EP14 オレの周辺が動き出した

オレはしばらくの間学業に専念した。

またに少人数の学科は大学で講義を始めていた。勿論、ソーシャルディスタンスをしてマスク姿だ。30人位のゼミでも100人クラスの講義室で講義をしている。


ランニングとゴミ拾いは欠かさずやっている。今後は色々と戦略を立てて望むべきだと考えていた。


自分のスキルの見直しとギルドポイントの交換で広域、遠距離での攻撃方法の取得などで戦力の底上げが必要だ。


赤いヤツらは飛び道具や刃物を持っているだろうから。


此方もそれなりに準備が必要だ。


そろそろ根回しでもしておくか。


【警視庁特捜999課】

東京事変課(通称スリーナイイン)

【巡査:天照三國 (あまてらす みくに)18才

特捜最年少女性巡査】

パソコン、スマホなどを使った捜査を得意としその類稀な観察力、分析力で犯人を追い詰める。元べリングキャットだ。


現場には証拠品の類いは一切無いというか何一つ残されていない。完璧な隠蔽工作だ。


ただ現場には女性のみ残されていた。

何があったかあまり覚えていないらしい。

あっという間の出来事だったようだ。


周辺の防犯カメラをもう一度洗い出しながらまいど!出前館でマックックを頼んだ。


『あ!だめです』

先輩はデスクに広げた私のフライドポテトをつまみ食いしながら言った。


(モグモグモグ)

『俺も5回以上は見たけど何も映って無かったぞあんまりこん詰めんなよ』

『俺達先帰るから戸締りよろしく』


時刻は23時を回っていた。

今日も泊まるつもりだ。

仮眠室、シャワー室もあるから家に帰る意味が無い。


彼女は一度捜査が始まると家に帰らない。

なので必要な物全てはロッカーに入れてある。まあ化粧なんてしてないけど。 


『ん?ん…』

ふと気になる映像が?

気になるとは今画面が少しブレた様に見えた。何度かスローで再生して確認するがやはりここのタイミングで画像がブレている。


何か映っている分ではなく少し靄がかかった様に見える。


例えるならゴーストだ。


彼女は犯人の事をゴーストと呼ぶ事にした。

彼女は犯人の手口に心当たりがあった。

東京都都営団地解体珍事と似ている。

何一つ残されていない事、誰がやったか分からないこと。


いづれもここ最近起きている。

いくつか共通点があった。


都知事さんは都内の相次ぐ犯罪組織撲滅を薄々オレの仕業と感じている様だが何も言わない。それはお互い持ちつ持たれつだからだ。


都知事さんから警視庁、内閣官房の動きを聞き。これからしばらくしてから赤の掃除にはいることを伝えていた。


一度会って見たいとずーっと言われていた。

根回しの為に接触して見よう。


場所は高尾山の山頂の少し先に進んだ茶屋。

キノコ汁が美味い山の休憩所だ。

午前9時に約束した。

2人のSPは許可した。

SPからしたらそんな所には1人で行かせて何かあったら大変だ。


オレは高い木の上から先に着いた都知事さんを見ている。周辺に気配感知をかけたが約束通りに3人で来た様だ。他のメンバーはどうやら山頂で待機している様だ。


(スゥーッ…トン)

音も立てずに近づいた。

いきなり正面に座り込む。

SPは一瞬口をあんぐりした後直ぐに警戒の姿勢を取った。


(サッ…)

都知事さんが手で彼等を制止する。


『彼には敵わないわよ』

『彼は大丈夫な人だから』


優しくSPを諭した。


『こんにちは、意外と若い子なのかな』

『グレイさん?』


「ご想像にお任せします」


それからはいつものメールのやり取りと同じく気さくに話をした。


キノコ汁セットを4つ頼んでSPさんに職務中だが今は大丈夫だからと都知事さんが命令で食べさせた。というか後ろに仁王立ちされていると食べづらいからだ。


空気を読め! 


綺麗な山の空気の中で食べるキノコ汁とおにぎりは格別だ。


『美味しいわね』

都知事さんは驚いていた。


(パシャリ)

ブログにアップするからとSPに自分の写真を撮らせていた。


なかなかユーモアがある人だ。


食べながらの話しながらだった。

これからの東京の方向性の話しをした。


『あまり張り切り過ぎない様にね』

『困った事が有ればいつでも相談して』


「こんな遠くに呼び出して申し訳ありませんでした」


『しょうがないじゃない初めて会うんだから警戒して当たり前よ』

『私はおかげでとてもリフレッシュ出来たわ』


「大人だなあ…』


オレは今度は都庁におじゃましますと伝え先に席を立った。


(スゥーッ、シュッ)

瞬歩で移動しあっという間に彼等の前から消えた。


SPに鑑定をかけてみた。

どうやら1人は内閣官房からのスパイの様だ都知事さんの周辺を探りオレとの接触を待っていたんだろう。


だが総理大臣と会うのはまだ先だ。

情報を与えないとうるさくてしょうがないからわざとスルーしていた。 


まあ、マントにフードを目深に被りマスクをしているいつもの装備なら人相はぼんやりとしか分からないだろう。


赤いヤツらはここ最近、上納が遅れだした事や連絡しても返信が無い事で何か気づき出した。


『ちょっと見てこい!』

直接、下の者に店や自宅を見に行かせた。

店はものけの空、自宅には鍵がかかり不在だ。アイツら全員でとんずらしやがったと報告した。


しかし、店以外にも詐欺集団のアジト、薬物工場、拠点の溜まり場もものけの空の報告で組内に激震が走った。


『そんなことあるかもう一度調べてこい!』

『それとスマホで写真撮ってこい!』

『自宅は鍵を壊して室内を調べてこい!』


『ったく使えない奴らだ…』

『おい!緊急会議だ』

『人集めてくれ、上には俺が直接説明する』

『それと配下全員に待機メールを流しとけ!そしていつでも召集かけられるようにしろ』


【警視庁刑事局組織犯罪対策部】

組織犯罪対策第一課第二対策係

【巡査:建速須佐之(タケハヤ スサノ)18才】


組織犯罪対策部のルーキーだ。


若いのに80年代頃の刑事ドラマ(太陽に吠えろ、大都会、Gメン75、特捜最前線、熱中時代、あぶない刑事など)に憧れて入ってきた。


今どきの子には珍しい熱血刑事だ。

オレの東京を悪い奴らから守る。

悲しい想いはさせない。


これが彼の心情だ。


情報収集が主な任務でPCはハッカーレベル、機械工学にも詳しく自作ドローン、自作の簡易設置型極小防犯カメラでの調査が得意だ。


組前で警備している警察官や張り込みしている捜査官から情報が入ってきた。


組織全体が蜂の巣をつついたように突然動き出したと報告が上がってきた。


ドローンや防犯カメラを見るとかなり慌しく人が出入りしている。何が始まったのか?ワクワクしてきた。


某フリーライターやユーチューバーも動き始めた。

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