第8話、分かっていたつもり… だったんですケドね

 さて、その他の『 記号 』にあたるものにも、着目してみましょうか。

 最近、アマチュアの書き手さんによっては、意図的に使われていたりしますが、いわゆる『 顔文字 』です。


 ……コレは、ダメです。


 冗談で表記する方もいらっしゃるようですが、誤解を招きますので、ヤメておいた方が良いでしょう。 間違いなく『 注進 』コメントが届きます。 ソッコーで。

 登場人物が、メール等で送信した内容として記述する場合でも、なるべく避けた方が良いですね。 読み手側にしてみれば、稚拙な雰囲気どころか、フザケた感覚を覚えます。

 客観的に、冷静に判断して下さいね。 顔文字が、文学としての作品に、存在して良いとお思いですか?



 次は、『 (笑) 』です。

 本拙作でも、幾度か登場しました。

 少々、感覚的には古さを感じさせてしまいますが、実際、プロの作家さんも使いますし、対談形式の記述などでは、頻繁に登場します。 くどいように何度も多用するのは、如何なものかとは思いますが、ストーリーもの以外の創作にでしたら、記述しても問題はなさそうです。

 ただ、(汗)や(爆)等も含め、あまり慣用的に多用すると、文章が稚拙に感じられるようになる傾向がありますので、ご注意を……



 次に参りましょう。 『 = 』です。

 実は、不思議な記号でして…… 文章には、使っても違和感はありませんが、会話文に使用すると、何かヘンなのです。


 例文です。

 ↓


 それは、昨日の完成品だった。

 本日のモノと、先週のB級品を足すと… まあ、それなりの数にはなる。 だが、昨日のモノは、どう見ても色がおかしいのだ。

 35個 + 25個 =60個。 これに、昨日の12個を加えると、70個は超える。

 しかし……


 あまり、違和感は無いですよね?

 でも、これを、会話文が入った形にすると……

 ↓


 それは、昨日の完成品だった。

 本日のモノと、先週のB級品を足すと… まあ、それなりの数にはなる。 だが、昨日のモノは、どう見ても色がおかしいのだ。

「 35個 + 25個 = 60個か…… 」

 これに、昨日の12個を加えると、70個は超える。

( しかし…… )


 状況は認知出来ても、違和感を覚えるのは、私だけでしょうか?

 読み手側にとって、文章とは、自身の脳裏に情景・状況を『 再現 』させる大切なアイテムです。 『 + 』や『 - 』と言った計算記号を会話文に使用すると、抽象的とも思える一種独特な違和感が出してしまい、『 再現 』の作業を中断させてしまうようで、イマイチ、具体的な臨場感を創る事が出来ないように思えるのです。 会話文以外の文章としての場合、説明的である要因も加味してか、何とかクリア出来るようには思えるのですが……

 これは、私の独特な感じ方なのかもしれません。 まあ、参考程度に、頭の片隅にでも置いておいて下さいね。

 出来れば、『 文字 』にて文章化する事を推奨致します。

 ↓


「 本日の35個に、先週のB級品が25個だ。 合計60個で、昨日のモノを加えると、70個は超える。 しかし…… 」



 あと、『 ♪ 』や『 ☆ 』と言った造形モノですが、ライトノベルに限っては、使用しても問題は無いでしょう。

 純文学や投稿小説といった分野には、規定によって使用が認められていない場合もありますので、使用する際には、充分な調査・吟味をされてから創作を進めて下さいね。

 ただ、ライトノベルであっても、造形記号は作品の『 品位 』を低下させる風潮にあります。 それなりに『 高尚な作品を 』との、お考えで創作されていらっしゃる場合、使用しない方が無難です。

 逆に、ライト感を出したい場合、ドンドン使って下さい。(笑)



 次に提議するのは『 分数 』です。

 これまた… 創作中の文章内に忽然と現れ、書き手の脳内を忙しく駆け巡る事となる『 案件 』キーワードですが、最近のアプリには好都合な変換があり、助かりますね。

 とりあえず、例文です。

 ↓

 昨日の戦闘で、ほぼ、四分の一が壊滅した。


 これを数字に置き換えると、大変に違和感を覚えます……

 ↓

 昨日の戦闘で、ほぼ、4分の1が壊滅した。


 …4分間の、1が壊滅したって…?

 咄嗟に、まずは、そう解釈するでしょう。 瞬時に脳内変換し、前後の文字から状況を分析し、『 理解 』致します。

 この状況も、本編の展開とは関係の無いところで思考が遮断され、せっかく物語の中へ感情移入していた読者の方々の心情を、現実へと、引き釣り戻してしまう感を含みます……


 結果から申しましょう。

 どうしても分数表示としたい場合は、『 文明の利器 』を使用して下さい。


 変換で『 分数 』と打ち込むと、½・¼・⅔・⅙ etc… 割り切れる数はありませんが、相当数の分数は、変換表示する事が出来ます。

 …ただ、最初の例文の通り、なるべく漢数字で表示した方が、文章的には似合いそうですね。 もしくは、『 半分以上 』とか『 わずかな数を残し 』など、表現を変え、分数表示を回避する方法を模索した方が良いでしょう。


