第6話 僕のギフトは開拓向き

 そして、馬車の中の自室にてバイトと向かい合う僕は、バイトに禁断の秘密を打ち明けていた。


「良い、バイト。よーく聞いてよ」


「はい、リッター様」


「あの女神様はね……」


「はい(ゴクリ)」


「B92W51H80だったよっ!!」


「ウオーッ、グラマラスボデーッ!!」


「ちょ、バイト、声が大きいよ!」


「ハッ、申し訳ありません。リッター様。余りの数値に興奮してしまいました」


「でも惜しかったね、バイト。もう少し早く戻って来れたら、ナイスバディをその両目で見られたのに」


「フフフ、リッター様はまだまだですな。私ぐらいになると、あの纏ったシーツがある方がよりエロチズムを感じられるのですよ」


「へぇー、そうなんだね。僕にはまだそこまでは分からないなぁ」


「フフフ、何れはリッター様にも分かる様になりますよ。ご安心下さい」


「そうだね。僕はまだまだ青二才だから、もっと精進するよ」


「はい、このバイトが応援しておりますから、一緒に精進いたしましょう。エロチズム道を邁進いたしましょうぞ」


 コレが僕がバイト達を助けた時から続いているエロチズム講義なんだ。僕はかなり幼い頃から女性に興味津々だったんだけど、その理由を明確に教えてくれて、そしてそれがおかしな事じゃないと断言してくれたのがバイトだったんだ。何せバイトは三歳の時には近くに住むお姉さんの裸を覗き見しようとした猛者らしいからね。僕は五歳ぐらいからだから、バイトの足元にも及ばないよ。


「それで、リッター様。あのグラマラスボデーの女神様はどんなギフトをリッター様に?」


「ああ、そうだったね。その話がメインだったのを忘れてたよ。えっとね、女神様から頂いたギフトは【こう・ごう】だって」


「【こう・ごう】ですか?」


「うん、そうなんだ。いっぱいあってね、開拓に役立ちそうだよ。その都度、使用していって見るよ」


「ほう、そんなに沢山あるのですか? それは楽しみですな。因みに私達には祝福をくれましたが、私が【祝福・頑強】で、ヤエが【祝福・守護】、カオリが【祝福・魔力】でした。カオリは元々から私達の中で一番魔力が多かったのですが、今や天文学的数値になったそうです。ヤエの守護は今回の道の聖別を見て貰えばわかりますが、悪意ある人も道を進めないようになってます。そして、私の頑強ですが、聖鎧が無い状態の私を傷付けられるモノは何も無いと断言できます」


「うわー、三人とも凄い祝福だね。ソレなら安心して開拓を進められるよ」


「はい、我ら三人がリッター様達を害しようとする者を殲滅致しますから、リッター様は開拓とエロチズム道を邁進して下さいませ!!」


「うん、よろしくね。バイト」


 そうして、今夜の講義は終わったんだ。

 翌朝にカーナにまたギフトについて聞かれたから、


「僕のギフトは【こう・ごう】って言って、沢山あるんだ。開拓に役立ちそうだから、必要に応じて使って行くね」


 と答えたら、カーナが流石、リッター様ですわ。なんて言ってくれた。まあ、ギフトを大盤振る舞いしてくれた女神様のお陰なんだけどね。


 そして今日は十三キロ進んで、ココに休憩場所を作ろうと言う事になった。アレグーラやサーロン、パース、フェイターとも話あって、森が五十キロもあるから、ちょうど半分くらいのこの場所に休憩場所があれば、やがて交易が始まった時に皆が休みやすくなるでしょうと意見が出たからね。


 そこで僕は先ずスキルで二百メートル四方の木を引っこ抜いたんだ。そして、ここからが女神様から頂いたギフトの出番だ。まあ、僕のスキルでも出来るけど、新しく手に入れたら使ってみたいからね。

 僕は広々となった地面に手をついて、ギフトを使用してみた。


「ギフト【こう】より、【硬化こうか】!」


 凸凹デコボコの地面が平らに硬くなるようにイメージしてギフトを使って見たら、僕のスキルよりも早く、地面が平らに硬くなっていった。


「うわ、コレは凄い! リッター様、素晴らしいギフトを頂きましたな」


 アレグーラがそう言うけれど、コレだけじゃないんだな。僕は次のギフトを使用した。


「ギフト【こう】より、【工夫こうふ】!」


 僕の言葉に十体のゴーレムが現れた。でもその動きは人と何ら変わりがないんだ。


「我らが主よ、何なりとご命令を」


 一体がそう言って跪くと残り九体も僕の目の前に跪く。僕は引っこ抜いた木を指差して、ゴーレム達に、


「あの木材を使って、ココに五十人ぐらいが一度に入れる建屋を二つと、備え付けでトイレも建屋に五つずつ、作って欲しいんだ。出来るかな?」


「お任せ下さい。我らは工夫こうふですから、建てたりするのは完璧に出来ます。木の乾燥等も我らが行いますので、リッター様は心置きなくお休み下さいませ」


 その言葉と同時に動き出すゴーレム達。ちゃんと別れて木の乾燥をする者、木の皮を剥いで行く者、長さを揃えて切る者がいた。乾燥は彼らが手を当てて三十秒ほどで出来てるようだ。


 僕のふたつ目のギフトに皆が口をパクパクさせながら驚いている。ヤエやカオリもだ。

 アニーは恐る恐る僕に聞いてきた。


「リ、リッター様。あの人達は一体ドコから?」


「アニー、心配しなくて良いよ。彼らは森の魔力を利用して作られたゴーレムなんだ。人と同じように動けるけど、人ではないからね。ここで作業をして貰う為に僕が女神様から貰ったギフトで作り出したんだよ」


「ふぇーっ、凄いです、リッター様」


「リッター様、先程からギフト【こう】よりと仰ってましたが、他にもあるんですか?」


 カオリが興味深げに聞いてきた。


「うん、【こう】にはまだまだ、いっぱいあるよ。【ごう】は少し少ないかな」


「はあ、それはもうリッター様は神の領域に入られたも同然ですね。そして、私は聖女。この身は神リッターに捧げます」


 ヤエの妄想が始まったよ。僕は華麗にスルーして、皆に


「今日はここで休もうかな。いつ出来るか分からないし、皆も試せる様ならココは広いから、ギフトを試して見ても良いと思うよ」


 そう言って、カーナとアレグーラ、レイラと一緒に五歳未満の子供を連れて馬車に入った。


 この子達もギフトを貰ってるんだけど、それが開花するのはスキルを授かる五歳からなんだよね。今からその事を優しく伝えようと思うんだ。


 皆はバイトやヤエ、カオリに貰ったギフトを申告して、試せると判断されたギフトを試している。ギフトの中には直ぐに試せないモノもあるようだった。例えばアニーの貰ったギフトは、【危機察知・回避】で、危機が来ない状態の今では発動しない。

 そんな感じのギフトを貰った人は馬車に入って休憩している。


 明後日ぐらいには出来るのかな? 建屋の出来上がり時間を確認してみたいけど、まあ急ぐ訳じゃないから聞くにしても明日の朝にしようと思って、その日はユックリと皆で過ごしたよ。















 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る