第4話 探索

右に進むとまた分岐している。しかし蛇行しているので定かではないが、やや真っ直ぐな道と右に折れた道だ。


やはり魔石を取り出して、感覚を研ぎ澄ます。少し慣れてきた。


魂の絆か?同類のよしみか?なんとなく数や位置関係もわかる。しかし実際に確かめて見なければならないだろう。


右の道からは二つ、同類のいる感覚がする。直線の道は数が多いようだ。


試しに右に進んでみる。


慎重に足音を立てず時間をかけて進む。もうそろそろ見えるかと思う事で、また魔石を使う。


薄目を開けて覗いて見ると、暗闇がほんのり開け、遠くの蠢きが、確かに見えた。どうやらやはり同じ魔物のようだ。


一匹は背を向け座っている。もう一匹は何かを食べている。お食事中だったようだ。


こちらが見えるなら、あちらからも見えるかも?ここは慎重になって考える。動かない方が良いだろう。


魔石に集中して、奴等を観察する。少し開けた場所のようだ。何を食っている?白い毛に覆われた獲物を素手で引きちぎり、仲良く食べている。血まみれだ。魔石のようなモノを取り出して、投げ捨てた。獲物も魔物か⁉︎

魔石は必要ないらしい。


ゴミ捨て場は奴等の左向こう側、気を逸らした隙に、なんとか一匹を処理すれば勝てそうだな。


確信はないが、他の道の奴等とやり合うより可能性はある。


ローブを頭まで被り、右の壁に添いながら更に慎重に進む。


ベルトの腰袋を探りコインを掴む。まだ使うことはないはず、後で回収すればいい。しかしこの腰袋は不思議だ。取り出したいモノを探すとすぐに見つけることができる。魔石もコインも瞬間的に掴める。しかもコインは結構枚数が多い気がする。


今はそんな事より奴等の排除だ。危険な奴等をのさばらせてはおけない!


限界まで近づくとコインをゴミ捨て場に投げた。


チーン⁉︎


硬貨のカン高い音が向こう側に響く、注意がゴミ捨て場に向いた瞬間走り出し、こちらに振り返る奴等の耳元で雄叫びをあげる⁉︎


「おおぉ!!!」


背中を向けていた奴はビクンと跳ね、奥にいた奴も目を見開きびっくりして固まっていた。結構な効果があったようだ。


そのままの勢いで一匹を背後から首根っこを突き刺し、正面の奴に向けて蹴る。今度は上手い事短剣が抜け、後は一対一、しかも武器は持っていなかった。


食事中だった獲物を地面に投げ捨て、威嚇して来た。血みどろで恐ろしい形相だか、少し慣れた自分がいる。奇襲し、それは成功した。後はコイツを殺るだけだ!


歯を剥き、両手を伸ばして突っ込んできた。


右足を引き半身になり、左手の背負い袋を掲げ、短剣を隠す。背負い袋を掴んだ瞬間、下から短剣を腹に刺す。


ヨロヨロと後退し、腹の傷を見た奴は膝から崩れ堕ち動かなくなった。


ほぼ同時に光りの粒になって、奴等は消えてしまった。むっとする熱風、身体中に駆け回る力?そしてやはり魔石だけを残して消えた。

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