 このような、『 縦書き 』文化には馴染みが薄かった語句は、基本的には漢字表記が似合います。

 しかし、現代を取り巻く環境は、圧倒的に横書き文化……

 特に、私たちが創作している小説… その中でもライトノベルの世界は、完璧に横書きの世界です。 様々な記号表記にしても、世代的感覚から来る相違もあり、「 これです! 」とは言い切れないのが現実かと。

 まあ、参考程度にして頂ければ幸いです。 最終的な判断は、創作されるあなた自身でご決断下さいね。



 さて、もう1つ、提議致しましょうか。

 これも使用に関しては、一度悩んだら、とことん迷うアイテムかも。


 『 ********** 』です。


 他にも『 ◆   ◆   ◆   ◆ 』や『 ○   ○   ○   ○ 』等、様々にあります。 …てか、無限にあるような気が致しますね。 中点( 中黒、と言われる方もいらっしゃいます )、いわゆる『 ドット 』を使用されている方も。

                 ↓

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 このように簡単な記号を羅列し、場面転換の『 仕切り 』として、4行程の空白行に使用していらっしゃる方を、時々、お見受けするのです。 中には、飾り罫を引用されておられる方も……

 勿論、この様な使い方は、飾り罫も含め、間違っている訳ではありません。 私も創作初期の頃、使っていました。 書き手の心情としては、何とな~く『 エラそう 』になった気分も感じていましたし。 まあ、現実的には「 何か足りないな 」・「 少し、変化を付けたいな 」との心情が大半だったと記憶しております。


 …ただ、あまり使用しない方が良いかもしれません。

 理由は『 稚拙に感じるから 』だそうです。


 「 だそうです 」と、記述した事から、お気付きになられたと思いますが、これは私の『 判断 』ではありません。 とある出版社の、編集長さんの意見です。

 勿論、異論を唱える方はいらっしゃるでしょう。 「 いや、ウチの社では使ってるよ? 」と、おっしゃる出版社もあるかと思います。 事実、出版された書籍の中で、時々、散見致しますし……

 しかしながら、『 小説 』と言うカテゴリにおいては、「 NO 」を突き付ける方々が、プロ・アマ・業界の中、様々な所にいらっしゃるのは、紛れもない事実です。

 使用していた方で、納得がいかない方もあるかとは存じますが、現実を直視して頂ければ、『 リスク 』の存在だけは、ご周知頂けるかと……


 実際、昭和の年代に発行された書物には、良く目にしたと記憶しております。

 しかしながら、それは『 縦書き 』の書物でした……

 横書きの創作物に、それら記号の羅列は、はたして似合うでしょうか? …勿論、縦書きなら良い、と申している訳ではありませんが……


 感じ方は、人それぞれだとは思いますが、『 ソコ 』なのです。

 横書きと言う、ある意味、不可思議なこの世界…… 『 理屈が通らない 』とは、この事かもしれませんね。

 このような『 飾り罫 』に準ずる記号については、拙作論評『 異世界モノ、ちょっと斬ってみた件について 』の第6話にて、「 異世界あるある 」と称した中でも記述致しましたが、「 場面転換の文章構成が、ニガテなんです… 」と自ら、カミングアウトしてしまうリスクがあります。 とある編集社の方が、「 使用を控えるようにした方が良い 」と注進されていた理由は、そこにあります。

 いっそ、記号の羅列や、先記したような飾り罫ではなく、作品に通じる『 イメージ的な模様 』の方が、良いと思います。 水滴とか、草花の造形とか……


 創作経験がある方はついては、判断はお任せ致しますが、ビギナーの方に至っては、なるべく使用しない方向性を推奨致します。

 単純に、2~3行空けにしておいた方が、賢明でしょう。 それだけで、読者の方には、充分に理解して頂けると思いますので。


 『 足りない 』と感じる感覚を持つ事は、非常に重要な事です。 そして、『 変化を付けたい 』とする意欲も、是非にも、持つべきモチベーション……

 しかしながら、『 設置 』した記号の羅列を一度、消去して、再び作品を読み流してみて下さい。


 ……あまり、違和感を覚える事は無いと思います。


 拙作論評でも引用した記憶がありますが、『 足りないと思った時は、1本の線を消せ 』とは、この事です。

 創作中、プラスアルファを欲する意識に、自身でも知らない間に執着してしまうのは結構に多い事…… それだけ、真面目に創作に集中している証明にもなりますが、これは現実的な必要領域の幅を狭くする危険性にも連鎖してしまいますので、今一度、白紙に戻して再考する『 余裕 』が必要でしょう。

 はたして「 本当に必要か? 」と自問する時間を、意図的に意識するに尽きると思います。 小説創作においては『 読み返す 』事が、それに相当するかと。


 もっと、ご自身の文章力に、自信を持ちましょう!

 何事も『 文字 』で、です。

 小説を書いている訳ですから、文章で表現するのが至極、当たり前のはず。

 まず、優先すべきは、文章です!



 では次章、もう一頑張り、致しましょう!

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