#15 強襲揚陸作戦と艦砲射撃

 ノヴェラスが一息を吐こうと伸びをして左を向くと、レイに連れられて発令所に来たネルスとトポスが敬礼をして「「お呼びですか、艦長」」と言って来た。


「あ、ああ。 来たか」

「艦長。 トポス隊とネルス隊、いつでも行けます」


 状況を察したのかレイがタブレットを持ちながら、告げて来た。


「――分かった、じゃあ。偵察をしてきてくれるか? 目標ターゲットは港の治安だ、粗方あらかた偵察を終えたら無線で知らせろ。 その後、トポス隊を揚陸舟艇LCVPで届ける」

「了解。あ、それと・・・、帰還方法は?」

「ん? ああ、問題ない。 支援部隊ルーマス隊を迎えに出す、トポス隊の帰還方法はLCVPだ。分かったな?」

「「了解です!」」


 1そうのLCVPにトポス隊とネルス隊が乗り合ってさらに、ネルス隊用の小回りが利く高機動自動二輪車KLX250や87式偵察警戒車を積み込むと艦尾に備え付けている射出口から勢いよく射出させた。


  ○○〇


 LCVPは全て自動航行式なので揚陸を完了させると自力で戻って来るから、心配ない。しかし、作戦終了後や撤退時には撤退用やガンシップによる援護が必要になって来る。


 海岸に着いたLCVPが即座に前部扉を開いたのと同時に機動自動二輪車KLX250に跨ったネルスや87式偵察警戒車に乗った小隊員たちがエンジンを吹かして揚陸した。


「こちらネルス隊、強襲揚陸した。 これより、任務に入る。送れ」

『――了解コピー。 支援が欲しいときは座標を連絡しろ』

了解ラジャー


 インカムを切ると「行くよ! ネルス隊の力を見せる時だよ‼」と言い、アクセルを回した。


 ネルスのメインとサブ装備はトンプソンと銃剣用ナイフだけだが、トンプソンの使用弾薬は11・43×23ミリ弾を使う。45ACP弾というが、まぁ・・・分かりやすく例えるならデザートイーグルが使う弾だ。


 小隊員達は7・62×39ミリ弾を使うAKM-Sと9×33ミリレミントン弾を使うコルトパイソン4インチモデルや、6・5×50ミリ弾を使う38式狙撃銃と7・62×51ミリNATO弾を使うM24SWS使用している。


  ○○〇


 ある程度進軍して国城前でネルス隊は後から来るトポス隊のためにゲリラと化したナームス傭兵国所属の近衛騎士達と戦闘を繰り広げていた。


 インカムの電源をリロードしながら入れて「こちらネルス、敵ゲリラと交戦中!座標はE《エコー》11一帯、支援求む!」とアディス級潜水戦艦に言った。


『こちらノヴェラス、了解した。 艦砲射撃を行う、ナームス傭兵国城周囲から至急退去しろ』

「――チィッ、ずらかるよ!」


 インカムを受け取ったネルスは交戦している小隊員達に大きな声で声をかけると横倒しにして障害物にしていたKLX250を素早く起こしながら跨り、颯爽さっそうと撤退し始めた。間一髪で艦砲射撃をかわした。


 ネルス隊が一時撤退をしている頃、アディス級潜水戦艦は全主砲塔を左舷に向けている最中だった。


「全主砲塔、照準良し!」

「拡散焼夷弾に切り替えろ」

「・・・主砲、切り替えた!」

「順次射撃、始めぇ!」

「主砲、順次射撃。ぅてぇー!」


 1番砲塔の右砲から順番に、左に流れるように撃ち始めた。


「次発装填、完了!」

「――誤差修正の必要なし。 交互撃ち方、始めぇ!」


 第二次砲撃準備が完了する時に、ノヴェラスは砲術長ルドゥリアに指示を出した。


「了解! 交互、撃ちます!」


 1番砲塔と3番砲塔は右砲と左砲で撃ち、次に中砲を撃つという射撃方法だ。全ての主砲がその撃ち方ではなく、2番砲塔だけが中砲の次に右砲と左砲で撃つというスタイルになる。この砲撃の仕方は、旧日本海軍が使っていた。


「ネルス隊より射撃結果が届きました。 第一次砲撃結果は全主砲弾が城に命中で、第二次砲撃結果も城です」


 通信長のカトリーナが、ネルス隊がインカムで伝えて来た砲撃結果をノヴェラスに知らせてきてくれる。その結果を聞いたノヴェラスは静かにほほ笑み、「第三次砲撃を行う、砲術長。全主砲塔に魔導信管弾VTM砲弾を装填次第、斉射しろ」と指示を出した。


「了解、全主砲塔。発射用意良し、指命!」

「魔法は科学に勝てないという事を、ナームス傭兵国に教えてやれ!」

「――撃ち方、始め!」


 VTM砲弾が砲門から飛び出して、弧を描きながらナームス傭兵国城から出て来た魔術師たちが展開した魔法陣をことごとく破壊していった。


「・・・これは・・・、流石にやりすぎでしょ・・・?」


 ネルス隊は目の前に広がっていたヨーロッパのような街中が一瞬で瓦礫の草原になった城下町を見て口ずさんだ。

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