターLv1】

備考:任意の場所にダンジョンを作る事が出来る。但し、今は地面の上、洞穴などに限る。

今は階層10階層まで、魔物設定、環境設定、お楽しみ設定、アトラクション設定、報酬/ドロップアイテム設定。

お得セット直ぐセット出来ます。


ダンジョンA:5階層、魔物スライム、兎、土竜、にわとりで単独出現、ボスは猪。

ダンジョンB:7階層、魔物mix、複数出現、飛び道具有り、ボスはオーク。

ダンジョンC:10階層、魔物mix、魔法攻撃有り、隠し部屋有り、モンスターハウスあり、罠有り、ボスはオーガ。


「へー割と簡単設定されていて直ぐ出来るんだな」

でもまだ怖いから自分で一から最弱設定して作ろう。


「まずは階層設定して〜」

【5階層:選択】

(ポチっと!)

【魔物:選択】

「此処はスライムmixで〜」

【出現:選択】

「単独にして〜」

【魔法攻撃:選択)

「危ないから無しにして」

【ドロップアイテム:選択】

「適当に飲み物で」

【スキルドロップ:選択】

「えっと〜あり(一定確率で自動設定)」

【罠:選択】

「此れも無しで」

【モンスターハウス:選択】

「勿論無しだな」

【隠し部屋:選択】

「お楽しみかな)あり」

→アイテム:ポーション3個

【ボス:選択】

「おお〜ラスボスかラージスライム」

報酬ポーション中1個

【環境:選択】

「そりゃ洞窟でしょ」

【お楽しみ:選択】

「最後の最後でお楽しみ〜」

レアドロップ(自動設定)→響き12年

【アトラクション:選択】

「無し」

【ダンジョン成長:】

「そりゃやばいだろうから無し」

【スタンピード:選択】

「とんでもない!無し」

【ダンジョン外装識別:選択】

「見えない系のシークレットかなあり」

→魔力開放者に限り識別出来る。


「初心者マスターでも出来るように簡単設定なんだな」


昔こんなゲームあったな。レベルが上がれば設定を色々選べるようになるのか。


「まあ最初はこんなの感じで」


【作成!】

(ぽち!)


(ゴゴゴゴーーーードンドン!ワァーー)


いきなり地震が地面が揺れる震度4くらいか、焦った。


スマホで確認すると福島県地方で地震発生!最大震度4、津波の影響はありません。


「ってやばい、やっちゃったか?」


周囲に崩れた場所が無いか確認した。


「大丈夫見たいだ超ーー焦った」


とてもびっくりなダンジョン作成となった。

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