エピソード1:数年後

 海底にゆっくりと着底したエリエステル号の隣に3日前に沈没したクレベール王国の高速輸送空中魔道船ゴッドバウンド号の姿があった。


 その2隻の水上に1隻の艦影があった。


 その船はマストが無いが、なぜか前進していた。波の力も有るがそれは、動力を持っているからだ。


 主機関メイン・タービンに魔術式機関部炉号型機関4基とそれらが戦闘で使えなくなった際に非常用で使用する副機関サブ・タービンには水素式発電機関部補助機関2基を搭載している。さらに、この時代には存在していない魚形水雷魚雷を装備している。


 さらに対空装備には垂直発射装置VLSや艦対空ミサイル《SAM》などの長距離迎撃装置が取り付けられている。もちろん、コレらはこの世界に存在しない技術の塊だ。


 このふねの正体は、東の海の海底から発見された潜水艦で有り、当初は文献にある日本国が有していた【伊400】と検討されていたが、研究の末に旧文明が一度に滅び去った大戦争終末戦争時に何者かに建造された潜水戦艦のアシュラだと分かった。


 艦番号はJSB-001で、考えられる同型艦はアマノミコ、ヒノカグツチ、ヤマトタケルだろう、しかし研究中に突然姿をくらましたこの潜水艦はその日を境として各国の輸送船や貨客船を狙い始めたのだ。そして、ゴッドバウンド号事件やエリエステル号事件と呼ばれたがコレ以降、エルハンド海周辺での撃沈・行方不明になる船が増えていった。


 数年後、エルハンド海を囲むもう一つの国家であるノワール王国の造船が有名な村でこの世界でははじめての戦艦が建造された。


 ノワール級戦艦の一番艦ノワールだ、このふねは排水量25,000トン、全長165,8メートル、全幅56,2メートルの海防戦艦とも言える大きさの艦だが、この世界にとってはそれだけで抑止力になり得る脅威だった。


 主兵装は単装15口径155ミリ砲塔を前後に2基を備えて、副兵装には単装10口径125ミリ砲をガリオン船の様に28基という装備をしている。それだけ積んでいて速力は凡そ20,3ノットというのだから、快速だった。

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